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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ファンクか4ビートか、ルー・ドナルドソンの物思い

2019-10-11 20:32:29 | Soul Jazz
Cosmos / Lou Donaldson (Blue Note)

とても進歩的なジャズメンのひとりがルー・ドナルドソン

というのは、例によってサイケおやじの独断と偏見かもしれませんが、しかしビバップ~白人主導のクールジャズや所謂ウエストコーストジャズが全盛だった1950年代前半、逸早くハードバップと称された如何にも黒人らしいファンキーなスタイルを推進し、その盛り上がっていた最中にオルガンやギターを入れたロッキンソウルな快楽ジャズ路線へ転進しての人気獲得は、今も売れているアルバム群やシングルヒット「Alligator Bogaloo」等々に刻まれている事は言わずもがな、さらに進化したクロスオーバーやフュージョンが大流行した1970年代になると、今度は素早く往年の4ビートを基調とした伝統的なスタイルに回帰したのですから、これには変わり身が早くてカメレオンとまで呼ばれる(?)ハービー・ハンコック(p,key) や所謂新伝承派を標榜したウイントン・マルサリス(tp) あたりも脱帽するしかないでしょう。

しかし、ルー・ドナルドソンが世渡りだけで様々なスタイルの演奏をやっていた事は決してないはずで、そのターニングポイントと推測可能なレコードが後付けながらも確認出来ると思えば、1971年に発売された本日ご紹介のLPも、サイケおやじに様々な感情を呼び覚ましてくれる1枚です。

録音は1971年7月16日、メンバーはルー・ドナルドソン(as) 以下、エド・ウィリアムス(tp)、レオン・スペンサー(key)、メルヴィン・スパークス(g)、ジェリー・ジェモット(el-b)、アイドリス・ムハマッド(ds)、レイ・アルマンド(per)、さらにエッセンスと名乗るミルドレッド・ブラウン、ナオミ・トーマス、ロザリン・ブラウンの3人組ボーカルグループ等々がアルバム裏ジャケに記載されておりますが、他にも助っ人の参加があるのかもしれないという疑惑(?)は、アルバムを聴き進めていけば納得されると思います。

A-1 The Caterpillar
 覚悟はしていたつもりでも、これは凄まじい嵐のジャズファンク!
 総論、終わり!
 と書いてしまえばミもフタも無いほどに熱いソウルが噴出した演奏で、いきなりシンプルなベースのリフからファンキーなリズムギター、16ビートのドラムスにエッセンスのクールでブラックなゴスペルユニゾンのボーカルがテーマメロディを歌い上げ、電子オルガンの下支えに煽られ(?)たようにトランペットとアルトサックスが出てきますが、ここはやっぱりリズムセクション&コーラスボーカルの存在が強いですねぇ~~!?
 曲調は、なんとなく初期のスライ&ファミリー・ストーンみたいな感じで、それゆえにルー・ドナルドソンのアドリブが聊か間延びした雰囲気に思えますが、キメるところはきっちりキメてから、レオン・スペンサーに美味しいパートを譲っているのは親分の貫禄でしょうか。
 あぁ~~、このオルガンのアドリブソロとバックのギター、ベース&ドラムスの演奏は、もっともっと長く続いて欲しいと思わざるを得ないです。

A-2 Make It With You
 おぉ~~、これはブレッドのヒット曲「二人の架け橋」のカバーとあって、ミディアムテンポでソフト&メローな演奏を聞かせてくれますが、ここでもコーラスボーカルが良い味出しまくり ♪♪~♪
 またメルヴィン・スパークスのアドリブが、これまたヘタウマ寸前の匠の技とでも申しましょうか、ツボをしっかり押さえた歌心は侮れませんし、レオン・スペンサーもニクイばかりですよ ♪♪~♪
 そして個人的にはジェリー・ジェモットのベースが地味~~に素晴らしくて、シビレます!

A-3 If There's Hell Below (We're All Going To Go)
 これがまた問題の演奏というか、全篇で鳴り響くファンキーなリズムギターはワウワウも使っているようですし、ビシバシのドラムスとパーカッションにグルーヴィなリフを重ねるエレキベース、さらにはボトムから盛り上げていくオルガンは過激にノリますからねぇ~~~♪
 もはやルー・ドナルドソンは、神棚の親分みたいな感じですが、惚けたリードボーカルが御本人かと思えば、ここぞっ! で入ってくるシンプルなアルトサックスの意味付けも確かなんでしょう。
 と、書いてしまうのは、やっぱりここでもリズム隊各人のプレイばっかりに耳が惹きつけられるからでして、良くも悪くも、これは凄い演奏と思うばかり ♪♪~♪
 特に終盤、トランペットのアドリブのバックのリズムセクションは強烈ですよっ!
 ちなみに原曲はカーティス・メイフィールドが自作自演した1970年のニューソウルな人気名曲なんで、こちらも機会があればお楽しみ下さいませ。シングルバージョンが殊更に熱いです。

B-1 Caracas
 さてさて、A面が相当に過激だった所為でしょうか、B面ド頭にはルー・ドナルドソンが1954年にレコーディングした陽気な自作曲が再演されていて、ちょっとした安心感を与えてくれるのは流石、名門「ブルーノート」の品格でしょうか。
 しかしそれでも演奏は緩やかなラテンロック気味であり、これはまあ、当時の流行のひとつでもあったんですが、テーマメロディをユニゾンするコーラスボーカルがあってこそ、レイドバック(?)したルー・ドナルドソンのアルトサックスには和んでしまいますし、何故か途中に妙なエコーというか、オクターヴマシーンが使われたようなサウンドになっているのは、これでいいのかっ!?
 そしてここではエド・ウィリアムスのトランペットが伸びやかな下世話さを発揮していて、サイケおやじは好きですし、メルヴィン・スパークスも敢闘賞ですよ ♪♪~♪
 もちろん、レオン・スペンサーは言わずもがなの快楽主義ということで ♪♪~♪

