月のちょうちょう

2010-02-22 | 日記
一日中、空澄みわたる。空青くして地平は白し。福寿草の花のおとずれ間もなし。夜に入りて下弦の月は細く、オリオンは流れる雲に隠れる。

てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った。 
( 安西冬衛 「 春 」 昭和4年 )

写真は、夜空の海峡を行く蝶の光のようにも見えます。かつて、一匹の蝶が韃靼の海を航行したのはなぜ?。詩の題名 「 春 」 は何を意味しているのだろう。春を求めてか、あるいは春になったので、か? 生命の春は、ツガイを求めて命知らずの飛行をするの? そう思うとこのシュルレアリスムの代表作は、実は生命の哀しきレアリスムを象徴しているのかも知れません。下記パラフレーズです。
 
 一匹の雄蝶が死を厭わず 
 一匹の雌蝶を求めて深い海峡を渡った。
 あるうららかな春の日に。

  ( 2月23日夜訂正追記 )