■マイルド・ロマン・ロック / いしだあゆみ (日本コロムビア)
自分のカッコ悪さを痛感する事なんて、それこそ数えきれないほどあるサイケおやじにしても、特に惨めな気持ちに追い込まれたのが、酔ってないのに酒に酔ったフリをして、それを見抜かれた時……。
いゃ……、これはもう……、周囲や相手に調子を合わせ、つまりは心にもない事を言いながら、作り笑いをやってしまっているんですから、それを嘘の上塗りと糾弾されたって、言い逃れる術なんか、ありゃ~しないわけですよ……。
そして最後には、お前とは腹を割って話が出来ないっ!
という三行半が……、お定まりの結末という事が何度かあったもんですから、飲んでも酒に酔わない体質という言い訳よりは、最初っから、酒は飲みません、飲めないんです。
と、はっきり詫びる事こそが誠意!?
そんなふうに思い、行動に移して幾年月、それもサイケおやじの拙い処世術なんですから、情けないやら、自嘲するやら、結局は、笑われてたって、いいじゃ~ないかっ!
そんな開き直りにも、自然体で馴染んでいる自分を客観的に見られる様になりました。
しかし、だからこそでしょうか、サイケおやじは所謂「酒の歌」ってのが好きで、あれやこれや蒐集している過程で、ひとつのジャンルと申しましょうか、自室のレコード棚には、そんな場所を設けてしまった過去を告白せねばなりません。
で、本日掲載したシングル盤も、その中の1枚でして、ジャケットだけ眺めてみれば、ウリのA面曲のタイトルが「マイルド・ロマン・ロック」ですから、大人向けの歌謡ロック?
なぁ~んて先入観も許されるはずが、実は昭和55(1980)年に某酒造メーカーから発売された「マイルド・ウォッカ」なる、ちょいと正体不明(?)な商品CMのタイアップ曲なんですねぇ~、これがっ!
しかも、作詞:仲畑貴志&作曲:大野克夫が企図したのが、歌謡ロックと言うよりも、当時流行のAOR系ポップス歌謡で、それを嫋やかに、それでいて芯の強さと儚さの裏表を絶妙に使い分けながら節回していくあたりは、いしだあゆみの真骨頂でありましょう ♪♪~♪
もちろん、それを活かすべく、見事なアレンジを施したのが船山基紀であれば、自ずと納得させられてしまうんですが、でもねぇ~~~、そんな芸当も可能なのが、いしだあゆみの歌手魂と思うばかりです。
う~ん、アップテンポのグルーヴも心地好い、これもひとつの酔っ払い願望だとしたら、羨ましいですねぇ~~♪
ちなみに、ジャケットのイラストポートレートはバロン吉元の人気作で、そんなところもコレクターズアイテムの条件なのかもしれません。
ということで、ご時世不穏、飲み屋街も寂しく、独りぼっちの家飲みも推奨される昨今、だからこそ、そこには、いしだあゆみの歌がジャストミートする様な気がしています。
尤も、ど~せ、サイケおやじは酒に酔わない体質なんですけどねぇ~~、それでも歌を楽しむ権利(?)は、しっかりと残されていると思っているのでした。