B-2 I'll Be There
 これまたジャクソン5の大ヒット曲をジェントルに演じてしまったというシャリコマ路線と言うなかれ!
 ここまで衒いの無い姿勢こそがルー・ドナルドソンの持ち味でしょう。
 その所為でしょうか、メルヴィン・スパークスが歌いまくったアドリブを披露するんですが、途中から妙にアウトスケールの迷い道に入り、最後はきっちり纏めるという憎らしさ!?
 ですからレオン・スペンサーのオルガンには一層夢中にさせられるのでした。

B-3 When You're Smiling
 オーラスは一番に「らしい」という4ビートによるスタンダード曲の演奏ですから、イノセントなジャズファンにも必ずやウケる快演が、ここに楽しめます ♪♪~♪
 それは エド・ウィリアムスのトランペットが楽しく歌えば、メルヴィン・スパークスのギターやレオン・スペンサーのオルガンが正統派の実力を披露し、いよいよ登場するルー・ドナルドソンの露払いを立派に務めるのですから、親分も大ハッスルと書きたいところなんですが、さあ、これからってところで無慈悲にもフェードアウト……。

う~ん、ということで、冒頭でターニングポイントと書いたのは、実は最後の「When You're Smiling」があまりにもルー・ドナルドソンにハマリ過ぎて、かえってアルバム全体が中途半端な印象になっている感じが残るからです。

もちろん、そんな気分はサイケおやじだけなんでしょうが、それにしても個人的には、ここでのリズムセクションだけの演奏を延々と聴いていたいという不遜な気持ちを打ち消せません。

それほど、このアルバムでの彼等のグルーヴは強烈な快楽感に満ちているんですよっ!

裏を返せば、ここでの参加メンバーは当時のルー・ドナルドソンのバンドではレギュラーだったと思われますし、日本では一般に無名なトランペッターの エド・ウィリアムスにしても、一緒にレコーディングを残した数枚のアルバムが確認されているんですから、ライブギグの日常では、これに近い演奏を繰り広げていたのかもしれません。

そんな中、ルー・ドナルドソンが浮いていた場面があったとすれば、もう……、そろそろ自分は4ビートでの勝負の場に戻る決意というか、きっかけを模索していたんじゃ~なかろうか……?

なぁ~んて、とんでもない妄想を抱いてしまうんですよ、このアルバムを聴いている時のサイケおやじは。

当然ながら、ルー・ドナルドソンは以降もクロスオーバーやイージーリスニングに接近したアルバムを出していくんですが、ここまでの過激さは薄れていき、むしろ保守的なスタイルに輝きを増していた事は、残されたレコーディングに接すれば、なんとなくでも感じられてしまうのですが、いかがなものでしょう。

うむ、確かにジャケ写に登場している親分は、何かを考えているようだ……。
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今日は…

2019-10-10 19:26:18 | Weblog

ちょっとゴタゴタが……。

さらに関係者の通夜出席のため、本日の1枚は休載させていただきます。

そして明日から連休中は強烈な台風も直撃という予報なので、覚悟はしておりますが、どうか被害が最小ですみますように祈るばかりです。

また、ちょっと言わせていただきたいのが、神戸の小学校であったという教職員間のリンチ的イジメ事件!

だいたい職場でそ~ゆ~悪ふざけ以上の事をやっている状況にも驚きますが、周囲が傍観している感じにも疑問が打ち消せませんし、校長が責任転嫁的な言い訳を弄している事にも呆れてしまったですよ。

加害者連中は、とりあえず生徒に接触させないという疑似謹慎的な仮処分らしいですが、そんなゴクツブシに俸給を血税から出さねばならない現実は、ど~にも納得出来ませんねぇ~~~。

校長も含めて、懲戒免職が妥当だと思うばかりです。

失礼致しました。

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既に1年前のオールマンズの真相

2019-10-09 17:04:12 | Allman Brothers Band
Fillmore East February 1970 / The Allman Brothers Band (Berr's Sonic Journrls = CD)

  01 In Memory of Elizabeth Reed
  02 Hoochie Coochie Man
  03 Statesboro Blues
  04 Trouble No More
  05 Outskirts of Town
  06 Whipping Post
  07 Mountain Jam

またまたオールマンズの周辺が騒がしくなっているのは、あの歴史的名盤「アット・フィルモア・イースト」の約1ヶ月前のライブ音源が堂々の4枚組CD公式盤「フィルモア・ウエスト '71」として世に出たからでして、それはどうやらオールマンズのローディが所有していたテープをリマスターしたとの情報が伝えられたもんですから、サイケおやじも速攻でゲットし、極力時間を見つけては謹聴し、拙ブログにてご紹介するべく、あれやこれやと思うところを纏めているんですが、その前段として、まずは取り上げておきたいのが、掲載のCDです。

それはタイトルどおり、件の「アット・フィルモア・イースト」よりも遡って約1年前、1970年2月のフィルモアイーストでのライブ音源で、これまでにもハーフオフィシャルというか、1997年にグレイトフル・デッドの自主レーベルから発売されていたCDと基本的に内容は同一です。
 

また、関連ブートも様々に出ていた事は言わずもがなの音源で、実はこのライブギグは1970年2月11日&13~14日にグレイトフル・デッドと共演した時にレコーディングされながら、オールマンズの面々は全くその存在を知らずにいたという逸話があったんですが、真相はデッド・ファミリーのサウンド・エンジニアだったオウズリー・スタンリーが録音していたサウンドボードからのソースですから、今も次々に世に出続けているデッド関連のライブ音源と同様の品質があるのは当然 ♪♪~♪

