赤い表紙の本

2010-04-02 | 日記
エドカア・アラン・ポウ作 吉田健一訳 『 赤い死の舞踏会 』 ( 昭和23年6月15日若草書房刊 ) 。1998年7月20日鎌倉の古書店にて、購入価格は500円。今年からすでに12年前のこと。この間何があったか…。人生は止めることが出来ない。

EDGAR ALLAN POE ( 1809-1849 ) アメリカの詩人にして小説家。訳者の愛好していたものだけを選りすぐったポウの奇異な短編集、と 「 後記 」 に書いてある。その一つの短編 「 リジイア 」 の中で、ポウは FRANCIS BACON ( 1561-1626 ) の言葉を引用している。

 「 凡て絶妙な美しさには必ず何処か奇異な所がある 」

リジイアの容姿について主人公は謂う。「 その顔の美しさに掛けては如何なる女も彼女には及ばなかった。それは阿片喫煙者の夢にも似て鮮麗で、― デロスのアポロの巫女達が昏睡状態に陥った時に訪れる幻想よりも神々しく、それを眺めるものの精神を覚醒して別な世界に誘うのだった。」  このポウの表現もまた奇異である。