検事局。ジャック・マッコイの執務室。
横の扉がノックされる・・・
「アダム、いつもノックなんかしないでしょ!
あぁ・・・・ベンか。どうした?アダムの所に来たのか?」
「あぁ、呼ばれてね。過去に私が担当した事件のことでね。
いや、大したことじゃない。参考意見を言いに来ただけだよ。
今アダムは電話中で・・・・長引きそうなので、ちょっとお邪魔しに来たんだよ」
「そうか・・・スマン、オレ、今素晴らしく忙しくて、話す暇ないんだよ」
「仕事中なんだから邪魔はしないよ。
でも、補佐役、来たんだろ?それでもそんなに忙しいのかい?」
「あぁ、マイクかぁ・・・奴はちょっと難ありで・・・・」
「ンン?何かあったのかい?
私が聞いた話だと、切れ者で仕事は完璧ということだったが?」
「オレもそう聞いていたんだけど・・・なんか違うんだよなぁ」
「違う?どうしたんだい?」
「おい、身を乗り出すなよ、ベン・・・あんたも噂話、好きだなぁ」
「いや、私は噂など・・・君が困っているのを見て、助けたいと思って」
「そりゃ、有難いけど・・・あぁ、アダム、来ましたか・・・」
「ベン、ココにいたのか?どこに消えたのかと心配したぞ。
ジャック、なんだこの散らかり様は・・・キチンとせんか!
マイクはどうした?マイクに手伝ってもらえば良いだろうが」
「アダム・・・いや、イイです・・・
ベン、頼むからアダムを連れて行ってくれないか?オレ、仕事が・・・」
「バカもん!上司に向かって何言っておるか!!」
「アダム・・・ジャックは今、忙しさでイラついているんですよ。
さぁ、そう怒らずに・・・カッターに原因があるそうですよ」
「なに?マイクがどうしたんだ? 文句のつけようのない人選だがな」
「アダム・・・マイクは、正直使えませんよ。ミスばかりで・・・
余計仕事が増えている状態なんですよ、今・・・・」
「それはおかしい。仕事は正確で早い。それが評判な男だが」
「そうオレも聞いていたんですよね。オレの所に来てから、単純なミス連発ですよ」
「・・・何かあるんじゃないか、ジャック?君が苦手だとか?」
「いや、ベン。オレの補佐にして欲しいと言ってきたのは奴だから」
「フム・・・じゃ、原因は何だろう?気になりますね、アダム?」
「そうだな、ベン・・・ジャック、本人に直接聞いてみたらよかろう」
「あぁ、そうですね・・・そうしますか・・・
じゃ、2人とも、もう行ってくれていいですよ」
「いや、ジャック、その問題を片付けないと・・・君も大変だろ?」
「あぁ、有り難うベン。でもオレ1人で何とかするから」
「いやいや、待ちたまえ、ジャック。ここは独りじゃなく3人だろう」
「へッ??3人って??なんだ??」
「そうですよね、アダム。私たちもジャックの力にならなければ・・・」
「ウム、勿論だ、ベン。ジャックは検事局のエースなんだからな。
戦力後退は、検事局に多大な影響を与える・・・」
「・・・・・・・・ベン・・・・あんた、単に暇なんだろ?」
「いや、いつも世話になっている君に、少しでも恩返しを・・・」
「いや、暇なんだな。それならアダムの部屋で、寛いでいればいいじゃないか?」
「ジャック・・・我々は君を心配して・・・そうですよね、アダム?」
「私はマイクが心配だよ。マイクはベンの再来と言われるような逸材だからな。
ジャックの元で、潰されては困る・・・・」
「じゃ、オレの所によこすなよッ」
そこでノックの音が・・・カッターが書類を持って入ってくる。
「・・・ジャック・・最終弁論の資料、まとめて来ました・・・
あぁ、シフ検事長にMr.ストーン、こんにちは・・・・」
「あぁ、マイク、この2人は放っておいてくれ。資料、大丈夫か?」
「ハイ・・・何度も確認しました・・・今度は大丈夫かと・・・」
「どうした、マイク!自信なさげだぞ!」
「アダム、口を挿まないで下さいよ。ベン、アダムを見張ってくれよ」
「何だと!上司に向かって・・・!!」
