毎日バッハをきいていこう!

一日一バッハ




受難節にでも紹介しようと思っていた礒山雅博士の遺作『ヨハネ受難曲』(筑摩書房)。この『ヨハネ受難曲』は、博士論文「J・S・バッハの『ヨハネ受難曲』―その前提、環境、変遷とメッセージ―」の一般読者むけとでもいうべきもの。国際基督教大学に提出された学位論文(「内容要旨と審査結果要旨」による)の章立てと、『ヨハネ受難曲』のそれが同一なので、学位論文とはさほど大きなちがいはないとみられます。つまり、一般読者むけとはいえ、かなり専門的で、濃い内容であるこということです。とばし気味に読むというより、じっくり読むバッハ本ということになります。

個人的に興味深かったのは、第3部第10章の「《ヨハネ受難曲》第二稿」です。第2稿による録音が増えるなか、その解説書ぐらいしか概説がなかったのですが、この本では概説とともに、第2稿のみ採用の楽曲の歌詞および音楽についてのまとまった解説があり、愛好家にとっても価値は高いと思います。この労作でざんねんなのは、多くの愛好家が期待していた演奏史について、記述がないことでしょう。一般読者にむけてというなら、それは必須といえるのでしょうが、著者が亡くなっているので、それはもう望むことはできません。

ヨハネ受難曲

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