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サイケおやじの生活と音楽

ベルト・ケムプフェルトの偉大な因縁

2012-10-03 15:19:11 | Pops

星空のブルース / Bert Kaempfert (Decca / ポリドール)

この季節になると妙に聴きたくなるのが、本日ご紹介の「星空のブルース / Wonderland By Night」で、まさにセンチメンタルなトランペットが泣きのメロディを奏でてくれる、これも「昭和の洋楽」決定版のひとつでしょう。

で、それを演じているのは掲載ジャケ写のクレジットから知れるとおり、チャーリィ・タボールという名のトランペッターなんですが、実際に制作したのはドイツの天才作曲家であり、有能なプロデューサーでもあったベルト・ケムプフェルト!

その偉業は、皆様も一度は耳にしたであろう、この「星空のブルース / Wonderland By Night」以外にも数多くの有名なメロディを書き、自分名義の諸作の他にも、例えばフランク・シナトラの大ヒット「夜のストレンジャー / Strangers In The Night」、あるいはハーブ・アルパートの「マルタ島の砂 / The Maltese Melody」等々、カパーされて流行りまくった作品は数知れません。

また、プロデューサーとしての活動は、さらに歴史的な働きがあって、些か結果論ではありますが、その一番重要な仕事になったのが、ビートルズ初の公式レコードを作った事でしょう。

それは1961年春、ドイツのハンブルグにブッキングされていたトニー・シェリダン(vo,g) とビートルズが、ベルト・ケムプフェルトによってプロデュースされ、記念碑となるレコーディングを残したのです。

しかし、実はこの時、ベルト・ケムプフェルトはトニー・シェリダンのバックにはスタジオセッションミュージシャンを使う予定だったものが、トニー・シェリダンの強い要望によって、ビートルズが起用され、トニー・シェリダン&ピートブラザーズの伝説が生まれたと言われています。

またビートルズがピート・ブラザーズ名義にされた逸話については、これも幾つかの説があって、まず当時のトニー・シェリダンのバックバンドがピート・ブラザーズと名乗っていた事が挙げられます。

つまりビートルズとトニー・シェリダンは同じ「トップ・テン・クラブ」というハンブルグの人気スポットに出ていながら、あくまでも対バンであったという事です。

まあ、このあたりは、前年のハンブルグ巡業では別々の店に出ていた両者が仲良くなり、ビートルズの出演契約を巡って、ジョージの強制送還事件とか、様々なトラブルや逸話は皆様もご存じのとおりだと思います。

しかしビートルズというグループ名がドイツ人を一番に困惑させるのは、その発音がドイツ語の「ピードル=ペニス」に近いからという説にも、説得力がありますねぇ~~。

サイケおやじは、もちろん後者を支持しますが、まあ、それはそれとして、ピート・ブラザーズと名乗っても、ビートルズはビートルズ! 例え何であろうとも、ビートルズオンリーの歌と演奏による「いい娘じゃないか / Ain't She Sweet」と「Cry For A Shadow」をも、一緒にプロデュース&レコーディングしたのがベルト・ケムプフェルトである事実は不滅です。

ちなみにセッションデータの年月日については、今でも異論や諸説がありながら、一応は1961年6月22~24日に特定されているとか!?

さて、そこで肝心の「星空のブルース / Wonderland By Night」は最初、本国ドイツと日本で先行の大ヒット♪ それが1960年頃の話で、アメリカでもチャートトップに輝く栄光を獲得していますが、後追いの翌年でした。

おまけに前述したハンブルグの人気店「トップ・テン・クラプ」の開業は、1960年の同時期であり、一説によるとベルト・ケムプフェルトも資金を融通し、経営に参画していたとか!?

ちょいと穿った事になりますが、この「星空のブルース / Wonderland By Night」からの利益が、ビートルズのブレイクに何らかの影響を及ぼしたという視点も、あながち妄想とは言えないのでしょうか……?

ということで、実はサイケおやじに「星空のブルース / Wonderland By Night」が刷り込まれているのは、ちょうどリアルタイムで流行っていた頃、父の友人がレコードを持ってきては鳴らしていたからで、それというのも、我が家にはテレビよりも先にステレオがあったという、異常事態の所為でしょう。

サイケおやじが幼少期から様々な音楽に親しめたのも、そこに由来していますし、結局は歌好きの祖父と新しもの好きの父の画策には、感謝するばかりです。

しかし掲載したシングル盤を私有化したのは、例によってアメリカのチャートトップ曲を集めるという暴挙敢行の最中、ベルト・ケムプフェルトとビートルズの因縁を知ってからの事です。

う~ん、どんな分野も歴史には曰く因縁が切り離せませんねぇ~♪

たった1枚のレコードには、そういう話は潜んでいると思います。

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