■天使の朝 / 高村ルナ (クラウン)
ここのところ、嘆き節な暗い話が多かったので、今日は久々に「R-18」なジャケットも素敵な1枚のご紹介です。
歌っている高村ルナはご存知、元ゴールデンハーフのルナで、このシングル曲は彼女がグループ解散後に主演した日活ロマンポルノの昭和51(1976)年お正月封切作「修道女ルナの告白(小沼勝監督)」の挿入歌でした。
もちろん件の映画は制作段階から芸能マスコミも騒動扱いにするほどの大ヒットになっていますが、それというのも当時の成人映画は今日のアダルトビデオよりも遥かに背徳性の強い存在でしたから、そこにいくらセクシー系であったしても、一線で活躍していたアイドルが出演するという事は想像を絶する嬉しい驚愕だったのです。
しかもハーフ特有の西洋系の面立ちが映える修道女を演じ、泥まみれのレイプや下着姿、綺麗な入浴シーン等々、出し惜しみしない姿勢が素晴らしかったですねぇ~♪ 当然ながら小沼監督の演出も元アイドルという部分に拘り、場面によってはPVに近い映像もありました。
ちなみに小沼勝という監督は、ヌメヌメとした陰湿なエロスを撮らせては抜群の表現を演出するのが持ち味ですから、こういうある意味でのアイドル映画では職人的な手腕ばかりが目立つような気も致しますが、そこは共演に中島葵というプロ意識の高い女優さんを配し、十八番のエグイ仕掛けはそちらへ向けられるという趣向の中で、彼女の腋毛までも見せた大熱演が忘れられません♪♪~♪
さて、肝心の「天使の朝」は その頃から一般的に流行の兆しが見えていたフュージョンを取り入れたカリプソ~レゲエ調のポップス、と言うよりも所謂ニューミュージックで、作詞:横山由&作編曲:佐藤博の狙いがジャストミート!
なにしろバックの演奏は Little Feat が高中正義したような特別にグルーヴィなものですし、そこに乗った高村ルナの溶け出しそうなボーカルが歌詞の意味を充分に理解していて素晴らしいですよ♪♪~♪ さらに後半では Sonny Rollins風のサックスや分厚いコーラスも加わって盛り上がりますから、まさに最後まで間然することの無い仕上がりになっています。
ということで、高村ルナはこの作品の大ヒットに続けて「ルナの告白・私に群がった男たち(昭和51年 / 日活 / 小原宏裕監督)」にも主演し、芸能界も含めた自らの性体験を基にした内容を自然体で好演しましたから、またまたの大ヒット! 男性誌のグラビアや表紙にも多数登場し、世間を騒がせています。
彼女の魅力は素晴らしい肉体と、素人っぽい中にも勘の良い演技がリアルだということで、この2本の大ヒット作は、演技には素人の元アイドル達がポルノ作品に出演したり、またグラビアでヌードを公開したりする嚆矢となりました。
しかし、その彼女も翌年にはフェードアウトし、もう少し活躍して欲しかったと願う多くのファンを嘆かせました。
そして引退後はハワイに移り住み、現地で結婚して幸せな生活を営んでいたようですが、突然の病魔に襲われ、平成16(2004)年3月9日、まだ50代でかえらぬ人に……。
それゆえにこの季節になると、「天使の朝」を無性に聴きたくなるのがサイケおやじの本性というわけです。