OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

いちご畑の不安と凄み

2009-07-30 12:09:18 | Beatles

Strawberry Fields Forever / The Beatles (Parlphone / 東芝)

元来、気が弱くて心配性のサイケおやじは、しかし楽天的な部分も非常に多い人間ですから、何かに対して不安感が大きくなるほどに、次なる期待も過大なものになってしまいます。

例えば本日ご紹介のビートルズの名曲は、昭和42(1967)年3月に我が国で発売されたシングル盤でしたが、その前の月にはベストアルバムの「オールディーズ」が出ていていましたから、今となってはビートルズの新しい出発という考察になっているようです。

ところがサイケおやじのリアルタイムでは、全く理解不能……。当時はサイケデリックの全盛期でしたが、それにしてもドロドロにモヤモヤした曲調やいろんな楽器が多層的に鳴り響き、ジョンのボーカルが煮え切らない歌い方をしてくれるのは、純真な少年には荷が重いところでした。

ちなみにサイケおやじが初めて聴いたビートルズは、従姉が持って来た「She Loves You」のシングル盤B面曲だった「I'll Get You」ですが、これは彼女が意図的に我が家のステレオで鳴らしたものです。

こっちの曲が、素敵なのよ~~♪

なんて言っていた彼女は、そうとうにシブイ趣味ですよね。もちろんサイケおやじには、???

それは昭和39(1964)年春の事でしたが、当時の日本では、未だビートルズがブームになっていることは無く、それでも女の子達から騒がれ始めていた時期だったと思います。そして気がつくと、ビートルズの歌と演奏は連日連夜、ラジオから流れてくる日々となるのですが……。

こうして月日が流れました。

昭和41(1966)年には狂乱の来日公演もあり、その後のライブ活動休止宣言や我が国での爆発的なGSブームが続いて、この世はまさに昭和元禄となった時代です。

そしてサイケおやじは最初に買ったビートルズのアルバム「4人はアイドル / Help」、さらに「ビートルズ65 / For Sale」や「ラバーソウル」を聴きまくっていた黄金の日々に、突如として現れたのが、この「Strawberry Fields Forever」だったというわけですから、当時の戸惑いを皆様にはご理解願えると思います。

ちなみに私が「リボルバー」を買ったのは、もう少し後のことで、それはやっぱり従姉から聞かせてもらったアルバムが、リアルタイムでは、なんだかなぁ……。

つまり完全にビートルズには、ついていけなかったのがサイケおやじの本性です。

正直、もっと正統派のバンド演奏をやっているビートルズが好きだったんですねぇ。

いったい、ビートルズは、どうなっちまうんだろう……。

この不安感は、偽りの無い気持ちでした。

それでも、あえて私が、このシングル盤を買ったのは、B面に収録された「Penny Lane」が聴きたかったのが真相です。こちらはA面とは一転した明快なポップス調で、ポール・マッカートニーならではの闊達な魅力が、ストレートに楽しめたのです。ちなみに、このシングル盤は世界中で両A面扱いが基本になっていたのですが、何故か日本ではAB面に厳然とした区分けがありましですね。

そして、そうこうするうちに夏となって、あの世紀の傑作アルバム「サージェント・ペパーズ」が登場し、これも正直、サイケおやじには最初、煮え切らない世界だったのですが、ここであらためて「Strawberry Fields Forever」をじっくりと聴くと、全てのタネが明かされるのでした。

ということで、このシングル盤は当然ながらモノラル仕様ですから、後に様々なアルバムに収録されるステレオミックスとは、異なる部分が幾つかあります。

例えば日本でプレスされたアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」のオデオン盤(OP9728)は、完全なステレオミックスですが、同様のイギリス盤ともアメリカ盤とも、微妙にミックスが異なっています。もちろん後のベストアルバム、所謂「青盤」とも違うように感じますから、完全に奥の細道ですよね。

また、このシングル盤よりも、ちょっと後の5月頃に発売された4曲入りのコンパクト盤(東芝 OP4251)に収められた同曲は、疑似ステレオ疑惑が極めて強くなっています。

それと、これも有名なエピソードですが、曲の最終部分にあるジョン・レノンの呟き「I Burried Paul」がポール・マッカトニー死亡説の根拠となる、結果的な遊び心も、今となっては印象的でしょう。実は「Cranberry Sause」と言っているのが真相らしいのですが、それはそれ、これはこれでしょうね。

やっぱりビートルズは、凄いと思わせた1枚ですが、分からないけど凄い! を痛感させられたのが、正直な気持ちなのでした。

世の中は何時の時代も様々な不安感が蔓延しているものですが、それを「凄い」に変えてくれる救世主を、今は待ち望んでいます。

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2 コメント

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こんにちは (bob)
2009-07-30 13:23:42
当時クラスメイトの間でも「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」のほうが好きだという奴はほとんどいませんでしたね。暫く時間が経つと状況は少し違ってきましたが…(笑)。女の子たちは当然ポールの「PENNY LANE」で、僕もそうでしたね。
ビートルズと彼らのファンの間には当時少なからぬ乖離現象があったと感じます。ファンはビートルズの革新性に取り残されていたと言いますか……。

久しぶりに国内盤ジャケを見ましたが、「PENNY LANE」がB面扱いだったのですね、記憶が蘇ってきました。このカップリング、ジョンの作品よりポールのほうが気に入った初めてのシングル盤です、たしか。
ポールの作品で本当にいいなぁと思えてきたのは「HELLOW GOODBYE」とかこの曲あたりからなんですねぇ。
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黄金の日々 (サイケおやじ)
2009-07-30 20:32:09
☆bob様
コメント、ありがとうございます。

当時はジョンの曲もボールの曲も、区別がそれほど明確に分からなかったのですが、とりあえずジョンがリードボーカルの歌の方が好きだったのは、私も同じでした。

それとファンは圧倒的に女の子が多くて、映画館とかでもビートルズの映画には男が入りづらい雰囲気までもありましたね。

今となっては、全てが輝いていました。
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