■96.8 c/w 嘘はつかない / Keith (Mercury / 日本ビクター)
秋になると、もうひとつ好きな気持ちが高まってしまうのが、洋楽ソフトロック♪♪~♪
例えば本日ご紹介のシングル盤に収録の両面2曲には、殊更ジャストミート感を強く覚えるサイケおやじであります。
歌っているのは掲載のジャケ写に登場している、キースと名乗る白人ボーカリストなんですが、その声質はハスキーな粘っこさが特徴的で、しかし提供されている楽曲はメロディ&アレンジが共々にソフトポップス路線という、確信犯的なミスマッチが見事に当たったというところでしょうか。
実際、1967年にヒットした「98.6」は思わせぶりなピアノとホーンアンサンブルに導かれ、徐々にテンポアップしてからの歌メロが始まれば、それはこの上もない王道の夢みるポップス天国♪♪~♪
弾んだリズム隊のシャッフルビートも良い感じですし、程好いコーラスや強い印象を残すピアノの響き等々、とにかくウキウキさせられる仕掛の妙は狙って成功したものでしょう。
なんたってプロデュースが、その道の大御所たるジェリー・ロスですからねぇ~~、得意技と云えるソフト&メローにして、ハード&ポップという極北寸前の音作りは、ツボに入れば忽ちシビレさせられるという典型が、このキースが歌う「98.6」です。
ちなみに曲タイトル「98.6」とは、人間の平熱体温の華氏表示だとかっ!?
まあ、それはそれとして、実はもっと素敵に感じるのがB面に収録された「嘘はつかない / Ain't Gonna Lie」で、アメリカでは既に前年にヒットしていたという、これが本当はキースの出世作ですから、良くて当たり前田のクラッカー!
なぁ~んていう、OLD WAVE 過ぎる常套句を出してしまうのも、このシングル盤に収録の両曲は双子の優れモノというわけです。
ちなみに曲を書いたのは、どちらもジョージ・フィショッフ&トニー・パワーズのコンビであり、このチームは当時のジェリー・ロスが製作したレコードには相当数クレジットされているので要注意かもしれません。
また、コーラスを担当しているのは、「ライオンは寝ている / The Lion Sleeps Tonight」で知られるトーケンズという真相も奥深いところでしょうか。つまりジェリー・ロスはアメリカ東海岸系のポップス職人であり、キース本人もフィラデルフィアの出身という事ですし、しかも主にアレンジを担当していたジョー・レンゼッティが映画等々の劇伴で活躍するという、そんなこんなを鑑みて考察すれば、1970年代に大きなブームを巻き起こしたフィリーソウルとの関連性も興味深いと熱くなるのがサイケおやじの偽りの無い心境です。
長くなるので本日はここまでと致しますが、ジェリー・ロスに関しては、何れじっくりと書きたいと思います。
それと今日では定説になっている、この2曲から影響を受けて山下達郎が自作自演したのが「パレード」という人気曲だとする告白(?)も、確かに頷けるものはありますが、サイケおやじとしては、スパイアル・ステアケースの1969年のヒット曲「More Today Than Yesterday」が元ネタだと思っているんですけどねぇ~、いかがなものでしょう。
ということで、本日は墓参りに行った帰り道、なんとなく立ち寄ったファミレスで某外国人のパスポートを拾い、警察へ届け出たまでは良かったんですが、それがなんだか不穏な空気で……。
何か触法行為に繋がっているとしたら、メンド~はゴメンですぜっ!