OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

梶芽衣子の宙ぶらりんな裏名曲

2023-04-04 17:33:52 | 歌謡曲

浜辺のメルヘン / 梶芽衣子 with シンガーズ・スリー (テイチク)

さて、一般社会では新年度のスタートとなった4月は殊更仕事関係での職場移動や新規採用等々、なかなか慣れない現場での「宙ぶらりん」な立場や扱いに苦労するのは、まあ……、必然だと思います。

実際、サイケおやじも現役第一線当時は、辛酸を嘗めさせられた事が度々でしたからねぇ…… (^^;

で、そんな時に何時も思うのは、人事とか身の振り方とか、自らの意思や力量だけでは、ど~にもならない成り行きを痛感させられる現実であり、それは自分ばかりだけじゃ~なくて、何故、あの人がっ!?!

なぁ~んていう、不遜な不条理さえ様々に思ってしまった事も、これまた少なからずありました。

そして、そんな時に限って、これまで有能だった人物が的外れな勘違いをやらかしているのを目の当たりにすると、あぁ……、あの人も、やっぱり……。

―― みたいな、なんとも、やるせない安心感みたいなものが混ぜようとしても混ぜきれない、不思議な気分に満たされたものです (^^;

そこで本日ご紹介するのは、梶芽衣子が昭和46(1971)年7月に出したシングル盤A面曲「浜辺のメルヘン」なんですが、この時期の彼女は、それこそ「宙ぶらりん」状態であったんじゃ~ないでしょうか。

それは芸能界で本格的に活動を始めた頃から所属していた日活が、映画会社としては完全に落ち目の三度笠で、一般映画の製作中止が囁かれていた時期と重なり、ついにはロマンポルノと銘打った成人映画の本格的な制作へと路線の変更が決定されていたのですから、梶芽衣子も退社を決意!

以降、翌年にポスト藤純子の期待を背負い東映と専属契約を結ぶまでの間に発売されていたのが、掲載のシングル盤だったという歴史が残されたわけですが、その所為か否か……。

作詞:小川亜矢子&作編曲:曽根幸明とクレジットされた「浜辺のメルヘン」が遅れて来たGS歌謡みたいな仕上がりになっていたのは、オンタイムの流行からは外れていたという印象だったんですよ、サイケおやじには (^^;

しかし、それがまた「OLD WAVE」なサイケおやじの体質にはジャストミートの好ましさであり、ミディアムのテンポ設定でイントロからの管楽器&エレキギターの響き、絶妙のマイナースケールを用いたメロディ展開に哀切の歌詞の世界を梶芽衣子は、誠実に節回しているんですが、ここに全篇見事な助演を聴かせてくれるのが、ジャケットスリーブにも記載されているとおり、伊集加代子と尾形道子を中心メンバーとする女性コーラスグループのシンガーズ・スリーであり、その企画アレンジがギリギリ、時代遅れ感を薄めているとしたら、それはそれで、これまた「宙ぶらりん」の面白さかもしれません (^^)

ちなみにシンガーズ・スリーは基本、女性3人組のコーラスグループとして昭和42(1967)年頃から本格的な活動に入ったと云われていますが、その顔ぶれは前述した伊集加代子と尾形道子以外は流動的であり、時には4~5人編成でレコーディングセッションやライブギグに参加する場合でも、「スリー」名義だったという裏話は検証が必要だと思います。

逆に言えば、彼女達の存在と活動を詳しく追っていく事が昭和歌謡曲やニューミュージックの歴史探索に繋がる様な気さえするほどなんですが、いかがなものでしょう。

閑話休題。

で、肝心の梶芽衣子の歌唱については、彼女の個性である細身ながら芯が強く、鋭い声質による表現が、この「浜辺のメルヘン」では抑えられたというよりも、まだまだ纏まっていない感じでしょうか、むしろソフトロック風味の歌声は、こ~ゆ~楽曲には相性が良かったと思う他はありません。

正統派歌謡曲ならではのコブシ回しもイイ感じ♪♪~♪

ということで、「宙ぶらりん」でも嘆くこたぁ~ありませんよねっ!

結果論かもしれませんが、前を向いていれば、勘違いとか迷い道とか、その時々に目的意識を見失う間違いだって減らせるんじゃ~ないでしょうか。

もちろん、誰もが梶芽衣子になれるはずもありませんが、それでも、何時かは過去の「宙ぶらりん」が認められる日があるかもしれないという、僅かな希望は持ち続けたいものです。

うむ、今夜は梶芽衣子が東映で主演したメガヒット作「さそり」でも鑑賞しようかなぁ~~ (^^)

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