「ハイハイ、分かりましたよ。表現を変えましょう。
ベン、アダムに伝えてくれ。今度口を挿んだら、
知事じゃなくFBI長官が速攻で来るような騒ぎを起こしますよって」
「・・・・なんですか、アダム?知事って・・・?」
「あぁ、1か月ほど前の法廷で、審理無効になったのに腹を立てて
こんな法律くそくらえ!だの陪審に何考えてるんだ、と暴言を・・・」
「・・・・ジャックがですか?」
「あぁ、どう考えても被告人卑劣極まりないんだが
弁護人が、被告の生い立ちの悲惨さで同情を引いて・・・それに腹を立てた、と」
「で、知事が、やって来た・・・ですか?」
「判事が結託して、ジャックの解任を求めて・・・知事も登場ってことだ」
シフとストーン、大溜息・・・それを聞きとめるマッコイ。
「はい、そこ!コソコソしていない!!」
「・・・マイク、ちょっとイイか?座ってくれ・・・
あぁ、そこの2人は気にしなくていいからな」
「アダム・・・落ち着いて。ジャックの話を聞きましょう」
「ベン、ちゃんとお守りしていてくれよ(シフ怒)
マイク、お前、オレが怖いか?どうして単純なミスを繰り返す?
お前は、検事局でも優秀で評判だ。こんなミスをするとは信じられない。
いや、お前を責めているんじゃない。オレと相性が悪いんなら、配置換えしてやる。
このままミスが続くと、お前自身の将来にも影響が出るかもしれない。
お前は優秀なんだから。オレの所で、悪い評判を立てる必要な無い」
「・・・・ジャック・・・僕はあなたの元で働くのが夢だったんです・・・」
「そりゃ、夢見てくれて有り難う、だがなぁ。現実にはコレだ。
何か原因があるのか?自分で何か分かっているのか?」
「ええ・・・多分・・・あなたの元では、気を抜いているのかと・・・・」
「ハァ????気を抜いてる????」
「・・・・・ジャックと一緒にいて気を抜くなんて・・・大物ですね、彼は」
「ウム。やはり君以来の逸材だよ、マイクは」
「ソコ!!今度喋ったら、追い出しますよッ!!」
「気を抜くって?どういう意味だ?」
「はい・・・あのぉ・・・・僕の経歴、
仕事上だけでなく、それ以前の経歴もご存じでしょうか?」
「あぁ、一応知っている・・・英国生まれで、両親とこっちに来たんだろ。
で両親と死に別れて、身寄りがないので養護施設へ」
「そうだ、ジャック。マイクは苦労人なんだぞ。もう少し優しくしてやれ」
「・・・・ベン・・・・!」
「アダム・・・静かにして下さい。怒ったジャックは怖いでしょ?」
「そうです。僕は元々気が弱くて、人と話すのが苦手で・・・
で、施設で庇ってくれて世話を焼いてくれた人がいて・・・。
ずっと年上なんだけど、死んだ弟を思い出すからって」
「・・・・そいつのこと、兄貴のように思っていたんだな」
「そうです。で彼が言うには、自分たちのような境遇のものは
偉くなるか、悪になるかどっちかだって。
僕は頭が良いから勉強して弁護士になれって」
「そいつは?悪の方に行っちまったのか?」
「ええ・・・僕に色々援助してくれた・・・どんな金だったか察してはいたが・・・
でも、数年前、抗争に巻き込まれて呆気なく・・・」
「死んだのか?」
「ええ、そうです・・・・寂しかった。毎日泣いていました。
そんな時、ジャック、あなたが僕に言ってくれたんです」
「????何を?オレには、全く覚えがないが?」
「一体何を言ったんですかね、ジャックは?」
「どうせ、下らんことだろう。マイクも何に感銘されたのやら」
「・・・・・・・ベン、覚悟はできているんだろうな・・・・・!」
「でも僕は覚えている・・・・ジャック、あなたはこう言ったんです。
『自分がそう思ったのなら、それを貫けばいい』って」
「・・・・案外いいこと言いますね、ジャックは」
「誰でも言いそうな言葉にしか聞こえんがな」
相手の心臓を射抜くような視線で2人を睨むマッコイ。
さすがの2人も、大人しくする様子を。
