『 全詩集 』

2012-05-26 | 日記

         

『 定本 西脇順三郎全詩集 』 は1981年、筑摩書房より発行された。著者が亡くなる1年前のことである。ワインレッド ( でもないか ) の革装で、著者署名入り特装限定版300部の内、これは第142番。この詩集の中で一番好きなのはやっぱり 「 旅人かへらず 」 だろうか。気になるのは 「 トリトンの噴水 」 という散文詩。昔からこのトリトンにはマイっている、意味がぜんぜん分らないにもかかわらず、である。しかし最近、プルーストを読み始めて読書に対する考え方に変化をきたしているから、 「 分る 」 のである。この長い詩はサピアンス夫人のレセプションによって始まる。  

    マダム・サピアンスの晩餐に昨晩招かれてキユプロスの第一日を過した。

    その朝、船の少年 ( 足の裏に刺を立てた少年に似てゐる ) に起されて、み

    ると船は最早や波止場についてから一時間位過ぎていたらしい。すぐ近く

    の岡の上にアテネでは見たこともない樹木が光つてゐた。その影に真白い

    家が隠されてゐた。 ( 「 トリトンの噴水 」 冒頭 )

明日8時からの “ 朝活 ” にこの本を紹介しようと思う。20代、30代の世代には西脇を知ってる方がどれくらい、いるだろう ? 分野が違うとあまり知らないだろうと思う。でもどういう訳かピカソは誰でも知っているのだ。

 


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2 コメント

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Unknown (maki)
2012-05-28 08:36:18
恥ずかしながら昨日、初めて「西脇順三郎」さんを知りました。
普段は素通りしてしまう文学に
これを機にふれてみようかなと思いました。
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Unknown (m.sakai)
2012-05-28 22:16:41
コメントありがとうございます。
ぜひ西脇の詩を読んで見て下さい。
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