対称空間をまとめた数学の案内書が出て、よくまとまっている感じがしたから購入。80才くらいの数学者の方で、その数学が出てきた当時の雰囲気が漂っているので生き生きとしています。ただ、今から見るとやや踏み込みが甘くて、見ようによっては有名な教科書の抄訳を綴った感じがします。題名からして正式の数学書では無い感じ。なので書名は明かしません。
良かったのはやはり二葉双曲面の片方が双曲空間(平面)として扱えることが図示されていたことです。しかし、曲がっていますから直接扱うのはかったるく、通常はクラインの射影モデルとポアンカレの円板が使われます。クラインの方は心射図法、ポアンカレの方は平射図法に対応すると思っていましたが、その通りでした。
球面が地図、つまりユークリッド平面に投射されるので、こちらは有界なのが無限に、双曲面の方は無限なのが有限に対応します…、ってあれ?。
…いやまてよ。クラインの方はその通りですが、ポアンカレの方は円板の外に2葉目の双曲面が投射されるはずです。そんな図は見たこと無いですが。
心射図法も半直線を反対に伸ばすと球でも二葉双曲面でも別の面に到達しますからクラインの方は二重になっていて、いわゆる射影平面です。
さらに、ポアンカレモデルでは消えてしまっている、光円錐の外側の一様双曲面の行方が気になります。思いついて、面白い話題になりそうなら続きを書きます。でも、この手の幾何学的考察はとっくにどこかでなされていると思います。