「言葉は違うけど、いつもアトキンが言っていたことと一緒だった。
ビックリして、ジャックの顔を見てしまった・・・
顔は全然似ていないのに、アトキンがいるのかと思った・・・」
「兄貴分の名はアトキンなのか・・・」
「ええ、それで何とかジャックと一緒に仕事できないかと、必死に頑張りました。
そして、優秀だって言ってもらえるようになり、あなたが補佐を捜しているって聞いて」
「申し込んだ?」
「その前に、同じく補佐希望の女性検事補たちに圧力をかけ・・・」
「圧力?お前が?」
「はい。僕、結構汚いこともしますので・・・これもアトキンに習ったんですが。
それで、誰も希望者がいなくなった頃に、シフ検事長に直談判して、採用されたんです」
「ア~ッ、女子職員が誰も希望しなかったのは、お前のせいなのか?」
「ええ・・・女性の方が良かったですか?」
「いや、過去女性の補佐しかいなかったから・・・・」
「でも、一部の女性検事補たちは、あなたがすぐ手を出すと・・・」
「ホラ、結構評判になっていますね、ジャックの女癖が」
「ウム。幾ら個人の自由と言っても、程があるからなぁ」
「マイクで良かったんじゃないですか?」
「ウム。しかし、マイクに手を出さないと言う保証は・・・・」
「黙る、ということが分かりませんかね?検事長に元次長検事さん方は!!!」
「で、オレがアトキンと似ていると思っていることは分かったが、ミスの原因は?」
「申し訳ありません・・・アトキンと一緒にいる気がして、気が緩んで・・・
本当に、コレじゃダメだと思っているんですが・・・段々慣れてきていますから」
「あぁ、ちょっと緊張するってことか?そんな考えでいいのかな?」
「ええ、確かに・・・一種の緊張かと」
「しかしお前、さっき言っていたが、結構汚い手も使うって・・・
それで、そんな緊張もするのか?」
「僕、気を許した相手には、弱いんですよ。
アトキンの前でも、弱虫で泣き虫のマイクのままでした・・・」
「あぁ、それなら、分かった。じゃ、ココで仕事するようにしろ。
一緒に仕事して飯食って、喋っていたら、段々慣れてくるだろ?」
「あぁ、そうかもしれない・・・」
「じゃ、そうするか。早速、今の案件の仕事、持って来い」
「ハイ、そうします(フゥ大溜息)」
カッター、少しホゥッとした表情で退室。
「良かった、良かった。解決じゃありませんか、アダム」
「まぁ、これからだがな。じゃ、行こうか、ベン」
「ちょっと待ってくださいよ、アダム。座ってください・・・
あんたもだよ、ベン。座ってくれ」
「????一体何だい、ジャック?もう話は済んだんだろ?」
「その通りだ。仕事しろ、ジャック」
「人の話に口を挿むなと、あれほど言ったでしょ?何ですか、アレは!」
「何って・・・補足?いや解説かな?」
「お前の話を、2人で精査して、より良くしようと・・・」
「いーや!単に突っ込んでいただけでしょうが!!
ベン、アダムのお守り、頼んだだろ?あんたまで一緒になって・・・」
「いや、ジャック、誤解だよ。さぁ、私もそろそろ・・・」
「おぉ、そうだな、ベン。我々も資料を整えねば・・・」
「いや、そこに座って下さいよッ!!2人とも!!
どうしてオレが、検事局の暴れん坊だと言われているのか、分かっていないようですね」
「いや、よ~く、分かっているよ、ジャック!」
「一体いつも誰が、お前の尻拭いをしていると思っているんだ?」
「ええ、ええ、オレもよく分かっていますよ、アダム、ベン。
で、今日はどうやったら大統領を直接呼べるのか?
よ~く、お2人にお話しして差し上げようかと・・・!
なんならお望みなら、国連事務総長でもお呼びしましょうか??」
。。。。。。。。。。。。
私は、何故こんなに長くなるのか、ジャック君に教えてもらいたい
。。。。。。。。。。。。。。。。
横の扉がノックされる・・・
「アダム、いつもノックなんかしないでしょ!
