目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

NHK「聖なる巡礼路を行く~カミーノ・デ・サンティアゴ1500km」

2020-08-06 | テレビ・映画

NHK総合で7/24(金)に放送された「神秘のヨーロッパ 絶景紀行 聖なる巡礼路を行く~カミーノ デ サンティアゴ1500Km」を見た。世界遺産に登録されている歴史ある巡礼路だ。当初は番組で取り上げた道が唯一の巡礼路と思っていたが、調べてみるといくつも巡礼の道があって驚かされる。巡礼の終着点は、スペイン北東部にあるサンティアゴ大聖堂で、ここにイエスの十二使徒のひとり、聖ヤコブの墓がある。偶然この地にヤコブが埋葬されているのがわかり、この大聖堂が建てられたということだ。

番組では、古代より聖なる地とされている南仏ル・ピュイ・アン・ヴレイのノートルダム大聖堂から、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路への第一歩を踏み出す。この巡礼路をたどると、全長1500Kmにも及ぶというから長い。日本でいえば、東京・青森間を往復するくらいの距離はある。この距離を歩き通そうというのだから、巡礼者の意気込みたるや、清水の舞台から飛び降りるくらいだろう。

巡礼路には、中世から続く赤い屋根が連なる美しい村や、美の極致といわれるサンピエール修道院教会の回廊、塔とアーチの構成が美しいヴァラントレ橋などすばらしい絶景や見どころもあれば、風景がまったく変わらない単調な道が延々と続く箇所もある。難所もあって、オーブラックの荒れ地、そしてなんといっても高低差1400mもあるフランス・スペイン国境のピレネー山脈。ピレネー越えはやはり最難関で、巡礼者向けにレクチャーをする施設まで設けられている。

番組で印象的だったのは、この巡礼路を歩く人たちの抱えたそれぞれの事情だ。皆挫折や悩みを抱えて巡礼路を歩いている。いわば四国のお遍路さんのようなものだ。大病を患ったフランス人シェフ、親孝行のために老親を連れたブラジル人の息子、会社勤めに行き詰まりを覚えた台湾の元OL、悪童だったと思われる小学生時代からの友人と歩くスペインの老人たち、離婚、娘の家出で独りぼっちになってしまったフランス人主婦、単独で歩く日本人女性も登場していた。

巡礼者は無料の宿泊所で厚いもてなしを受け、道々数々の教会や聖堂で祈り、賛美歌を歌い、ひたすら前進し、巡礼地で偶然出会った人たちと語らい、新たな自分の人生を見つけ切り開いていく。それがこの巡礼で得られるものだ。人生で思い悩んだら、自分の人生を見つめなおす時間が必要。年々巡礼者が増えているというから、それだけ自分の人生を見失い立ち止まっている人が増えているということかもしれない。

私も機会あれば、山の神とピレネーから歩いてみたいものだ。

蛇足ながら最後に一言。老親とともに巡礼をしていたブラジル人へのインタビューで、この地を訪れたきっかけを問うていた。それはパウロ・コエーリョ『星の巡礼』を読んで感銘を受けたからという答えだった。作家名もタイトルも聞いたことはあったが、この巡礼の話だったとは知らなかった。迂闊。これを機に読んでみようと思った。

 

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