ただし、残されている大元の音源はテープチェンジ等々の理由からトラックの中には欠落がある不完全な演奏もあり、それゆえに良いところを集めて編集し、1枚のCDに凝縮された理由かと思われます。

というのも、再発された掲載盤が世に出た時、オウズリー・スタンリーのネットサイトでは関連する情報が公開されており、不完全な演奏も含むコンプリート音源集が限定的に販売されておりましたが、サイケおやじは無念にも入手出来ず、それでもダウンロード版だけはどうにかゲットしましたので、データだけ下記に掲載しておきます。

 ★February 11, 1970
  01  In Memory of Elizabeth Reed
  02 Statesboro Blues
  03 Trouble No More
  04 Hoochie Coochie Man
  05 Mountain Jam (Incomplete)

 ★February 13, 1970
  01 In Memory of Elizabeth Reed
  02 Outskirts of Town (Cut)
  03 Mountain Jam (Incomplete)

 ★February 14, 1970
  01 In Memory of Elizabeth Reed
  02 Hoochie Coochie Man
  03 Outskirts of Town (Incomplete)
  04 Whipping Post
  05 Mountain Jam (Incomplete)

さて、いよいよ掲載盤については、まず音質が以前に出ていた「1997年盤」からリマスターされたとの事で、確かにサウンド全体に迫力というか、低音域の厚みが増している感じですし、編集されたと思しき箇所も丁寧に処理し直されたように思います。

で、肝心の演奏内容は、まずこの時点では公式レコード発売の無かった初っ端の「In Memory of Elizabeth Reed」が既に曲の流れや展開が固まっていて、しかも独特の落ち着きがイイ感じ ♪♪~♪

説明不要とは思いますが、当時のオールマンズはデュアン・オールマン(g) とグレッグ・オールマン(vo,key) の兄弟を中心にディッキー・ベッツ(g)、ベリー・オークリー(b,vo)、ブッチ・トラックス(ds,per)、ジェイ・ジョニー・ジョハンスン(ds.per) という面々が、各々の個性を発揮しつつ、グループとしての纏まりにも気を配っていたと思われる、なかなか前向きなヤル気がビンビンに伝わって来る上昇期の勢いが素晴らしく、それが最初は客観的(?)だったと思われる聴衆を惹きつけていく様子が、この音源を聴き進めるうちに感じられるんですが、いかがなものでしょう。

それはベリー・オークリーが歌う「Hoochie Coochie Man」でのブルースロックな熱気、ご存知デュアン・オールマンのスライドが泣きながら絡みつく「Statesboro Blues」や「Trouble No More」は、最も我々が馴染んでいる「らしい」演奏でしょう。

タメとモタレが交錯するツインのドラムスも憎めません ♪♪~♪

またブルース歌謡の「Outskirts of Town」ではミディアムスローでムードに浸りきったグレッグ・オールマンのボーカルにグッと惹きつけられますし、このブル~~スなギター!

あぁ~~、このフィーリングはコピーしようと思ったって、相当の修業と精進を積み重ねなければ、容易には叶わない世界ですよねぇ~~~♪

そしていよいよのクライマックスが所謂ジャムバンドとしてのオールマンズの神髄とも言うべき「Whipping Post」と「Mountain Jam」の二連発ですから、たまりません ♪♪~♪

既に述べたとおり、ここで記録されている音源には完奏されていないトラックがありながら、全体として違和感無く纏まって聴ける仕上げは素晴らしく、それゆえにステレオミックスの長短所と申しましょうか、各メンバーの楽器の定位が演奏中の曲であっても右や左や中央に分散展開(?)され、特に2本のギターがゴッタ煮となっていたり、ツインのドラムスが走ったり、モタついたりの結果オーライ的なポリリズムも、それが生々しいライブの醍醐味!?!

そのあたりを分析鑑賞していると、凄いに決まっているデュアン・オールマンに負けず劣らずのディッキー・ベッツのギターも素晴らしく、本当に熱くさせられますっ!

告白すればサイケおやじは、だからこそ、このライブ盤が大好きなんですよ ♪♪~♪

という本音は決して言い訳ではないつもりです。

ということで、やっぱりオールマンズは最高です。ロックが熱かった時代が、ここに聴けるんですよねぇ~~♪

ちょいとでも興味を抱かれた皆様には、ぜひとも聴いていただきたいと激オススメのCDです。

さあ、次は「フィルモア・ウエスト '71」だっ!
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茶木みやこのAORな秋

2019-10-08 19:37:27 | Singer Song Writer
静かな夜 / 茶木みやこ (ハーベスト)

洋楽のブームを直ぐに取り入れるのが我が国音楽界の常識的意欲ですから、殊更そ~ゆ~情報が普通にどんどん入って来る様になった昭和50年代には、洋楽と全く変わらぬ気持ちで日本人ミュージシャンのレコードを聴ける環境が整備されたと言っては、例によってサイケおやじの大げさな独断でしょうか。

しかし、中でもニューミュージック系の歌手やグループには自作自演が得意な才能が次々に登場し、所謂シンガーソングライターが有能なスタジオ系ミュージシャンと共に作ったレコードには、今も不滅の輝きを持った作品が少なくありません。