あぁ・・・・ベンか。どうした?アダムの所に来たのか?」
「あぁ、呼ばれてね。過去に私が担当した事件のことでね。
いや、大したことじゃない。参考意見を言いに来ただけだよ。
今アダムは電話中で・・・・長引きそうなので、ちょっとお邪魔しに来たんだよ」
「そうか・・・スマン、オレ、今素晴らしく忙しくて、話す暇ないんだよ」
「仕事中なんだから邪魔はしないよ。
でも、補佐役、来たんだろ?それでもそんなに忙しいのかい?」
「あぁ、マイクかぁ・・・奴はちょっと難ありで・・・・」
「ンン?何かあったのかい?
私が聞いた話だと、切れ者で仕事は完璧ということだったが?」
「オレもそう聞いていたんだけど・・・なんか違うんだよなぁ」
「違う?どうしたんだい?」
「おい、身を乗り出すなよ、ベン・・・あんたも噂話、好きだなぁ」
「いや、私は噂など・・・君が困っているのを見て、助けたいと思って」
「そりゃ、有難いけど・・・あぁ、アダム、来ましたか・・・」
「ベン、ココにいたのか?どこに消えたのかと心配したぞ。
ジャック、なんだこの散らかり様は・・・キチンとせんか!
マイクはどうした?マイクに手伝ってもらえば良いだろうが」
「アダム・・・いや、イイです・・・
ベン、頼むからアダムを連れて行ってくれないか?オレ、仕事が・・・」
「バカもん!上司に向かって何言っておるか!!」
「アダム・・・ジャックは今、忙しさでイラついているんですよ。
さぁ、そう怒らずに・・・カッターに原因があるそうですよ」
「なに?マイクがどうしたんだ? 文句のつけようのない人選だがな」
「アダム・・・マイクは、正直使えませんよ。ミスばかりで・・・
余計仕事が増えている状態なんですよ、今・・・・」
「それはおかしい。仕事は正確で早い。それが評判な男だが」
「そうオレも聞いていたんですよね。オレの所に来てから、単純なミス連発ですよ」
「・・・何かあるんじゃないか、ジャック?君が苦手だとか?」
「いや、ベン。オレの補佐にして欲しいと言ってきたのは奴だから」
「フム・・・じゃ、原因は何だろう?気になりますね、アダム?」
「そうだな、ベン・・・ジャック、本人に直接聞いてみたらよかろう」
「あぁ、そうですね・・・そうしますか・・・
じゃ、2人とも、もう行ってくれていいですよ」
「いや、ジャック、その問題を片付けないと・・・君も大変だろ?」
「あぁ、有り難うベン。でもオレ1人で何とかするから」
「いやいや、待ちたまえ、ジャック。ここは独りじゃなく3人だろう」
「へッ??3人って??なんだ??」
「そうですよね、アダム。私たちもジャックの力にならなければ・・・」
「ウム、勿論だ、ベン。ジャックは検事局のエースなんだからな。
戦力後退は、検事局に多大な影響を与える・・・」
「・・・・・・・・ベン・・・・あんた、単に暇なんだろ?」
「いや、いつも世話になっている君に、少しでも恩返しを・・・」
「いや、暇なんだな。それならアダムの部屋で、寛いでいればいいじゃないか?」
「ジャック・・・我々は君を心配して・・・そうですよね、アダム?」
「私はマイクが心配だよ。マイクはベンの再来と言われるような逸材だからな。
ジャックの元で、潰されては困る・・・・」
「じゃ、オレの所によこすなよッ」
そこでノックの音が・・・カッターが書類を持って入ってくる。
「・・・ジャック・・最終弁論の資料、まとめて来ました・・・
あぁ、シフ検事長にMr.ストーン、こんにちは・・・・」
「あぁ、マイク、この2人は放っておいてくれ。資料、大丈夫か?」
「ハイ・・・何度も確認しました・・・今度は大丈夫かと・・・」
「どうした、マイク!自信なさげだぞ!」
「アダム、口を挿まないで下さいよ。ベン、アダムを見張ってくれよ」
「何だと!上司に向かって・・・!!」
「ハイハイ、分かりましたよ。表現を変えましょう。
