例の古典幾何学本の翻訳計画。やはり仕事が始まると進行が遅くなります。今はまだ前半の山場で、対称性の高い多面体や蜂の巣と呼ばれる空間充填図形がでてきて、分かりやすくて美しい立体なので、ここまででも一冊の本にしても良いくらい。でもこの本が現在も生き残っているのは、その先の高次元の対称図形の話があるから(だと思っている)。
数学的に追求したのは初めてですが、私はもともと図形コレクターなので、このあたりの操作というか数値計算は熟知している、と思っています。しかしやはり、数学がガチンコで取り組む姿は圧巻で、想像するに講義で証明が終わった途端に学生から拍手が沸き起こるのでは無いかと。日本の学生さんはおとなしいと思いますけど、ヨーロッパなどでの会合の経験からすると、結構盛り上がるはずです。
古い本なので、数学的な内容は周知のはずですから、小出ししても良いでしょう。球面は特定の球面三角形で分割可能です。赤道と2本の子午線による無限族を除くと、3種しかありません。正四面体と正八面体と正20面体に関連します。それに対応する球面三角形の角はそれぞれ、90°・60°・60°、90°・60°・45°、90°・60°・36°で、合計が180°を超えているのは平面では無く球面三角形だからです。不審に思われた方は球面三角法とか非ユークリッド幾何を調べてみてください。
全て直角(90°)が含まれていることに気付いた方は筋が良い。この点の証明が素晴らしいのです。
寄り道しました。上述の球面三角形にはもちろん3辺があって、順番にパタパタと3回球面上で折り返す(鏡映)と、何と大円に沿って進行して行きます。3回の折り返しなので、結果は裏返ってしまい、例えると歩行で左足、右足と赤道や経線などの大円に沿って歩いている感じ。数学的には映進(滑り鏡映: glide-reflection)とか回映(rotatory-reflection)と言います。
もちろん歩いた球の表面には足跡の折れ線図形が描かれます。これには名前が付いていますが、あまりに専門用語になるので省略。重要なのは、何歩かで球面の大円を経て元に戻ってしまうことで、この歩数がとても大切なのだそうです。いや、私は図形は操作していましたが、そこまでは気付きませんでした。
たったの3種と思われた方もいらっしゃるでしょうが、ぬあんと、4次元とかでもこの考えは通用します。