一番有名なところでは松任谷由実=ユーミンを引き合いに出せば、納得されるはずと思いますが、昭和52(1977)年に本日掲載のシングル盤を出した茶木みやこも、ピンク・ピクルスとしてデビューして以降のしばかくは歌謡フォークのシンガーソングライターという認識だったんですが、洋楽でも当初はシティミュージックと呼ばれていたAORが主流になると、畑違いの歌手やバンドがそれらしいサウンドを志向するようになり、結果的に玉石混交のレコードがどっさり残された中にあって、茶木みやこはきっちり傑作を出していて、そのひとつが作詞:岩沢律&作曲:茶木みやこによる掲載盤A面収録の「静かな夜」です。

とにかくミディアムテンポで幾分曖昧なメロディラインにちょっぴり露骨(?)な女性の欲望とまでは言いませんが、寂しい夜の独白みたいな歌詞を儚くもハートウォームな声質と節回しで歌ってくれる茶木みやこに寄り添うストリングスと絡みつくエレピ、さらにはシンコペイトしたベースとビシッとキメたドラムス、ノー文句に上手いギターという見事な演出コラボ(?)が本当に気持ち良いんですねぇ~~♪

実はこの「静かな夜」は同年に製作発売されたアルバム「レインボウ・チェイサー」のA面ド頭に収録されていて、そこからのシングルカットなんですが、件のLPは全篇が同系のサウンドに纏められていて、プデュースとアレンジはミッキー吉野、バックを務めたのは当然ながらゴダイゴの面々が中心ですから、今も人気の名盤になっているのは必然と納得されるはずです。

そうです、ここでの素晴らしいエレピはミッキー吉野 ♪♪~♪

また、当時の茶木みやこは既に述べたとおり、AOR路線に入っての名曲名唱を連発しており、「静かな夜」の前作シングル曲「まぼろしの人」、そして次作「あざみの如く棘あれば」という2作がTBS系列で放送されていた古谷一行主演のテレビドラマ「金田一耕助」シリーズのテーマ&挿入歌に使われていたのですから、お茶の間への浸透度も高く、もちろん前述LP「レインボウ・チェイサー」にも収録されています。

しかし、これはファンとしての一方的な嘆きではありますが、この翌年にはレコード会社を移籍し、結婚等々から活動を休止されてしまったのは寂しかったですねぇ……。

それゆえにと言うのは許されないとは思いますが、サイケおやじは今もLP「レインボウ・チェイサー」は愛聴盤になっていますし、シングル盤にも好きなレコードが幾枚もあります。

もちろん、現在も活動している茶木みやこは他にも多くの名作を残している事は言うまでもありませんので、本日のご紹介は、あくまでもサイケおやじの私的愛聴盤ということで、ご理解願えれば幸いでございます。

皆様にも、機会がございましたら、ぜひともお楽しみ下さいませ。
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これで朝からトレーン!

2019-10-07 19:52:48 | Jazz
Blue World / John Coltrane (Impulse! / Universal Music = CD)
 
  01 Naima (Take 1)
  02 Village Blues (Take 2)
  03 Blue World
  04 Village Blues (Take 1)
  05 Village Blues (Take 3)
  06 Like Sonny
  07 Traneing In
  08 Naima (Take 2)

例えブートであろうとも、未発表の発掘音源が出る度にファンを熱くさせるのがミュージシャンのステイタスだとすれば、ジョン・コルトレーンは常に大歓迎されるジャズの巨匠ですから、それが堂々の公式盤であるほどに世界中は大騒ぎっ!

なんとっ!

本日ご紹介のCDはジョン・コルトレーン(ts,ss) 以下、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) という所謂黄金のカルテットが1964年6月24日、カナダ国立映画製作庁の作品「The Cat in the Bag」のサントラ用にレコーディングした、まさに歴史的にも全盛期のジョン・コルトレーンが記録されているという前振りが強烈でした。

と書いたのも、結論から述べさせていただければ、これは確かにルディ・ヴァン・ゲルダーが手掛けたスタジオレコーディングですから、音は申し分ありませんが、如何せん、曲毎の演奏時間が短く、ほとんどテーマメロディしかやっていないトラックもあったりして……。

もちろん演目はジャズ者にとってはジョン・コルトレーンの聖典として殊更耳に馴染んでいるはずですから、未発表曲とされる「Blue World」にしても、以前にレコーディングしたスタンダード曲「Out of This World」をスローテンポで再演しただけと思うんですが、いかがなものでしょう。

そう思えば、ジョン・コルトレーンは多数残されているライブ音源では結果的に同じ曲を何回もレコーディングした(された)とはいえ、スタジオでの再演録音は珍しいような気がしますので、その意味からして今回の発掘音源は貴重なプレゼント!?

そしてサイケおやじ的には、朝っぱらから聴けるジョン・コルトレーンなんですよっ!

つまり朝イチに気合を入れ、その日を厳かな気分でスタートさせたい時、これまでは「Spirtual」とか「Crescent」あたりを鳴らしていたんですが、このアルバムはド頭からイケますし、長くて狂熱的なアドリブが無いですから、すっきりとジョン・コルトレーンの世界に浸れるわけです。

それが軟弱と言われようが、あるいは分かっていないっ! と罵られようとも、サイケおやじの「朝からトレーン」という気分には、この発掘CDがジャストミートであります ♪♪~♪
 
最後になりましたが、以前の大ニュースとして、2008年にハリウッドのユニバーサル倉庫の火災から夥しい貴重な音源のマスターテープが消失したいう事件が報じられましたが、ジョン・コルトレーンの遺産は助かっていたんですかねぇ~~。
 
その真偽は定かではありませんが、まずはこの様な音源が世に出ている事はありがたい話です。
 
乞うご期待 ♪
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開いていたシビルの部屋

2019-10-06 17:43:24 | Soundtrack
シビルの部屋 / 斉藤麻美 (ワーナーパイオニア)

日本映画には「成人」とか「ピンク」と称されるジャンルがあり、それは説明不要、セックスや女の裸、エロスと背徳、さらには過激な暴力的描写を含んだ強制性交、つまりは強姦、あるいは野外セックスやSM等々、とにかくギラギラした男の欲望を満たす事を標榜した作品が、特に昭和の時代には堂々と街中の映画館で上映されていました。

もちろん、そのものズバリの映像なんかは無く、なるべくそこが見えないながらもギリギリを描くのが監督以下製作スタッフの力量の証明でもあったんですが、それが素晴らしすぎるほどに過激な内容は当局の取り締まりの対象になっていた事は言わずもがな、上映中止や関係者の逮捕~裁判沙汰が常に芸能ニュースばかりか、社会的事件として扱われていたのはサイケおやじと同世代の皆様であれば、あぁ~、あれかっ!?!

