降誕節が近くなると思いだすのが、マクリーシュとガブリエリ・コンソート&プイヤーズによる標記のCD(ポリドール POCA-1085)。このCDの特徴は、「1620年頃、(ローマの)サンタ・マリア・マッジョーレで挙行されたであろう」ミサの再構成という副題が示しているように、降誕日第3ミサの式次第にそい、典礼音楽が再現されているところ。「私的CD評」の「1595年、ヴェネツィア総督の戴冠を祝するミサの再現を聴く」で紹介された「A Venezian Coronation 1595」と同じ趣旨のCDです。
マクリーシュたちによる「ローマのクリスマス」では、通常文はパレストリーナのミサ「今日キリストは生まれたまいぬ」が歌われ、固有文は朗唱やグレゴリオ聖歌で歌われます。また、グラドゥアーレやカノンなどは器楽曲とモテトゥスに替えられ、ほんらいあるべき使徒書と福音書の朗唱は省かれています。とりあげられた作曲家は、ジョスカン、パレストリーナ、ビクトリア、フレスコバルディと多彩で、演奏も無伴奏の合唱から、通奏低音付のモテトゥスまで、こちらも多彩です。
ところで、この「ローマのクリスマス」には姉妹盤があり、それは同時代のルター派ミサの再構成した「プレトリウス:クリスマス・ミサ」。時間があればその「プレトリウス:クリスマス・ミサ」と、バッハのライプツィヒでの顕現節のミサを再構成した「BACH EPIPHANY MASS」を紹介する予定です。どのCDも、ミサ曲、モテトゥス、カンタータや器楽曲が、礼拝のなかでどのように響き、機能していたかがよくわかるもので、「こうであったであろう」雰囲気をよく伝えてくれます。