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OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ゲッツ最初の名演集

2007-12-26 16:35:44 | Weblog

やれやれ、年末で仕事も追い込みだというのに、もう来年のスケジュールがビシバシに入っているという情けなさ……。

正月も仕事あるしなぁ……。家族は旅行へ行くというし、もはや何のために働くのか、自問自答すると、やはり自分の物欲の為でしたとさ。

ということで、本日は――

Stan Getz Quartet (Prestige)

スタン・ゲッツは白人テナーサックス奏者の最高峰! こう、私は断言してしまいますねぇ。もちろん、お叱りは覚悟しておりますが。

その豊かな歌心、流麗なフレーズ展開、誰にも真似出来ない天才的なリズム感、そして甘美で涼しい音色の魅力♪ そこへ進取の気概もあるのですから、本当に凄い人でした。

しかし当然ながら、駆け出し時代はビバップに強い影響受けた、バリバリと生硬に吹きまくるスタイルで、それが決定的に変化したのが、1948年12月末に行われたウディ・ハーマン楽団での「Early Autumn」セッションというのは定説だと思います。

そこに聴かれるソフトでスマートな演奏で、スタン・ゲッツは人気を得たのですが、それをさらに推し進め、確固たるスタイルを極めた最初のピークが、翌年から残されるプレスティッジでのセッションでしょう。

そしてこのアルバムは、リアルタイムではSPフォームで作られた音源を集めた12吋LP盤で、収録曲順は必ずしも録音毎では無く、片面通して違和感の無いプログラムにされています――

A-1 There's A Small Hotel (1950年1月6日録音)
A-2 I've Got You Under My Skin (1950年1月6日録音)
A-3 What's New (1950年1月6日録音)
A-4 Too Marvelous For Words (1950年1月6日録音)
A-5 You Stepped Out Of A Dream (1950年4月14日録音)
A-6 My Old Flame (1950年4月14日録音)
B-1 Long Island Sound (1949年6月21日録音)
B-2 Indian Summer (1949年6月21日録音)
B-3 Mar-Cia (1949年6月21日録音)
B-4 Crazy Chords (1949年6月21日録音)
B-5 The Lady In Red (1950年4月14日録音)
B-6 Wrap Your Troubles In Dreams (1950年4月14日録音)

――という演目は、全てが最高♪ 何度聴いても、飽きることを知りません。

1949年6月21日録音
 B-1 Long Island Sound
 B-2 Indian Summer
 B-3 Mar-Cia
 B-4 Crazy Chords

 メンバーはスタン・ゲッツ(ts)、アル・ヘイグ(p)、ジーン・ラミー(b)、スタン・レヴィー(ds) という理想的なカルテット♪ もちろん全員がリーダーの意図するクールスタイルには精通していたのでしょう、とにかくスタン・ゲッツの柔らかな歌心を万全にサポートしています。
 特に独自のドライヴ感が全開した「Long Island Sound」は、明らかにビバップから抜け出した演奏で、スタン・ゲッツはもちろんのこと、アル・ヘイグの仄かにネクラなフレーズ展開、スティックとブラシをシャープに使い分けるスタン・レヴィーのドラミングの素晴らしさ♪
 ホノボノとした「Indian Summer」も最高ですし、アドリブ真っ向勝負の「Crazy Chords」やジンワリと心に染み入る「Mar-Cia」といったスタン・ゲッツのオリジナル曲も冴えています。

1950年1月6日録音
 A-1 There's A Small Hotel
 A-2 I've Got You Under My Skin
 A-3 What's New
 A-4 Too Marvelous For Words

 メンバーはスタン・ゲッツ(ts)、アル・ヘイグ(p)、トミー・ポッター(b)、ロイ・ヘインズ(ds) という白黒混成のバンドで、特にドラムスとベースが黒人らしいグルーヴを提供したことから、逆にスタン・ゲッツの個性が浮彫りになった名演ぞろいです。
 まず「There's A Small Hotel」は、まさにアルバム冒頭に置かれるに相応しい快演で、ミディアム・テンポの粘っこいビートの中で自在に浮遊するスタン・ゲッツの名人芸! スカスカの音色も好ましく、さらにアル・ヘイグも最高の歌心を聞かせてくれます。
 もちろん人気バラードの「What's New」はソツが無さ過ぎて面白くないほどの完成度ですし、意想外とも言えるグルーヴィな表現で熱くなる「Too Marvelous For Words」も深遠です。また、穏やかにスイングしまくる「I've Got You Under My Skin」は、テーマメロディの変奏が見事だと思います。

