■悲しい夜を止めて / 河合その子 (CBSソニー)
前回告白したとおり、サイケおやじにとっての河合その子は、リアルなラストアイドルであり、その心情からも最高傑作は、昭和61(1986)年10月に発売された本日掲載のシングル盤A面曲「悲しい夜を止めて」と決め付けております。
とにかく、何が凄いって、まずは秋元康の綴った歌詞が決して成就してはならないという不倫の恋の世界としか思えず、しかも後藤次利の作編曲が複雑な細切れメロディの積み重ねに意地悪な転調も入れ込んだアップテンポの企画なんですから、基本的に歌唱力が万全とは言い難い彼女に演じさせるのは、制作サイドにも不安があったんじゃ~ないかっ!?
という推察は易いと思うんですが、しかしっ!
結果は大ヒット!
ここでの成功は、そんなこんなを飲み込んで、必死さがダイレクトに伝わって来る彼女の歌いっぷりに尽きると思うんですが、いかがなものでしょう。
実際、テレビ出演時、あるいは唯一接した彼女のライブギグにおいて歌われた「悲しい夜を止めて」は、途中でボーカルが消え入りそうになるほどブレスが難しく、加えて音程を取るのが非常に難しいメロディラインの所為で、節回しが曖昧寸前という、そのスリリングさが歌詞の世界にジャストミートしているとしか言えませんよっ、サイケおやじには。
う~ん、このメロディ展開は後藤次利が様々に作り出していた未完成のメロディフレーズを繋ぎ合わせて仕上げたのかと思えば、確かにパート毎に美味しいメロディがテンコ盛りでしょう (^^♪
そして……、これをレッスンしていた時の河合その子は、やっぱり持ち前のクールビューティな態度で取り組んでいたのかなぁ~~?
なぁ~んていう妄想が浮かんでしまうほどです (^^;
ということで、サイケおやじがオンタイムで河合その子に接していたのは、この「悲しい夜を止めて」が最後でありました。
もちろん理由は、度々述べて来たとおり、サイケおやじが異郷の地へ島流しにされたからなんですが、それはそれとして、この楽曲内容にして、このジャケ写ポートレートのイメージからすれば、所謂「脱アイドル」が企図されていたのもしれません。
まあ……、そんな深読みなんて、アイドルシンガーを聴く場合には、邪魔なだけだとは思うんですけどねぇ…… (^^;
それもサイケおやじの理屈っぽさの表れと自覚しているのでした <(_ _)>