■イエロー・サブマリン音頭 / 金沢明子 (ビクター)
何がど~なったのかは知る由がなくとも、初めて「イエロー・サブマリン音頭」を聴いた時の衝撃は絶大でありました。
言うまでもなく、それはビートルズの人気曲のカバーであり、しかも我国特有の「音頭」という音楽ジャンルにアレンジされている現実は、完全に「お遊び」の領域にありながら、歌っているのが金沢明子という、これが世に出た昭和57(1982)年当時には確固たる人気が絶大であったアイドル系民謡歌手だったんですから、これって???
しかも、ご丁寧な話には、「ビートルズ結成20周年記念曲」という「煽り」まであったんですから、談論風発、茫然自失の結末は、まさに世界規模であったと言われています。
ところが堂々のヒットになったは、これがなかなか緻密で深淵な企画設定に基いていたからなのでしょう。
今となっては、そこにプロデューサーとしての大瀧詠一の存在が如何にも大きく扱われますが、特に個人的にはクレイジーキャッツのヒット曲で、その多くを作編曲していた萩原哲晶が十八番のウキウキアレンジがあってこそっ!
松本隆が担当した日本語訳詞の違和感も慣れが早いわけでして、それも大瀧詠一の手腕でありましょう♪♪~♪
また、多重録音を「わざとらしく」用いたサウンド作りも流石と思うのはサイケおやじだけでしょうか。
もちろん、如何にも民謡調のコブシを楽しく回す金沢明子のアイドルボイスも大きな魅力と思います。
しかし、リアルタイムで、「これが好きっ」とは言えない雰囲気は確かにありましたですよ……。
何故ならば、既にビートルズはジョンの突然の訃報によって、完全に「神の領域」に入っていましたし、その聖典を安易に茶化すなぁ~ん事は、許されないと思い込んでいくのが、真っ当なファンの道と信じられていたのですからっ!?
一方、これが恐ろしいところなんですが、それでも「イエロー・サブマリン音頭」のシングル盤を買わざるを得ない心境になるのも、ビートルズマニアの偽らざる気持でしょう。
「毒食らわば、なんとら」ということかもしれませんが、それだけにコレクターズアイテム化するのは時間の問題であり、しかも「大瀧詠一」という趣味人には共通の錦の御旗がある以上、自分に言い聞かせる言い訳は充分でありました。
ということで、こういうコミックレコード(?)がしっかりと作られていたからこそ、昭和歌謡曲の景気の良さも証明されているのです。
新たに記録された音楽が売れなくなって、もう相当に年月が経っていますが、だからこそ、昔の遺産を振り返って仰ぎ見る姿勢が求められるような気がしています。
特に、ラジオで聞かれる氏の語り口は、知的で温かく、魅了されました。アメリカン・ポップスのみならず、日本の大衆音楽に関する造詣の深さには、ただただ脱帽です。
その中で、音頭以外にも、トニー谷やクレージー・キャッツ等、冗談音楽・コミック・ソングと呼ばれるジャンルにも言及しておられます。
トニー谷さんなど、「♪あんたのお名前なんてぇの♪」しか知りませんでしたが、あれはカムバックだったそうですね。(全盛は1950年代)。他にも傑作曲が多数との聞き及び、CDを購入することにしました。
話は戻りますが、昨年のポール・マッカトニー来日公演の会場では、ご紹介の「イエロー・サブマリン音頭」、流れたそうですよ。
こんなの↓ありました。
http://www.youtube.com/watch?v=uktqoMk3XxI
映像も懐かしいです。
音頭ならこんなのも。。。
http://www.youtube.com/watch?v=mVLC0fSa8DY
コメント、ありがとうございます。
故人は何か意図的に「ブリティッシュ」を避けていた感があるんですが、いかがなものでしょう。
それでもビートルズのカバーを音頭でやってしまうアイディアは、如何にも反感・反発を狙っている気もして、つまりはそこで既に「大瀧マジック」に我々は翻弄されていたんですよ、きっと♪
コメント&ご紹介、ありがとうございます。
ご指摘のとおり、昔は大手レコード会社で普通に作られていたコミックソングが、最近はインディーズですからねぇ……。
自分達で勝手に笑っている芸人モドキには猛省を望みたいです(苦笑)。
コメント、ありがとうございます。
しかし、それにしても、こういう企画が大手レコード会社で承認されていた現実は侮れませんよねぇ~~。
金沢明子も納得して歌ったのか、ちょいと気になるところですが、仰るとおり、これは歴史的傑作カバーですからっ!
コメント&フォロー、ありがとうございます。
お返事が遅れて、申し訳ございません。
ご紹介の記事は読んでいませんが、大瀧詠一は生前よりアメリカンポップスの信頼性を布教していたところがあり、ブリティッシュロック優先主義の我が国洋楽マスコミ、あるいは若い洋楽リスナーに当時は不思議と思われていた趣味性を示していました。
特にフィル・スペクターについては、ビートルズのレット・イット・ビー騒動でしか名前が出ていなかった頃、他の評論家の先生方には常識だったかもしれない「音の壁」の本質と正体を我々に伝えてくれたわけで、ビートルズ封印主義も、それに付随していたのでしょうか?
件の文章、読む努力をさせていただきます。