最近、映画や音楽の復刻が勢いづいています。紙ジャケット仕様のリマスターCDや特典おまけ付きDVD、さらに発掘物等々、欲しいブツばかり……。
しかし、それを全部買うことは経済的に許されないし、また、どうにか入手しても楽しむ時間が無いという悪循環が続いています。
あぁ、精神衛生上、良くないなぁ……。結局、どっかで切捨てないといけないわけですが、もう、何を切り捨てたらいいのか分からないのが、正直なところです。
それというのも、結局、昔、手に入れられなかったブツとか観たくても無理だったものとか、とにかく過去への執着? しかし、ここで入手しておかなければ、後々、必ずや後悔するだろうという恐れ?
そんなものがドロドロと渦巻いて、私を物欲地獄へ導くのでした。この煩悩、とても百八つのブツでは収まりそうもないほどで……。あぁ、地獄だなぁ……。
ということで、本日の1枚は――
■O.K. Ken ? / Chicken Shack (Blue Horizon)
1960年代後半に大きなブームとなった英国ブルースロックの雄がチキン・チャックです。その中心メンバーは黒人モダンブルースのギタースタイルを完全に我が物としてたスタン・ウェッヴと紅一点のクリスティン・パーフェクトで、特にクリスティンは後にフリートウッド・マックで大活躍するキーボード&ボーカリストであることは、皆様、よくご存知のとおりです。
ちなみに彼等は4人組が基本編成でしたが、ドラムスとベースは流動的、しかも影が極端に薄いというのが特徴でしょうか???
まあ、そのあたりはこれ以上ふれませんが、これはそんな彼等の2枚目のアルバムで、基本は白人プルースですが、ホーン隊も加えたその演奏は、ソフト&ソウルフルな面も垣間見せて、私は好きです。
しかもアルバムの構成が、収録曲間にナレーションや効果音を挿入して繋げていくという、当時のイギリス音楽界の最先端を行くものになっています。
ただしこの作品は当時、オリジナルの英国輸入盤なんて、とても日本では手軽に入手出来るものではありませんでした。また日本盤も発売されていましたが、私の乏しい小遣いでは変えるはずもなく、レコード店で現物を眺めては溜息をついていたという曰くがあります。
私にとって、その大きな部分はクリスティン・パーフェクトという女性への憧れで、音楽雑誌に掲載されていた彼女のポートレートを見た瞬間、完全に虜になりました。それは彼女がプレイガールでお馴染みの日本の大女優である八代万智子様に、似ていたからです。
つまり、またしても私の悪いムシが出たというところですが、その彼女の声を聴きたくて物欲地獄に落ちてしまったというわけです。
しかし結局、当時は買うことが叶わず、後に友人から借りて聴くことが出来たわけですが、何故かレコードそのものは入手せずに今日に至りました。
ところがなんと、リマスターされたCDが現在、紙ジャケット仕様で再発中なのですから、今度こそ迷わすにゲット♪ ただし好事魔多しというか、今回の再発盤では曲間の効果音などが見事にカットされていたのです。これはどうやら英国の音源管理者からの指示ということで、諦めざるをえないのですが、やはりコレクターには時の流れが大きな敵という、またまた教訓の一場面を演じてしまった……。
ということで、気分は全くのブルースですが、このアルバムはやっぱり素敵です♪