少女の肖像画

2010-02-09 | 日記
『 1Q84 』 の前年、信濃デッサン館にて立原道造展。期間は1983年5月3日-11月23日。
これはその時のポスターで、1929年頃の多分パステル画です。筑摩書房版の 『 立原道造全集 4 』 によれば、「 少女とトランプ 」 というタイトルが付けられています。色鉛筆やパステルをこよなく愛した道造でしたが、24歳の若さで1939年に亡くなりました。昭和の暗澹たる時代に書かれた彼の手紙の一部。

「…旅先で出合った春は美しいけれど、やはり僕は日常のなかであはれに過ぎていった日の追憶の方を深く愛します。(中略) どこかとほくとほく、知らない光と色とにほいの世界へ行きたいと灼きつくやうにねがひます。追憶の世界も美しい、だけれどももっと知らない世界、あたらしい夢が、もっと慕はしいのです。僕も身体も心も健康になり、清らかになる世界、だれもがありがたうとほほえむだけの世界…」

彼の詩集や物語を開く時、何故か僕の心は悲しみで充たされるのです。
「 君に会いたいけれど、いつかいい日はないだらうか 」