asahi 松籟閣

2011-12-01 | 日記

越路町、朝日酒造株式会社の松籟閣 ( しょうらいかく ) を写す。本年12月から翌年3月まで休眠に入るところお願いして見せていただいた。創立者の平澤氏が数年掛けて建造した1934年完成の住宅建築である、という。先の中越大地震で壁などが無残にも崩れ相当な被害を被ったが、軸組みは割と平気だったそうで一年後には再公開できた、という。

当時、誰も来ないような村の田圃の真ん中に、こんなにも広くて重厚な住宅があるなんて、誰も夢にも思わなかったに違いない。確かにすばらしい建造物に違いないが、住む、ということになれば、また事情は少し違ってくる。率直な感想をいえば、これは一つの住宅建築のアナクロニズムであろう。やはり何かよそよそしいと言っていいのか、むしろ来客を意識したオフィシャルな空間のような気がする。住宅とはプライベートを主とする建築と考えれば、松籟閣とは一個の実業家のスティタスを重んじた建物であった。ホームではないのである。清水組 ( 現在の清水建設 ) の大友弘設計になるものだという。彼は他に新津記念館、東京の旧正田邸を設計している、という。大友という建築家はどういう人物だったのだろう。

この建物が建てられた頃、ヨーロッパではル・コルビュジエが活躍している。彼の元で働いていた前川国男や坂倉準三はすでに帰国していた。松籟閣はそういう時期の建造物であった。

 


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