しかも、それは日本映画ばかりじゃ~なくて、海外製作作品ともなれば実情は尚更に様々で、現実的には既にポルノ解禁となっていた国の作品であっても、そこには所謂ボカシを入れなければ、我が国での上映は不可能でしたから、所謂「洋ピン」と称されたフイルムは、何の繋がりも無い複数の作品を強引に編集したものにテキトーなエロいタイトルをつけて公開されていた、もはや「映画」とは呼びたくないものまであっんですよっ!

でもねぇ~~、それでも当時の野郎どもは見たかったんですよ、ジンガイ女のヌードやマグワイの動画をねっ!

しかし、そんな状況に風穴を開けたというか、同じ人間であれば、「女」だって「男」同様に性的衝動がある以上、そ~した映画に興味は無いとは決して言えないはずという信念的常識から宣伝公開され、見事に大ヒットしたのが「エマニエル夫人」というのは穿った定説かもしれませんが、確かに映し出された映像には美しさがあり、所謂ソフトポルノとして、一般の洋画と同じ感覚とまでは行かなくとも、女性だって堂々と鑑賞出来る免罪符が交付された事は確かです。

で、以降フランス製作の同系の映画が期待どおりに輸入され、それなりにヒットした中にあって、昭和52(1977)年秋に公開された「シビルの部屋」は原作が前述「エマニエル夫人」を書いたエマニエル・アルサンであり、しかも彼女の自伝的作品とまで宣伝されたのですから、忽ち話題沸騰!

しかも、その内容は確かに我が国におけるJK世代の美少女がヌードやセックス等々を綺麗な映像美の中で魅せる(?)という物語で、現代で云うところの「ロリータポルノ」でしたからねぇ~~~。

ストーリー展開のきっちりした分かり易さもあって、思春期の曖昧な希望とか、ユーモアや人間関係の不条理を巧みに混ぜながら、白人美女のセクシー場面が、そこにあるってもんですよ♪♪~♪

そ~いえば当時、「ヤング・エマニアル」とか云々、そんなキャッチコピーもあったと記憶しているんですが、そんなこんなで見事に映画は大ヒット!

関連作品とか、便乗映画も公開される騒ぎ(?)になったんですが、本日ご紹介のシングル盤もそのひとつというか、一応は日本公開に合わせた主題歌扱いとはいえ、実際にはイメージソングでしょうか? 映画本篇をリアルタイムで鑑賞したサイケおやじにしても、実は全く記憶にないんですよ……。

しかし、それから数年後、例によって中古屋で猟盤活動をしていたサイケおやじの触手に引っかかったのが掲載のシングル盤でして、正直発作的にゲットしたわけですが、針を落としてみると、これがなんとっ!

ロリータボイスのボサノバ歌謡!?!

歌っている斉藤麻美につていも知っている事は何も無く、しかしジャケ写のアンニュイなポートレートが、ちょいと思わせぶりな和風の面立ちというのも、実は歌声には必ずしも合致しないと思うんですが、それはそれとして作詞&作曲:森雪之丞、編曲:青木望が作り出したのは、件の映画そのものの様でもあり、特段の思惑も無いニューミュージック歌謡としても、なかなかイケていると思いますねぇ~~♪

ただし、サイケおやじにはロリ趣味が無いので、映画本篇も冷静(?)に観られたような気がしますし、このシングル曲「シビルの部屋」にしても、本日聴いてみたら、ど~にもアニメ声に思えたんですから、いやはやはなんとも……。

でも……、愛好者には最高のプレゼントかもしれませんよ。

そ~いえば思い出したんですが、映画「シビルの部屋」は昭和50年代末頃にテレビでも放送されたんですよっ!

その時もかなり話題になって、 主演女優のアン・ザカリアスのインタビューも放送されたような朧げな記憶がありますが、ど~だったかなぁ……。

ということで、本日は特段のオチもありませんが、本篇「シビルの部屋」はDVD化されていますし、輸入版ならば「ボカシ無し」のバージョンも入手出来ますが、過大な期待は禁物です。

最後になりましたが、劇中に登場する従兄弟は早い話が完全にシビルに遊ばれたというか、一応は最初のセックス相手ではありますが、精液を搾り取られたり、彼女の本命のダシに使われる役柄には、なんとも同情してしまいましたよ。

まあ、そんなこんなも映画の楽しさのひとつ……、なんでしょうねぇ~~♪
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夏でも秋でも八神純子の節は永遠

2019-10-05 19:53:19 | Singer Song Writer
Touch You, Tonight / 八神純子 (ディスコメイト)

今日は、なんか10月とは思えないほど暑かったですねぇ~~~!?!

そこで季節外れの夏向きの曲をお題にしようとレコード棚を漁っていたら、掲載盤のジャケットが引っかかって、あれぇ~~、八神純子のレコードだけど、ジャケ写はちっとも本人らしくないよねぇ~~!?

