アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

上岡敏之 入魂のブルックナー演奏!

2023-03-25 20:00:00 | 音楽/芸術
ついにこの日がやってきた。コロナ感染症により延期を止む無くされていた新日本フィル創立50周年記念演奏会の当日を迎えることができたのだ。
 楽曲はブルックナーの交響曲第8番という、記念演奏会にはとても相応しい大曲で、何と聴衆からのリクエスト第一位の楽曲だとか・・・これにはアントンKも驚きを隠せなかった。もちろんブル8については、大好きな楽曲であることには間違いないが、朝比奈時代からこの大曲に可能な限り触れ、その壮大な世界感に憧れ、それこそ演奏会の前日には楽しみで夜も眠れないこともあったくらい。あの当時からすれば、世の中も様変わりして、クラシックファンにとってもかなりメジャーな楽曲に成長したという事かもしれない。大変喜ばしく思えるのである。
さて、この特別な演奏会は、アントンKにとってやはり近年稀に見ると言えるくらいの感動を呼び、一生涯心に残る演奏となった。自分史上で言えば、1980年9月に目白のカテドラル教会で聴いた朝比奈/大フィルの第8、そして1990年のチェリビダッケ/MPO、同じく1990年のヴァント/NDR、93年のマゼール/バイエルン放送響、そして2016年のスクロヴァチャフスキ/読響に匹敵する演奏内容だったと記載すれば、その凄さがお判り頂けるはずだ。
マエストロ上岡のブルックナーと言うと、「上岡マジック」とかと誇張され、今までに体験のない響きを享受し、時には違和感すら持ってしまった経験もあるが、今回の第8の演奏は、今まで新日本フィルで鑑賞してきた第3、第4,第6,第7、第9あたりとは同一線上には語れない。そこにそびえる楽譜に愚直に向き合うことで、まさにブルックナーが天から舞い降りてきた感覚だった。1mov.の出の弦のトレモロは、極端にppだが、柔らかくおぼろげな印象を持ち、そのテンポも相まって、この演奏ただ事では済まないと直感できたくらい。やはりこの感は的中し、音楽が大きく近づいてくるとオケの各声部の雄弁なことと言ったら想像を遥かに超えていったのだ。特にHrn群の分厚い骨太の音色は印象的で、上岡氏の要求にも完璧に答えているかのようだった。楽曲全体に渡ったVLaの強調や、Timpのここぞの時の爆発は新鮮であり、新しい発見が次々と現れ、我を忘れて夢中になっている自分に後で気づかされた。
掲載写真は、終演後の撮影が許可された演奏会だったため撮影できた、カーテンコールで登場した、ブル8の総譜の背後で聴衆に応えるマエストロ上岡氏とコンマス崔文洙氏。もちろん、こんな歴史的名演を成し遂げられたのは、崔氏のリーダーシップあればこそだが、マエストロとともに安堵の表情で現れた時、そんなお二人の表情に感激してしまい目頭が熱くなってしまった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

新日本フィルハーモニー交響楽団創立50周年記念 特別演奏会
上岡敏之のブルックナー

ブルックナー 交響曲第8番 ハ短調 (ハース版)
指揮   上岡 敏之
コンマス 崔 文洙
     伝田 正秀
2023年3月25日 すみだトリフォニーホール


最新の画像もっと見る

コメントを投稿