ベン、アダムに伝えてくれ。今度口を挿んだら、
知事じゃなくFBI長官が速攻で来るような騒ぎを起こしますよって」
「・・・・なんですか、アダム?知事って・・・?」
「あぁ、1か月ほど前の法廷で、審理無効になったのに腹を立てて
こんな法律くそくらえ!だの陪審に何考えてるんだ、と暴言を・・・」
「・・・・ジャックがですか?」
「あぁ、どう考えても被告人卑劣極まりないんだが
弁護人が、被告の生い立ちの悲惨さで同情を引いて・・・それに腹を立てた、と」
「で、知事が、やって来た・・・ですか?」
「判事が結託して、ジャックの解任を求めて・・・知事も登場ってことだ」
シフとストーン、大溜息・・・それを聞きとめるマッコイ。
「はい、そこ!コソコソしていない!!」
「・・・マイク、ちょっとイイか?座ってくれ・・・
あぁ、そこの2人は気にしなくていいからな」
「アダム・・・落ち着いて。ジャックの話を聞きましょう」
「ベン、ちゃんとお守りしていてくれよ(シフ怒)
マイク、お前、オレが怖いか?どうして単純なミスを繰り返す?
お前は、検事局でも優秀で評判だ。こんなミスをするとは信じられない。
いや、お前を責めているんじゃない。オレと相性が悪いんなら、配置換えしてやる。
このままミスが続くと、お前自身の将来にも影響が出るかもしれない。
お前は優秀なんだから。オレの所で、悪い評判を立てる必要な無い」
「・・・・ジャック・・・僕はあなたの元で働くのが夢だったんです・・・」
「そりゃ、夢見てくれて有り難う、だがなぁ。現実にはコレだ。
何か原因があるのか?自分で何か分かっているのか?」
「ええ・・・多分・・・あなたの元では、気を抜いているのかと・・・・」
「ハァ????気を抜いてる????」
「・・・・・ジャックと一緒にいて気を抜くなんて・・・大物ですね、彼は」
「ウム。やはり君以来の逸材だよ、マイクは」
「ソコ!!今度喋ったら、追い出しますよッ!!」
「気を抜くって?どういう意味だ?」
「はい・・・あのぉ・・・・僕の経歴、
仕事上だけでなく、それ以前の経歴もご存じでしょうか?」
「あぁ、一応知っている・・・英国生まれで、両親とこっちに来たんだろ。
で両親と死に別れて、身寄りがないので養護施設へ」
「そうだ、ジャック。マイクは苦労人なんだぞ。もう少し優しくしてやれ」
「・・・・ベン・・・・!」
「アダム・・・静かにして下さい。怒ったジャックは怖いでしょ?」
「そうです。僕は元々気が弱くて、人と話すのが苦手で・・・
で、施設で庇ってくれて世話を焼いてくれた人がいて・・・。
ずっと年上なんだけど、死んだ弟を思い出すからって」
「・・・・そいつのこと、兄貴のように思っていたんだな」
「そうです。で彼が言うには、自分たちのような境遇のものは
偉くなるか、悪になるかどっちかだって。
僕は頭が良いから勉強して弁護士になれって」
「そいつは?悪の方に行っちまったのか?」
「ええ・・・僕に色々援助してくれた・・・どんな金だったか察してはいたが・・・
でも、数年前、抗争に巻き込まれて呆気なく・・・」
「死んだのか?」
「ええ、そうです・・・・寂しかった。毎日泣いていました。
そんな時、ジャック、あなたが僕に言ってくれたんです」
「????何を?オレには、全く覚えがないが?」
「一体何を言ったんですかね、ジャックは?」
「どうせ、下らんことだろう。マイクも何に感銘されたのやら」
「・・・・・・・ベン、覚悟はできているんだろうな・・・・・!」
「でも僕は覚えている・・・・ジャック、あなたはこう言ったんです。
『自分がそう思ったのなら、それを貫けばいい』って」
「・・・・案外いいこと言いますね、ジャックは」
「誰でも言いそうな言葉にしか聞こえんがな」
相手の心臓を射抜くような視線で2人を睨むマッコイ。
