アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

小山実稚恵の世界

2015-08-29 22:20:00 | 音楽/芸術

デビュー30周年の小山実稚恵のリサイタルへ行ってきた。

小山の演奏は、昔一度コンチェルトか何かで聴いたことがあると思うが、今回のようなソロのリサイタルは初めて。いずれにしても、どんな音楽が聴けるのか楽しみに出向いてきた。場所は、横浜みなとみらいホール。この大きなホールは、なかなか残響が良く気に行っているホールの一つだ。ここでは、当然のことながらオーケストラの演奏を聴く機会が多い訳で、今日のようにピアノ一台でどのくらい響きが感じられるのかも大変興味があった。

プログラムは、前半にドイツ古典派のシューベルトやバッハ、後半はショパン、リストといったロマン派のものが置かれていたが、聴き終わってみると、やはり前半より後半の楽曲における演奏の充実度がかなり勝っていたように思う。自分の十八番であるショパンは、大変熟練されているのがわかり、楽譜の隅々までくまなく網羅されているような演奏で安定感があった。明らかに聴かせどころを熟知しており、そこではメロディが歌い音楽に身を安心しておくことができた。夜想曲のとろける様な音色にも舌を巻いたが、ポロネーズの和音の響きは、むしろ男性的でありゴージャスで気品に満ちていた。ここは、前半に演奏したバッハのシャコンヌでも言えることで、和音における強い打鍵は、心地よく響き自体とても綺麗に感じることができた。この辺は、やはりテクニックを披露したいところなのだろうが、それに終始する演奏ではなく、楽曲から自分というものを描き、独自性がよく表れていたように思う。

小山の演奏は、総じて行書体の演奏。楷書体の好きなアントンKにとっては、やや物足りない個所も多々あったが、これは好みの問題で、演奏そのものは、30周年に相応しい素晴らしい内容だったと思っている。しかし、小山という名を聞くと、朝比奈隆現役最後の演奏会(2001年10月24日、愛知芸術劇場)を思い出してしまう。アントンKは、この日もちろん聴けなかったが、どんなチャイコフスキーのコンチェルトだったのか、そんな事が未だに気になってしまうのだ。

2015(H27)-08-29   横浜みなとみらいホール 小山実稚恵 ピアノ・リサイタル

シューベルト 即興曲より  OP90-3

                                  OP142-1

                                  OP90-4

                                  OP90-2

バッハ(ブゾーニ)      シャコンヌ

リスト              愛の夢第3番

                 巡礼の年第3年より第4曲「エステ荘の噴水」

ショパン           ノクターン OP9-2

                               ポロネーズ第6番 OP53 「英雄」

                 アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ OP22

(アンコール)

グラナドス           スペイン風舞曲より第5番「アンダルーサ」

アルベニス          入江のざわめき

アルベニス          パヴァーヌ・カプリツィオ