きょうの日は

2010-02-12 | 日記
二月十二日 ( 金 ) 長岡は一日中曇り。寒し。夕べに至り雪。夜ブログを書く。

「 夜森先生の渋江抽斎伝を読み覚えず深更に至る 」 とあるのは荷風の日記 『 断腸亭日乗 』 大正12年5月17日の項。森鴎外作 『 渋江抽斎 』 を荷風はその日、夜が更けゆくのも忘れて読んでいたのですね。

「 三十七年如一瞬。学医傳業薄才伸。栄枯窮達任天命。安楽換銭不患貧。これは渋江抽斎の述志の詩である 」 ( 『 渋江抽斎 』 の冒頭部分 )

サラリーマン時代に地方から東京勤務になった時はとてもつらいものがありました。僕はこの抽斎の詩をノートの端に小さく書いて、小さく切って本の栞にしていました。

「 久しく修養を積んで、内に恃む所のある作者は、身を困苦の中に屈してゐて、志は未だ伸びないでもそこに安楽を得ていたであらう 」 と鴎外は言います。
今夜からまた、岩波文庫版で再読しようと思います。