正直、忘れていたとはいえ、八神純子のレコードだとは瞬時に分からなかったという自らの不明を恥じ、針を落としてみたら、これが秋にはジャストミートのAOR歌謡だったんですから、いやはやなんとも、言い訳にも窮する次第です。

しかし、繰り返しますか、作詞:三浦徳子&作曲:八神純子が狙ったのは完全に大人の世界ですし、瀬尾一三のアレンジも当時の流行最先端だった、ちょっぴりブラコン系のAORがド真ん中 ♪♪~♪

なによりもサウンド作りが、発売された昭和57(1982)年10月という時代そのまんまで、当時を体験された皆様ならば、これこそ典型的な同時代の「洋楽の音」と、納得して懐かしい気分になられるんじゃ~ないでしょうか。

演奏メンバーは今剛(g)、西本明(key)、岡沢茂(b)、林達夫(ds) というリズム隊をメインに当時トップのスタジオミュージシャンが参集しており、それはこの「Touch You, Tonight」も収録して翌年に発売されたLP「ロンリーガール」へ受け継がれる現在進行形の流行歌でありました。

しかし、決してこの「Touch You, Tonight」はヒットしたとは言い難く、まあ、その頃はニューミュージックに分類される歌手やグループならば洋楽同様、アルバムが主戦場と申しましょうか、シングルヒットがなかろうとも立派に評価された時代だったんですが、それにしても彼女の場合は例のパクリ騒動があったにしろ、問題の「パープルタウン」の大ヒットからCMタイアップやテレビの主題歌がらみのシングルヒットを連発していた頃でしたから、何か妙に落ち着いた感じがしましたし、カッコ良すぎて敷居が高かったイメージもありますから……。

で、そんなこんなを思い出しながら聴いていると、それでも全篇「八神純子の節」が出まくっているのは心地好いですねぇ~~♪

ということで、ほとんど「らしくない」ジャケットではありますが、中身は「八神純子」がたっぷり楽しめる裏名曲かもしれませんよ、「Touch You, Tonight 」は。

うむ、秋に発売されるにふさわしいと思うばかりです。
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ボンギでダンスな荻野目ちゃん

2019-10-04 17:33:48 | 歌謡曲
六本木純情派 / 荻野目洋子(ビクター)

六本木という街も、ユーロビートも好きではありませんが、その両方が交じり合って作られた本日お題のシングル曲「六本木純情派」は大好きっ!

何故ならば、歌っているのが荻野目洋子だからっ!

と、本日もノッケからやってしまいましたが、昭和61(1986)年秋に大ヒットした「六本木純情派」は所謂ディスコ歌謡の分派でもあるユーロビート系アイドルソングであり、同種同系のポップス歌謡が有象無象に作られていたのが、昭和も終わりに近い時期の流行だったように思います。

しかし、その中で突出して成功していたのが荻野目洋子だった事は今や歴史であり、それが現在でも結婚~出産・育児を経た彼女によって、当時と変わらぬイメージで演じられているとあっては、あらためてオリジナルバージョンが収められているアナログの7吋盤が愛おしい ♪♪~♪

作詞:売野雅勇&作曲:吉実明宏、そして編曲:新川博が企図提供したのは、おそらくは最初っからダンスビート狙いのキャッチーさであったと思われますが、荻野目洋子の歌いっぷりからは意想外のロックぽさが感じられ、だからこそ最初のワンフレーズがレイ・チャールズでお馴染みの「Unchain My Heart」のパクリという誹りだって、全て分かっている楽しみに収斂するんじゃ~ないでしょうか。

サビのあたりで幾分苦しくなる彼女の節回しも、それゆえにイイ感じ♪♪~♪

テレビ出演時も含めたライブの現場では、そこが相当に盛り上がる秘訣だったように思うばかりです。

ということで、想えば「六本木」の歌い込んだご当地ソングにはサイケおやじの好きな曲が多く、例えば桃井かおりの「六本木心中」、アン・ルイスの同名異曲「六本木心中」はもちろん、平山三紀の「恋のダウン・タウン」、さらには小林克也の「六本木のベンちゃん」等々、そんなこんなを集めたオムニバス盤が作られたら面白いような気がしますねぇ~~、もちろんアナログ盤限定ってやつでねっ!

閑話休題。

ということで、「ご当地ソング」は何も演歌や歌謡曲の専売特許じゃ~なくて、アイドルソングや日本のロックにも欠かせない、ヒットを生み出す「虎の巻」かもしれません。

しかし、もちろん大切なのは、それを歌うボーカリストの気持ちの入り方だと思えば、六本木にして少しばかり子供っぽい情感も表現されている「六本木純情派」は、まさに「純情派」を演じきった荻野目洋子でなければ歌えない世界であり、その眩しさは今も同じという現世は夢……。

だから、ますます荻野目洋子が好きになるのでした。
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50年目のアビー・ロード

2019-10-03 18:27:55 | Beatles
■Abbey Road 2CD Anniversary Edition / The Beatles (Apple / Universal)

★Disc 1
  01 Come Together
  02 Something
  03 Maxwell's Silver Hammer
  04 Oh! Darling
  05 Octopus's Garden
  06 I Want You
  07 Here Comes The Sun
  08 Because
  09 You Never Give Me Your Money
  10 Sun King
  11 Mean Mr Mustard
  12 Polythene Pam
  13 She Came In Through The Bathroom Window
  14 Golden Slumbers
  15 Carry That Weight
  16 The End
  17 Her Majesty

