目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

利尻・礼文 プロローグ

2012-07-09 | 山行~北海道

稚内からサロベツ原野へ、海でいえば、オホーツク海側から日本海側へとぐるりと回っていくと、やたらと巨大な三角錐の山が目の前に迫ってくる。こんなところから大雪山が見えるのかとまず思ったのだが、まるで方向が違っていた。日本海側に出ると、明らかに洋上にそびえるそれが見える。利尻だ。礼文島が平べったく見えるのに比べ、それは、まさに海から屹立した要塞のようである。次に北海道を訪れる機会があれば、必ず登らなければと強く心に留め置くことになった。それが90年代半ばくらいだから、はや15年以上も前のことになる。

その利尻行きがかなったのは、8年前である。旅情を盛り上げる夜行寝台列車北斗星で札幌へ入り、特急で稚内へ。一晩泊まった後、フェリーで利尻・礼文をめぐった。2004年の夏だ。その山旅を振り返ってみる。

001p7032000_37月3日(土) 夕方の上野駅は、乗降客で混雑していて、北斗星にこれから乗り込もうとする人が、あっちでもこっちでも記念撮影に余念がない。16:50発北斗星の2号車に山の神と私は乗り込んだ。これから始まる山旅に二人とも上気していた。駅弁とビールを買い込んで、列車が滑り出すのを今か今かと待つ。

コンパートメントを2人で、プライベート空間として占有できるのは、なかなか快適で居心地がいい。18:30頃、缶ビールをプシュッと開けて、のどを鳴らす。山の神は、釜飯の包装紙をはがし始める。私は、深川メシだ。家からもってきた、さくらんぼをデザートに、ちょっとしたディナータイムを過ごす。

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左:旧北海道庁 右2点:植物園

7月4日(日) 駅に停車するたびに、ガタンゴトンと激しく揺れる。そのうち朝6:30になると車内アナウンスが流れた。朝食のご案内だ。少し間を置いて、朝食を販売している7号車に行ってみると、きれいに売り切れだった。札幌まで断食かと思っていると、ワゴン販売のお姉さんがやってきた。バターロールサンド2個入り(¥500)くださいと頼むと、すげなく売り切れといわれるが、すぐに食堂車でお作りしてお持ちしますとなった。それは、7:30ぐらいにようやく届いたのだが、今度はコーヒーが売り切れ。でも、また後から持ってきてもらえることになって何とか朝食らしくなる。

終点札幌には9:18に到着した。コインロッカーに荷物を放り込んで、午前中は札幌市内散策だ。赤レンガの旧北海道庁の中に入ってみる。北海道の開拓の歴史を感じさせくれる建物と展示物だ。その後、北海道大学の植物園に入り(¥400)、潅木園、ニレ並木、バラ園などを見て回る。いかにもという北海道らしい植物に札幌に来たんだと実感がわいてくる。

 

札幌駅に戻り、コーンバターみそらーめん(¥840)を食す。本場みそらーめんはやはり食べないとね。でも、可もなく不可もなくといった味だった。ちなみにこのお店、店名でネット検索してもまったくヒットしないから、つぶれたのかもしれない。腹がくちくなったところで、12:50発の3両編成、特急サロベツに乗り込んだ。目的地の稚内には、出発から5時間かかって17:50に到着した。その間、自販機なし、車内販売なしで、山の神とともに、ずっとのどの渇きに耐えることになった。

ようやく解放されて、車外に出ると、寒い。15℃しかない。5時間椅子に座りっぱなしで、頭がぼぅーっとしているから、この気温は頭を冷やすのにちょうどいいのかもしれない。まずは、背筋を伸ばして、ホテル勝美屋にチェックイン。荷物をホテルに置いて、山の神と街に繰り出す。妙に出歩いているちびっ子が多い。屋台も出ていて、「ゆかた祭り」の文字が踊っていた。今日は祭りなのだ。その割には、人出はいまいちで、一抹の寂しさが残る。歩き回っているうちに郷土料理のおいしそうな店竹ちゃんを見つけた。のれんをくぐり、名物、八角の焼魚定食に舌鼓を打った(¥1,260)。八角はうまいが、ちょっと身が少ないね。

さあてと、明日はいよいよ利尻島へ渡る。

利尻・礼文Part1~大ポン山・小ポン山へ続く
利尻・礼文Part2~利尻山へ飛ぶ
利尻・礼文Part3~礼文岳へ飛ぶ

利尻・礼文Part4~礼文島トレッキングへ飛ぶ
利尻・礼文 エピローグへ飛ぶ

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もう一つの毛無山

2012-07-01 | 山行~伊豆・箱根と富士山周辺

毛無山 標高 1500.1m ミネ山 1241.6m 山梨県

2012年6月24日(日) くもり

メンバー 山の神と私

コースタイム 9:38文化洞トンネル手前登山者用駐車場9:50--10:37ミネ山直下10:49--11:00頃 長浜分岐--11:27毛無山山頂(昼食)12:07--13:05駐車場

寝過ごしてしまった。ふと時計を見ると6:00をだいぶ回っている。ああ、やっちまったかとがっくりときて、ベッドから起き上がると、その気配で山の神も目を覚ます。時計を見て、叫ぶ山の神。気づくの遅し!

