さびしい住まい方

2010-04-01 | 日記
栃尾の奥深く、刈谷田川のほとりに U-TURN して、はや二年を迎えんとす。遠く近くに守門岳連山の雪を望み、あさぼらけの雪は銀と銀とに輝き、夢の中に夢を見る昨夜の夢は瞬時に消え果む。ひかりにそまる春の雪の朝。

「 あら物ぐさの翁や。日ごろは人のとひ来るもうるさく、人にもまみえじ、人をもまねか じと、あまたゝび心にちかふなれど、月の夜、雪のあしたのみ、友のしたはるゝもわりなしや。物をもいはず、ひとり酒のみて、心にとひ、心にかたる。庵の戸をおしあけて、雪をながめ、又は盃をとりて、筆をそめ、筆をすつ。あら物ぐるおしの翁や。

  酒 の め ば い と ゞ 寝 ら れ ね 夜 の 雪 」
 
物ぐさの翁・松尾芭蕉 ( 1644-1694 ) の俳文 「 閑居ノ箴 」より引用。まつお君の独居住まいの ATMOSPHERE が伝わってきます。 「 閑居の箴 」 とは、いわば 「 さびしい生活をいましめる 」 とでも言うのでしょうか。俳諧師の諧謔的俳文です。