★Disc 2
  01 Come Together (Take 5)
  02 Something (Studio Demo)
  03 Maxwell's Silver Hammer (Take 12)
  04 Oh! Darling (Take 4)
  05 Octopus's Garden (Take 9)
  06 I Want You (Trident Recording Session & Reduction Mix)
  07 Here Comes The Sun (Take 9)
  08 Because (Take 1 Instrumental)
  09 You Never Give Me Your Money (Take 36)
  10 Sun King (Take 20)
  11 Mean Mr Mustard (Take 20)
  12 Polythene Pam (Take 27)
  13 She Came In Through The Bathroom Window (Take 27)
  14 Golden Slumbers/Carry That Weight (Takes 1-3 / Medley)
  15 The End (Take 3)
  16 Her Majesty (Takes 1-3)

ここ数年、所謂「50周年記念エディション」なるアーカイヴ商法を展開しているビートルズが、いよいよ満を持して出して来たのが世紀の名盤「アビー・ロード」という事で、例によって「スーパー・デラックス・エディション」からアナログ盤LPの「ピクチャーレコード」まで、総計6種類を買わされてしまったサイケやじは大散財とはいえ、やっぱり持っていないと精神衛生上よろしくありませんと言い訳するのも情けない話です。

結局、本篇LP「アビー・ロード」は中学生の時から浴びるように聴き、意味は不明でも歌詞のフレーズはしっかり覚えていますし、その節回しや演奏展開、さらには効果音等々の細かい部分までも刷り込まれている事を思えば、いまさらなぁ……、というのが偽りの無い気持ちでもあります。

しかし、やっぱりですよ、トンデモ騒動の「Hot As Sun」事件とか、今も出し続けられている諸々の関連ブートに毒されて来たサイケおやじにとっては、ここで聞かなかったら後は無い!?

なぁ~んていう強迫観念にも苛まれ、珍しくも届いたブツの荷を速攻で開け、まずは「スーパー・デラックス・エディション」を聴いてみたんですが、本篇アルバムの最新ステレオリミックとアウトテイクやデモ音源を収めたCD3枚を通して鑑賞後、確かに新しい発見がどっさりありましたが、疲れたのも正直な感想……。

ですから、ハイレゾ音源を入れたBD盤には手も触れていません。

そんな理由ですから結局、繰り返し聴くという楽しみがあるとすれば、本日ご紹介の「2CDエディション」が心地好いです ♪♪~♪

なにしろ前述した本篇アルバムの最新リミックス盤はもちろん、「スーパー・デラックス・エディション」盤ではCD2枚に入れられていたアウトテイク&デモ音源の中から、本篇アルバムと同じ曲の並びで抜粋構成した所謂「アナザー・アビー・ロード」が楽しめるんですよっ!

そのあたりの詳細は上記しておきましたが、各々のトラックには如何にもの「お喋り」や「本音(?)っぽい独白」等々が楽曲の前後や途中に入っていて、だからこそアナログ盤LPでは見事な構成力を示したB面のメドレーが、この「アナザー」盤では、ど~なっているのか!? 

という興味は深々でありましょう。

結論から申し述べれば、それなりという感じではありますが、流石にこれまで多々出ていたブート盤「アビー・ロード」よりは、遥かにきちんと仕上げられていますので、ホッとしてしまいました。

で、気になるアウトテイク&デモ音源の中身は掘り下げれば、どこまでも深いとは思いますが、簡単な印象としては、まず「 I Want You (Trident Recording Session & Reduction Mix)」での狂おしく暴れるビリー・プレストンのオルガンが強烈至極!

また「Something (Studio Demo)」は以前に「アンソロジー3」で公にされたテイクとは異なり、ギターが数回はダビングされ、ピアノの入ったバンドバージョンですし、「She Came In Through The Bathroom Window (Take 27)」ではジョンのボーカルも局部的に入っています。

しかし、こ~ゆ~未完成なテイクを聴いていると、ジョンが交通事故で不参加だったレコーディングセッションも行われていた所為でしょう、ポールとジョンの密接感が刻まれていないパートが確かにあります。

逆に言えば、だからこそ「アビー・ロード」は個性とグループの表現が絶妙にブレンドされた名作という、聊か贔屓の引き倒しになりそうな書き方ではありますが、ジョンの「Come Together」で始まり、ポールの「Her Majesty」で終わるまでの間にジョージとリンゴが持ち味を強く発揮した傑作曲を出している事は、プロデューサーのジョージ・マーティンがなかなかの策士であった証明と思えないこともありません。

それと「アビー・ロード」が1969年の段階で神々しく輝いたひとつの要因は、その「音」のロックっぽさにあったと思うのがサイケおやじの独断と偏見です。

皆様ご存知のとおり、この「アビー・ロード」の前には、後年「レット・イット・ビー」というアルバムや映画として世に出たレコーディングセッションがあったわけですが、その中でフィル・スペクターによって再構成されたLP「レット・イット・ビー」がイマイチ不評だったのは、入っていた「音」が全然ロックぽくなかったからとサイケおやじは思っていて、何故ならば、それより前に出ていた「アビー・ロード」の絶対的な「ロックの音」にリスナーは支配(?)されていたんじゃ~ないでしょうか。

少なくともサイケおやじは、そうです。

さて、そこで気になる本篇アルバムの「2019ステレオミックス」は、プロデュースを担当したのがジョージ・マーティンの息子であるジャイルズ・マーティン、エンジニアはサム・オケルという、これまでのアーカイヴプロジェクトに関わってきた両名ですから、それなりのポリシーは貫かれていると思う他はありません。

全体的には低音域、特にベースは重量感が増し、またコーラスパートも低い声がかなり聞こえるようになった印象です。

そしてミックスも従来とは異なる部分が夥しく、楽器やボーカルの定位ばかりか、個人的にはギターの音が小さめになっている曲が多いかなぁ……、という感じさえあって、このあたりは聴き込んでいかないと分析不可の領域ですから、本日はここまでとさせていただきます。