6:00を過ぎているとはいえ、まだまだ時間はある。近場だったらムリなく山に行ける。前日に買い置きしていたパンをかじりながら、昭文社の山地図を引っぱりだして眺める。今日は東京に近いほど天気が悪いんだよなあ。せっかく晴れる予報の関越方面で計画を立てていたのに。

ここはどうだ? 河口湖と西湖の間にある毛無山。アクセスはいいし、歩く時間も短い。山の神もうなづいて即決となる。バタバタと用意をして、7:30頃家を出発する。

中央高速に上がると、車はすでに多かった。こんな時間だからね。大月JCTから河口湖方面に入っていく車も多い。おそらく皆日帰りだろうから、帰りはモタモタしていると、たちまち渋滞に巻き込まれそうだ。

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左:文化洞トンネル手前登山者用駐車場。一番奥が登山口 右:駐車場からは河口湖が見える

河口湖ICで下り、すぐに側道に入り右折。途中セブンイレブンに寄って昼食の買出しをする。河口湖畔を走ったのち、西湖に向けて坂を上がっていく。霊園を越えるとすぐに文化洞トンネルが出てきた。9:38トンネル手前の登山者用駐車場に車を入れる。穴場と思っていたから、車がぎっしりと停められているさまには、ちょっと驚かされた。

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左:忠魂の石碑の近くにあった石仏たち 右:松の美林が続く

9:50駐車場を出発。すぐに足和田山との分岐に出る。われわれよりちょっと前に出発した3人パーティは、足和田山へ向かったらしく、もう姿が見えないし、その後も会うことはなかった。思ったより、ここから足和田山を目指す人は多いのかもしれない。

分岐から目と鼻の先のところに、石仏群があった。江戸時代の古そうなものもあれば、比較的新しい最近のものも安置されている。ここから急な上りが始まる。松の美しい林や広葉樹林帯が続く。その中をくぐりぬけていくと、くもっていて薄暗いせいなのか、ヒグラシやセミ、野鳥の声がかまびすしい。まさしく大合唱で、競い合うように鳴いている。

 

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左:十二ヶ岳 右:長浜分岐。幹の下の方には、めり込んだ道標が見えている

長浜の分岐が出てきて、早過ぎないかと思いつつも、上っていく。そのうち、ちょっとしたピークにさしかかり、これはミネ山では? でも、地図を見ると、ミネ山は長浜の分岐の手前にある。それに山頂表示が何もない。何はともあれ、疲れたので休憩だ。ピークからちょっと下ったところで腰をおろした。

休憩後しばらく歩くと、長浜分岐が出てきた。先ほどの分岐は、やはり地図に出ていないのだ。というか山の神がもっていた地図が古すぎて出ていないのか! それにここで長浜分岐ということは、先ほどあったピークはやはりミネ山だろうとなる。

長浜分岐から次第にまた上りになる。セミの抜け殻を見つけたり、ミツバツツジがまだ咲いているのに出くわしたりしているうちに、樹木がなくなってきて、いつのまにか山頂は目前に迫っていた。

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左:毛無山山頂近くでは、アヤメが咲き誇っていた 右:毛無山山頂

山頂までの最後のひと上りは、河口湖や西湖が眼下に広がり、なかなかの絶景を堪能できる。山頂からはさらによく見えるだろうと勝手に思い込み、急ぎ上って毛無山山頂には11:27に到着した。ところが展望は今イチで、樹木にかなり視界をさえぎられている。湖はよく見えないし、追い討ちをかけるように、正面に見えるはずの富士山は、たれこめた雲に覆い隠されていた。富士山は完全休業状態だねと山の神。

山頂では年配のご夫婦がお食事中だった。地元の方で都留から来たという。都留といえば、この毛無山からは、もう指呼の間だ。ちょっとした山歩きとして来たのだろうけど、ここは急登の連続でつらすぎるかもしれない。ただ歩く時間は短いけどね。

004img_5930 眼下には西湖

12:00を過ぎて、下山の準備をしていると、5,6人のパーティが山頂にやってきた。まったく無名で人気のない山なのかと思いきや、そうでもないのだ。毛無を経由して十二ヶ岳へ向かう登山者も若干はいるのだろうか。

帰路は来た道をそのままピストンで下り、13:05駐車場に着いた。朝われわれが目撃していた車は、ほとんどすべて残っている。団体さんが乗ってきたと思われるマイクロバスも運転手ごと残っていた。毛無山ピストン組は、山頂で会った人たちオンリーということなのだろう。

さて、帰る準備ができれば、あとは急ぎ帰るだけだ。道の駅かつやまにちょっとだけ寄って、河口湖ICを目指した。中央に上がって走り出すと、みるまに交通量は増えていく。いつもの小仏トンネルで5Kmの渋滞にハマッたが、大したこともなく、15:30には家に着いた。早く帰宅した分、優雅な夕方を過ごせることになった。

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