ポートレートとメイジブラックチョコレートと

2010-02-03 | 日記
17世紀の少女の唇は瑞々しく、円らな瞳は一瞬何かに戸惑っているようです。この絵は古いポスターで、額縁も石膏が剥がれているような代物です。オランダ・デルフトの「謎めいた生涯」の Johannes Vermeer (1632-1675)作。
絵の前にあるオブジェは、Meiji BLACKCHOCOLATE のパッケージで作製しました。出雲崎の海岸で拾った子供用の下駄を履かせました。この組み合わせには何の意味もありません。
左脇の本は佐藤春夫著『病める薔薇』の復刻本。読みは「やめるそうび」。

「彼の女は考えた ― さうして、静に、涼しく二人は二人して、言ひたい事だけは言ひ、言ひたくない事は一切言はずに暮したい住みたい。さうすれば、風のやうに捕捉し難い海のやうに敏感すぎるこの人の心持も気分も少しは落着くことであらう。」

そう考えた女の差すパラソルは、紫陽花に紫陽花の刺繍のあるもので、薔薇に薔薇の刺繍のパラソルではなかった。