■葉書 / 明日香 (AARD-VARK / キャニオン)
1970年代前半の流行洋楽のひとつに所謂「プログレ」というジャンルがありましたので、必然として我が国の大衆音楽にも大きな影響が伝播した事は今や歴史となるのでしょうか。
それは殊更アレンジとか、自作自演される楽曲に顕著な印象でしたから、シンガーソングライターを標榜して制作発売されていたレコードがオンタイムでは普通であっても、後追いや再発見という課程の中で聴かれた場合においては、尚更にインパクトが強いんじゃ~なかろうかと思っております。
そして、そんなサイケおやじの独断と偏見を後押ししてくれるのが昭和58(1983)年に明日香が出した本日掲載のシングル盤A面曲「葉書」でして、とにかく作詞:すずきゆみこ&作曲:菅美奈子=明日香が作り上げた歌謡世界は情念と観念がドロドロに交じり合った清々しい怖さがあり、そのミディアムアップの楽曲をピアノの伴奏主体で歌い上げる明日香のボーカルには、勿体ぶった力強さというか、例によって中島みゆきっぽさが滲み出てはおりますが、こ~ゆ~抽象的でありながら、実質的な女の怖さを表現するには、これしか無いっ!
―― そ~思わざるを得ない感性に圧倒されてしまうわけでして、しかも鷲巣詩郎のアレンジが流麗な、もしかしたら現代音楽ってジャンルかもしれない、プログレ全開のストリング演奏やリズム構成に凄みがあるもんですから、我知らずジワジワと浸食されていくような自虐が逆に心地良いみたいなっ!?!
このあたりの感覚こそは、時として洋楽のプログレあたりを聴いていて陥れられてしまう快感とは似て非なるものかもしれませんし、虚心坦懐に明日香のボーカルに身も心も委ねてこそ、得られる夢見心地ってやつかもしれません (^^;
う~ん、今日は完全に独善的な文章に終始してしまい、申し訳ございません <(_ _)>
しかし、こ~ゆ~プログレ歌謡が普通に作られ、ラジオ等々で流されていたのが「昭和」という時代のエネルギーでありましたっ!
また、これは推測の域を出ませんが、このスタジオレコーディングバージョンで聴かれるピアノ演奏は、ライブギグでは明日香本人が弾いていたんでしょうか?
もし、そ~だとしたら、尚更に圧巻の歌と演奏が披露されていたと思う外はなく、それに接することが叶わなかったのは、サイケおやじに残る「悔い」のひとつであります。
ということで、このジャケ写ポートレートに登場している明日香のナチュラルな笑顔は、なんて素敵なんでせう (^^♪
そして、その彼女が、ここまで奥底の知れない楽曲を作り、歌っていた現実は、正に歴史かもしれませんねぇ~~。
本日のサイケおやじは素直に好きと言えてしまうのでした。