OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

追想ジンジャー・ベイカー

2019-10-20 17:50:51 | cream
Anyone For Tennis c/w ねずみといのしし / Cream (Polydor / 日本グラモフォン)

それがこの世の理とはいえ、近年の拙ブログにおいて、鬼籍に入る偉人の話題が尽きないのは、やはり自分が齢を重ねているからでしょうし、そうは思っていても、悲しい気持ちに変わりはありません。

で、本日は唯一無二の天才ドラマーとして、未来永劫に語れ継がれるジンジャー・ベイカーへの追善供養として、掲載したのはクリームが1968年に出したシングル盤です。

説明不要とは思いますが、クリームはエリック・クラプトン(g)、ジャック・ブルース(b)、そしてジンジャー・ベイカー(ds) という既にキャリアを重ねていた実力派の3人が1966年に結成したロックバンドでありながら、発売されるレコードと実演ライブでは、やっているスタイルが違っていたという真相がイマイチ、我が国では伝えられていませんでした。

もちろん、業界関係者や評論家の先生方は知っていたはずですが、少なくとも日本の洋楽ファン、特にサイケおやじを含む青少年には、とにかく発売されるレコードが全てであった時代、クリームの「顔」はジンジャー・ベイカーであり、それは日本盤7吋シングルのジャケットがほとんどジジイな風貌のドラマーであれば、クリームの実態が尚更に???な印象だったんじゃ~ないでしょうか?

少なくともサイケおやじにとっては一時期、クリーム ≒ ジャジャー・ベイカーってのは変だよなぁ~~!?!

それはそれはミョウチキリンな気分でありました。

なにしろクリームの代表的な名演である「クロスロード / Crossroads」の日本盤シングルからして、スリーブジャケ写がエリック・クラプトンならば納得のはずが、ジンジャー・ベイカーでしたからねぇ~~~!?

しかし、クリームというバンドがクリームであるためには、あのドカドカ煩いジンジャー・ベイカーのドラミングが不可欠なのは揺るがせに出来ない真実です。あの一撃、あの一発における所謂ハードヒットは演奏中の爆裂ドラミングとなり、当時の洋楽雑誌に掲載の写真で見るツインのバスドラの威圧感は、これぞっ! 世界最高のドラマーの証明なのか!?

とまで、サイケおやじに畏敬の念を抱かせたのでした。

さて、そこで掲載のシングル盤が例によってジャンジャー・ベイカーのポートレートなのは当たり前みたいなデザインではありますが、しかし収録A面曲「Anyone For Tennis」はエリック・クラプトンが自作自演のアコースティックギターによる弾き語りが主役のジェントルな歌と演奏で、ストリングスや不思議な笛みたな彩が付け加えられ、ジャック・ブルースのベースは大人しいですし、ジンジャー・ベイカーはパーカッションをポコポコ叩いているだけで、ここには猛烈なクリームが聴けるわけではありません。

ところが、これが罪作りな1枚で、リアルタイムじゃ~、クリームが出していたLPには未収録だったが故に、クリーム信者というか、既に神様のエリック・クラプトンに帰依していたサイケおやじとしては、ど~しても聴きたいシングル盤だったんですねぇ~~~。

実際、ラジオでも聴けず、それでも「エリック・クラプトンが自作自演」と洋楽雑誌では煽っていましたから、なんとか発売から2年後、シングル盤を入手して針を落とした瞬間の胸の高鳴りは、皆様にご理解願えるものでしょうか。

そして同時に喰らった強烈な肩透かし!

前述したとおりの歌と演奏では、LPに入れられなかったのも……、そんな不遜な気持ちばっかりが残ったものでした。

しかし気を取り直してB面を聴いて、またまた驚愕!?!

なんとっ! 歌っていたのがエリック・クラプトンでもジャック・ブルースでもない声で、つまりはジンジャー・ベイカーが自作自演のニューロックだったんですねぇ~~~!

曲調は抑揚の少ない、所謂モードジャズっぽい演奏にトーキングの節回しが乗っているだけと言えばミもフタもありませんが、被ってくるストリングスはマジカル期のビートルズみたいですし、ワンパターンのリフが積み重ねられる中で蠢くジャック・ブルースのベース、そして終盤では幾分小さ目のミックスなのが勿体ないほど凄いエリック・クラプトンのギターが唸るんですから、たまりません。

実はこの「ねずみといのししい」はクリーム畢生の名盤アルバム「クリームの素晴らしき世界 / Wheels Of Fire」のスタジオ録音パートに既に収録されていたトラックではありますが、A面がショボかった反動で、当時はこっちばっかり聴いていたのがサイケおやじの本性です。

う~ん、こ~なってみると、ジャケットスリーブがジンジャー・ベイカーのデザインで大正解!?

そんな確信とも勘違いとも言い訳出来ない心持になっていたのが中学時代のサイケおやじでありました。

そして衷心より合掌。

あぁ……、あの世でもジャック・ブルースと喧嘩セッションしている偉人ドラマーが目に浮かぶばかりです。
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