さすがの2人も、大人しくする様子を。
「言葉は違うけど、いつもアトキンが言っていたことと一緒だった。
ビックリして、ジャックの顔を見てしまった・・・
顔は全然似ていないのに、アトキンがいるのかと思った・・・」
「兄貴分の名はアトキンなのか・・・」
「ええ、それで何とかジャックと一緒に仕事できないかと、必死に頑張りました。
そして、優秀だって言ってもらえるようになり、あなたが補佐を捜しているって聞いて」
「申し込んだ?」
「その前に、同じく補佐希望の女性検事補たちに圧力をかけ・・・」
「圧力?お前が?」
「はい。僕、結構汚いこともしますので・・・これもアトキンに習ったんですが。
それで、誰も希望者がいなくなった頃に、シフ検事長に直談判して、採用されたんです」
「ア~ッ、女子職員が誰も希望しなかったのは、お前のせいなのか?」
「ええ・・・女性の方が良かったですか?」
「いや、過去女性の補佐しかいなかったから・・・・」
「でも、一部の女性検事補たちは、あなたがすぐ手を出すと・・・」
「ホラ、結構評判になっていますね、ジャックの女癖が」
「ウム。幾ら個人の自由と言っても、程があるからなぁ」
「マイクで良かったんじゃないですか?」
「ウム。しかし、マイクに手を出さないと言う保証は・・・・」
「黙る、ということが分かりませんかね?検事長に元次長検事さん方は!!!」
「で、オレがアトキンと似ていると思っていることは分かったが、ミスの原因は?」
「申し訳ありません・・・アトキンと一緒にいる気がして、気が緩んで・・・
本当に、コレじゃダメだと思っているんですが・・・段々慣れてきていますから」
「あぁ、ちょっと緊張するってことか?そんな考えでいいのかな?」
「ええ、確かに・・・一種の緊張かと」
「しかしお前、さっき言っていたが、結構汚い手も使うって・・・
それで、そんな緊張もするのか?」
「僕、気を許した相手には、弱いんですよ。
アトキンの前でも、弱虫で泣き虫のマイクのままでした・・・」
「あぁ、それなら、分かった。じゃ、ココで仕事するようにしろ。
一緒に仕事して飯食って、喋っていたら、段々慣れてくるだろ?」
「あぁ、そうかもしれない・・・」
「じゃ、そうするか。早速、今の案件の仕事、持って来い」
「ハイ、そうします(フゥ大溜息)」
カッター、少しホゥッとした表情で退室。
「良かった、良かった。解決じゃありませんか、アダム」
「まぁ、これからだがな。じゃ、行こうか、ベン」
「ちょっと待ってくださいよ、アダム。座ってください・・・
あんたもだよ、ベン。座ってくれ」
「????一体何だい、ジャック?もう話は済んだんだろ?」
「その通りだ。仕事しろ、ジャック」
「人の話に口を挿むなと、あれほど言ったでしょ?何ですか、アレは!」
「何って・・・補足?いや解説かな?」
「お前の話を、2人で精査して、より良くしようと・・・」
「いーや!単に突っ込んでいただけでしょうが!!
ベン、アダムのお守り、頼んだだろ?あんたまで一緒になって・・・」
「いや、ジャック、誤解だよ。さぁ、私もそろそろ・・・」
「おぉ、そうだな、ベン。我々も資料を整えねば・・・」
「いや、そこに座って下さいよッ!!2人とも!!
どうしてオレが、検事局の暴れん坊だと言われているのか、分かっていないようですね」
「いや、よ~く、分かっているよ、ジャック!」
「一体いつも誰が、お前の尻拭いをしていると思っているんだ?」
「ええ、ええ、オレもよく分かっていますよ、アダム、ベン。
で、今日はどうやったら大統領を直接呼べるのか?
よ~く、お2人にお話しして差し上げようかと・・・!
なんならお望みなら、国連事務総長でもお呼びしましょうか??」
。。。。。。。。。。。。
私は、何故こんなに長くなるのか、ジャック君に教えてもらいたい
。。。。。。。。。。。。。。。。