しかし、ど~しても述べさせていただきたいのが、ジョンのボーカルにギスギス感が強くなり、少~~し細くなったような気が……。

それゆえに冒頭で述べたように、この「2019ステレオミックス」を聴いていて疲れるのは、そのあたりにも原因があるのかもしれません。

もちろん、それはあくまでもサイケおやじの個人的感情ですから、悪しからず。

ということで、ご紹介するには完全に言葉も研究も不足していて、本当に申し訳ございませんが、これから新しい「アビー・ロード」を楽しまれんとする皆様には、掲載した「2CDエディション」を強くオススメ致します。

巷の噂では「期間限定盤」らしい事も要注意と思います。

う~ん、それにしても「50年目のビートルズ」は、嬉しくも罪深いような気がするばかりです。
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夢見心地のライブ盤

2019-10-02 20:00:42 | Jazz
The Only Recorded Performance Of Paul Desmond With The Modern Jazz Quartet (Finesse)

  A-1 Greensleeves
  A-2 You Go To My Head
  A-3 Blue Dove (La Paloma Azul)
  A-4 Jesus Christ Superstar
  B-1 Here's That Rainy Day
  B-2 East Of The Sun
  B-3 Bags New Groove

全然イケてないジャケットだけど、中身は極上というレコードは確かに在って、例えば本日ご紹介のLPも、そのひとつとしてサイケおやじが今頃の季節の愛聴盤です。

それはポール・デスモンドモダン・ジャズ・カルテット=MJQの共演盤という、好きなものは絶対に好きっ!

なぁ~んていうジャズ者には、思わずゾクゾクする夢が実現されたライブ音源で、もちろんハーフオフィシャルなんでしょうが、音質は普通に聴ける良好な仕上がりで、録音は1971年12月25日、ニューヨークのタウンホールのクリスマスコンサートから、あらためてメンバーは記載しておけば、ポール・デスモンド(as)に、ミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p,arr)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds) で編成されていたMJQがバックを務める形ではありますが、プロデュースとアレンジをジョン・ルイスが担当しているので、きっちり纏まりの良いコラボレーションが楽しめますよ。

それは「Greensleeves」「You Go To My Head」「Here's That Rainy Day」「East Of The Sun」という、まさにポール・デスモンドが十八番の有名曲でも、確かにポール・デスモンドのソフト&クールなアルトサックスをメインに立ててはいますが、聴くほどにMJQがバックで手慣れたサポートを繰り広げつつ、メンバー各々は自己主張を忘れていません。

説明不要とは思いますが、MJQの4人はビバップ~ハードバップの中でも堂々の活躍をしていながら、それがMJQという集合体の中では協調性を大切にした演奏を主眼にしていたと解釈すれば、典型的な白人ジャズを貫いてたポール・デスモンドの卓越した歌心と浮遊感が持ち味のアドリブ、また唯一無二のソフトな音色を響かせるアルトサックスとの相性は、意図的に譲歩するまでもなく、なかなかグルーヴィなノリさえ楽しめるんですねぇ~~♪

もちろんミルト・ジャクソンも歌心優先主義なればこそ、前述「You Go To My Head」、あるいは完全にMJQが主導する「Here's That Rainy Day」におけるアドリブは流石ですし、ジョン・ルイスの細かい芸(?)憎めません。

そしてコニー・ケイはブラシよりはスティックを多用するという、この共演にしては、ちょいと意外な事をやっていますが、しかしこれが大正解! アップテンポの「East Of The Sun」では、ポール・デスモンドが在籍していた往年のデイブ・ブルーベック・カルテットを思い出させてくれる演奏になっているのは嬉しいかぎり ♪♪~♪

う~ん、こ~なってみると日頃、「クラシックかぶれ」なぁ~んて陰口もあるジョン・ルイスがデイブ・ブルーベックと相通じるフィーリングを自然体に醸し出しているあたりも予定の行動でしょうか? と云うよりも、だからこそ、このジョイントが企画され、良い結果が残された気さえしますが、いかがなものでしょう。

その意味で「Blue Dove」は、やはりデイブ・ブルーベック・カルテットの演奏が人気を集めた古いメキシコのメロディですから、ここでやらなきゃ~、観客は納得しないはずで、それを見事、期待に応えたMJQとポール・デスモンドのサービス精神は過言ではなく、至高のプロ魂と思います。

また、往年の人気演目ばかりにとらわれず、ちょうどアメリカのブロードウェイで大ヒット上演中だったロックミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」のメインテーマ曲「Jesus Christ Superstar」を何の衒いもなくやってしまったとしか思えない快演は賛否両論があろうとも、緻密なアレンジと丁寧な取り組みが聞かれる事に間違いはありません。

個人的にはこの音源のハイライトかもしれないと思っています。

さらにオーラスの「Bags New Groove」は「New」なんて付いてはいても、結局はミルト・ジャクソン&MJQが極みの「Bags Groove」ですから、前曲「East Of The Sun」から続くハードバップのちょいと気取った展開がイイ感じ ♪♪~♪

当然ながらジャズ者には安心印の大団円になっていますよ ♪

いゃ~~、本当にジャズってイイですねぇ~~ ♪

ということで、今では夢のライブ音源は以前からCD化もされていますので、気になる皆様には、ぜひともお楽しみいただきたい優良アルバムです。

このあまりに快適な演奏は、ある意味じゃ~BGMと揶揄される事もあったんですが、現在は聴かずに死ねるかっ!

そ~ゆ~再評価を強く望んでいるのでした。
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