■紅すずらんの伝説 / ラブリーズ (CBSソニー)
時代にアクセスする事の難しさを痛感させられるのは、どんなビジネスでも共通事項だと思いますが、殊更芸能界において、それが顕著に表れるのは、やはり「流行り物」を扱う宿命(?)かもしれません。
例えば、本日の主役たるラブリーズは平尾昌晃が主催の歌謡教室出身の伊原好恵と青木房恵のデュオであり、歌唱力も優れていたんですが、ラブリーズが掲載したシングル盤をデビュー作とした昭和53(1978)年は、やはりアイドルデュオのピンク・レディが全盛期だった所為もあり、テレビ出演も多かった売り出し作戦も空振りという厳しさに……。
しかし、作詞:茜まさお&作曲:平尾昌晃、そして編曲:馬飼野康二が手掛けた収録A面曲「紅すずらんの伝説」は、北海道支笏湖周辺を歌った所謂ご当地ソングでありながら、曲調はアップテンポのディスコ歌謡風味が滲み出た、なかなかキャッチーな哀愁のメロディラインが、ちょいとGS歌謡っぽくてイイ感じ♪♪~♪
そのサウンド作りにはマンドリン調のトレモロ奏法がサブメロディに用いられていたり、ソウルフルなバックコーラスや程好いメリハリが効いたリズムアレンジ等々、これも馬飼野康二のプロフェショナルな仕事だと思います。
そして、繰り返しますが、ラブリーズの歌の上手さは素晴らしく、ソロパートもハーモニーコーラスも全くソツがありません (^^)
ちなみにジャケ写ポートレートに登場しているラブリーズは、左側が当時19歳の伊原好恵、右側が同じく15歳だった青木房恵だったと記憶しているんですが、所謂赤の他人でありながら、その佇まいの雰囲気が似ているあたりも、デュオ結成の要だったのでしょうか?
また、それはそれとして、既に述べたとおり、ピンク・レディ全盛期にデビューしていながら、ラブリーズは衣装やアクションに派手さが無く、つまりは、あくまでも歌唱力メインの活動を狙っていたとしたら、それはそれで正解であったと思っています。
でもねぇ……、現実は厳しかったということでしょう…… (^^;
残されたレコードも、これを含めて、シングル盤で3枚ほど確認し、中古ながらゲットしておりますが、今だからこそ、聴いていただきたいのがラブリーズというわけです。
ということで、時流に乗り損ねたビジネスは、ほとんどが、一巻の終わりでありながら、芸能に関しては、時を経ての蘇りと申しましょうか、そんなこんなの再発見・再評価が突発的に起こったりするんですから、「流行り物」のエネルギーにしても、保存の法則は適用されるのかもしれませんねぇ…… (^^)
録音技術の発明&発展に寄与した偉人達に、あらためて感謝であります。