1950年4月14日録音
 A-5 You Stepped Out Of A Dream
 A-6 My Old Flame
 B-5 The Lady In Red
 B-6 Wrap Your Troubles In Dreams

 メンバーはスタン・ゲッツ(ts)、トニー・アレス(p)、パーシー・ヒース(b)、ドン・ラモンド(ds) という、一筋縄ではいかないカルテットで、多分、レコーディング用の臨時編成かと思われますが、これまた素晴らしい♪
 とにかく「You Stepped Out Of A Dream」はスタン・ゲッツ畢生の名演とされた決定的なバージョンです。ソフトにかすれる音色で深みのあるテーマメロディが変奏されていく、ただそれだけで完全KOされてしまいます。パーシー・ヒースのベースも強い印象を残しますが、続いてアドリブを無限大に飛翔させるスタン・ゲッツには、後光がさしている感じです。
 そして力強くて優しい「My Old Flame」での充実した表現も素晴らしく、ラテンのリズムで楽しくスイングする「The Lady In Red」では、後のボサノバに通じる雰囲気も楽しめます。
 しかし「Wrap Your Troubles In Dreams」では、やや煮え切らない感じがしてしまいます。妙に力んで新しい展開を模索しているのでしょうか……。後付ですが、続くルーストやヴァーヴ時代の萌芽と受け取れないこともありません。

ということで、スタン・ゲッツはもちろんのこと、共演者も素晴らしい出来栄えの演奏ばかりです。特にアル・ヘイグは最高ですねぇ~~~♪ 私はこのアルバムで、アル・ヘイグの虜になりましたです。

スタン・ゲッツは、速いテンポの演奏でも、ルーストやヴァーヴのセッションとは異なり、闇雲に疾走することをしていません。そのあたりが私には好ましく、このアルバムには何時までも愛着が持てるのでした。 

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6 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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愛しのアル・ヘイグ (bob)
2007-12-26 17:46:00
こんばんは
いいですよね、アル・ヘイグ!
この当時のゲッツは現在ルースト盤を持っていますが、ホレス・シルヴァーなんですよね。
このプレスティッジ盤は以前CDで所有していましたが、手放してから久しく聴いていません。
中古屋でゲット候補に入れておきます、聴きたくなりました♪
返信する
ゲッツの代表作の一枚 (上不三雄(マシュマロレコード))
2007-12-26 20:58:31
全くこの頃のゲッツの素晴らしさは、筆舌に尽くせませんね。特にWHAT'S NEWに惹かれます。ROOSTのYESTERDAYSも神がかっています。49・6・21のセッションに参加しているGENE RAMEYは黒人です。
返信する
アル・ヘイグも最高 (サイケおやじ)
2007-12-27 17:37:43
☆bob様
毎度、コメントありがとうございます。

アル・ヘイグ、本当に最高ですねっ♪

CDには確かボーナストラックが追加されていたと思います。持っていないので、急に欲しくなっています(笑)♪
返信する
この頃のライブを体験したかったです (サイケおやじ)
2007-12-27 17:41:47
☆上不三雄様
コメント&ご指摘ありがとうございます。
文章訂正致しました。

この頃のゲッツは自然体で凄い演奏が出来たのですね。きっと練習量も凄かったと思いますが、あんまりそのへんを感じさせないところは、天才の証明でしょうか。
返信する
苦しい生活 (上不三雄(マシュマロレコード))
2007-12-27 18:10:45
ウディー・ハーマンのセカンド・ハードを辞めて独立した直後、知名度の割りに仕事が無く、たった5ドルが欲しいが為なんと、メーデーの日にNYをパレードする名も無いバンドに加わり、紙ふぶきを浴びながらサックスを吹いて大通りを行進したという話があります。真の一流のプレヤーは、天才でもあきれるほど練習したそうです。
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マネージメント (サイケおやじ)
2007-12-28 16:48:23
☆上不三雄様
貴重なエピソード、ありがとうございます。
ゲッツほどの名手にして仕事に窮していたとは、驚きというか、よくジャズの歴史本では1950年代前半が東海岸ジャズの不景気と書かれていることの証明なのでしょうか。

当時のジャズメンのマネージメントとかブッキングがどうなっていたのか知りたいところです。何かのエージェントに入っていたのか、あるいは個人的にマネージャーと契約していのか?

あるいは生演奏の場であるクラプとの契約とか、あまり日本では知りえない部分ですが、当時のジャズを追いかけていくと、私のような者には気になる部分です。
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