■Ultra Rare Trax 2010 Remaster Vol.2 (TSP / IMP)
先日に続き、今日は「ウルトラ・レア・トラックス」の最新リマスター盤「Vol.2」をご紹介します。
01 Can't Buy Me Love (1964年1月29日録音 / stereo)
02 There's A Place (take 3 / 1963年2月11日録音 / stereo)
03 There's A Place (take 4 / 1963年2月11日録音 / stereo)
04 That Means A Lot (1965年2月20日録音 / mono)
05 Day Tripper 1 (1965年10月16日録音 / stereo)
06 Day Tripper 2 (1965年10月16日録音 / stereo)
07 I Am The Walrus (1967年9月5日録音)
08 Misery (take 1 / 1963年2月11日録音 / mono)
09 Leave My Kitten Alone (1964年8月14日録音 / mono)
10 We Can Work It Out (1965年10月20日録音 / stereo)
11 A Hard Day's Night (1964年4月16日録音 / mono)
12 Norwegian Wood (take 4 / 1965年10月21日録音 / stereo)
まず、上記の12曲は1988年の「Vol.1」同様、初出時に収録されていたものですが、もちろん流出テープが元ネタですから、音質は抜群! しかも今回のリマスターでは、さらに音圧が高くなり、ブートらしからぬ、否、これがブートの魅力と言うべきでしょうか、とにかくド迫力の歌と演奏が楽しめます。
もちろん「Leave My Kitten Alone」は「アンソロジー 1」と、また「That Means A Lot」は「アンソロジー 2」に収録されたトラックと極めて同じ音源なんですが、その公式盤では些か綺麗に纏まっていたのとは逆というか、こちらは両方ともモノラルミックス云々以前の団子状の音質が、まさにR&Rのエグイ味わいを強調しているように思います。
そして「Can't Buy Me Love」も公式盤「アンソロジー 1」に収録のトラックと同じテイクだと思われますが、なんとっ! こちらはステレオミックスなんですねぇ~♪ しかもスタート前のカウントやスタジオ内の熱い雰囲気が、そのまんま同時録音されたとしか思えない圧巻の仕上がりですから、これをトップに置いたメーカー側の意気込みには納得させられます。
「Vol.1」でも述べたとおり、このソースとなった元テープは6巻あったとされますが、その中の音源を様々な意図によって1枚のアルバムに編集する企画の中では、この「Vol.2」はスタジオセッションの生々しさを追及しようとしたのかもしれません。
特にテイクを重ねる「There's A Place」や「Day Tripper」のリアルな臨場感は、まさに20世紀の文化遺産が形作られる瞬間を堪能出来ると思います。
ちなみに「There's A Place」はピアノやハーモニカが未だ入っていませんが、最高に驚くのは「Day Tripper」のステレオミックスで、例えば正規盤「ビートルズ 1」に入っているステレオバージョンは左右に泣き分かれていたミックスに対し、こちらはタンバリンとボーカルが真ん中にあるという、全体的にステレオではありますが、楽器類も含めて真ん中にミックスが寄せられた定位が、なかなか好ましいですよ。
しかし「I Am The Walrus」は極端に左にしか音が入っていないミックスで、これはストリングスやサイドボーカルをダビング前の未完成状態を露わにしていますが、妙にリアルでサイケおやじは大好き♪♪~♪
ですから最初のテイクとされる「Misery」の初々しさ、「We Can Work It Out」の混濁したミックス、さらに幾分ヤケッパチな「A Hard Day's Night」が新鮮に楽しめるのは言わずもがな、当時のビートルズはビジネスや人間関係よりも、歌って演奏する事を第一義にしていたんだなぁ~、と感慨も深まるばかりです。
そして素晴らしいとか、凄いとか、そういうありきたりの言葉では絶対に表現出来ないほどの感動を呼ぶのが、ジョンの弾き語りをメインにした「Norwegian Wood」です。なにしろイントロで2回ほどミスっても止められないテープのおかげで、ナチュラルなジョンの節回しとメロディの展開、歌詞の解釈の微妙な変化が、本当にたまりません♪♪~♪ 最後の最後で、おそらくはプロデューサーのジョージ・マーティンが思わず「Great Fine」と告げるのもムペなるかなっ!
ちなみにミックスはステレオなんですが、真ん中にジョンのボーカルとギター、左にべース、右にシタールが定位した立派な完成品♪♪~♪ これを聴けただけで、このブートの価値があると断言するほどです。
13 From Me To You (1963年3月5日録音 /stereo)
14 Can't Buy Me Love (1964年1月29日録音 / stereo)
15 She's A Woman (take 2 / 1964年10月8日録音 / stereo)
16 A Hard Day's Night (1964年4月16日録音 / mono)
17 Day Tripper 1 (1965年10月16日録音 / stereo)
18 Day Tripper 2 (1965年10月16日録音 / stereo)
19 Paperback Writer (1966年4月14日録音 /stereo)
上記のトラックは、また例によって元ネタとなった流出テープリールの「#2」をそのまんま、リマスターしたという趣向ですから、ブート製品化された「Vol.1」と「Vol.2」にはダブリ収録というわけですが、それなりに音質が良いですから、まあ、いいか……。
率直に言えば、こうしたブートの世界に踏み込んでいるファンには、これはこれで嬉しいはずです。
ということで、正規盤よりも音が良いブートも確かに存在するという証明のひとつが、このシリーズでしょう。
このあたりからブートの奥の細道へと進まれるのも、OKかもしれませんねぇ~♪
う~ん、それにしても、この時期……。
ジャケットのジョンの柔らかな微笑みが、胸に迫ります。