■誰にも云わないで / 小久保尚美 (ALTy / APOLLON)
現在は表舞台から消えている小久保尚美は、とにかく競輪王の中野浩一と結婚した事が一番に有名な芸能人という記憶が優先されるかもしれませんが、昭和58(1983)年のデビュー当時は正統派歌謡曲のアイドルシンガーとして、なかなか注目度も高かったという印象が残っています。
というのも、ルックスやステージファッションが、1980年代の女の子アイドルそのまんまでありながら、やっているのは演歌チックな楽曲であり、掲載した公式デビュー盤Ａ面収録の「誰にも云わないで」にしても、大御所の遠藤実が作詞作曲した有名曲という現実がありましたからねぇ～～。
もちろん、これは愛川みさが昭和44(1969)年に大ヒットさせた傑作のカバーバージョンというわけですから、一聴した瞬間から、おっ！ これはっ！
という懐かしさに加え、少～しばかりオンタイムのサウンドを意識しながらも、ニクイばかりに往年のサウンドに拘った只野通泰のアレンジを得た小久保尚美の歌唱が悪いはずもありません。
ただし、前述した愛川みさのオリジナルヒットバージョンが彼女の持ち味でもあった、幾分ネチッコイ節回しだったもんですから、このカバーバージョンに物足りなさを感じるのは正直なところでしょう。
また、失礼ながら、テレビ等々で接した彼女の実演における歌唱がレコードほどに完成されていないという、そのリアルな現象は如何にもアイドルシンガーの宿命だったと思いますが、いかがなものでしょう。
しかし、それでも、このデビュー盤に収録のシングルバージョンの仕上がりには、独特の仄かな哀愁があって、サイケおやじは好きなんですよ (^^ゞ
残念ながら、歌手としてはブレイク出来なかった彼女は、何時しかバラエティ番組に顔を出す様な仕事が増え、そして冒頭に述べたとおり、中野浩一と結婚した事によって、それまで以上に注目されてしまったわけですが、もう少しアイドルシンガーとして正統派歌謡曲を演じて欲しかったと思っている次第です。
ということで、文中で少し触れた「愛川みさ」も好きな歌手ですので、あらためまして、追々にご紹介させていただきますね。
「昭和」という奥の細道は、またまだ続きそうです (^^ゞ
