愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

伝説の発表

2010年11月06日 | 名古屋マーケティング・インカレ
名古屋マーケティング・インカレはあと1か月足らずで本大会を迎えます。正直言って,うちのゼミのチームはどれもまともな発表ができそうにありません。一生懸命調べたはいいが何が主張したいのかが分からないチーム,堂々巡りの議論を繰り返しているチーム,5月から全く進歩がないチームすらあります。しかし,ここでテーマを変えることは絶対に認めないと言い渡してあります。昨年,今頃になってテーマを変えて,「ぼろぼろ」の発表をしたチームがありました。

テーマは変えず,主張を変更していくことは問題ありません。大きなテーマの下で追究する下位目的を変えるということです。これはよくあることです。むしろ,調査が進み,思考が深まれば当然起きることです。研究とは,試行錯誤をしつこく重ねて,主張を修正しながら明瞭にしていく過程なのです。

名古屋マーケティング・インカレで伝説になっている発表に,名城大学の2年生チームによる「長浜商店街の二極化」があります。第2回マーケティング・インカレの参加チームです。長浜チームは,日経ビジネスで読んだ記事を参考にして,当初,日帰り観光客中心の長浜商店街に,地元客や宿泊観光客を呼び込むことができないかと考えて調査を進めていました。滋賀県の長浜市に何度も出向きヒヤリングやアンケート調査を繰り返していました。そこで分かってきたのは,商店街の内部に組織的対立が存在しているという事実でした。彼女らは,それが今後の商店街のあり方に重大な影響をおよぼす可能性があると考え,内部の組織的問題を掘り下げるよう下位の研究目的を変更しました。そして「長浜商店街の二極化」という発表をまとめました。

長浜商店街は,活性化成功事例として,大学の流通関係講義,行政の商業視察,ジャーナリストの商店街ルポでは必ず取り上げられる有名商店街です。マーケティング・インカレに関わっている教員はみなこの商店街の概要は知っていました。しかし,内部の組織的問題までは把握していませんでした。彼女らの発表にはみな驚きました。日経ビジネスで取り上げられたことをきっかけに彼女らは調査を始めたわけですが,当の日経ビジネス関係者もこの発表に驚嘆しました。学部学生の学習レベルをはるかに超えた調査報告だったのです。

長浜チームはテーマは変更しませんでした。愚直に長浜商店街を追い続けました。しかし,調査が進み,様々な事実をつかむうちに,思考が深まり,主張を修正していきました。この修正は単なる思い付きではなく,徹底した調査によってつかんだ事実に裏付けられていました。

うちのゼミで堂々巡りや足踏みをしているチームは,どれほど調査をしてきたのか反省してください。何度も滋賀県に出向いて,一軒一軒小売店にヒヤリングするほどの努力をしたのかどうか。せいぜい,机上でインターネットで調べてみました程度ではなかったか。堂々巡りや足踏みは調査が足りないために起きているのです。机上でうなっているだけだから,足踏みしているのです。調査が進めば,知識が蓄積・整理されます。そうなると主張が明瞭になっていきます。そして事実を踏まえてみると,かつて想定した主張がおかしいと気づけば,それを修正して,的確な主張にたどり着くことができるのです。

うちのゼミ生全員は,先行研究を調べる,事実をつかむ,分からなければ他人に聞く,これを残りの時間ぎりぎりまで徹底してやってください。

「長浜商店街の二極化」以降,われわれ教員は学生の発表を聞いたとき,それと同じレベルに達する発表があるかどうかを確認します。残念ながら,第3回,第4回のマーケティング・インカレでは存在しませんでした。第5回の今回はどうなるでしょうか。

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