OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

年の瀬は浅川マキ

2016-12-16 16:50:15 | 浅川マキ
ちっちゃな時から c/w ふしあわせという名の猫 / 浅川マキ (東芝)
 
浅川マキも年末になると思い出す歌手でして、それは昭和40~50年代には当然の様にあちらこちらで開催されていた大晦日年越しライブでは常連だった事に加え、サイケおやじが初めて浅川マキの歌「かもめ」をラジオで聴いたのが昭和44(1969)年の師走だった事にも起因しています。
 
そして次に聴いたのが、翌年早々に新曲扱いで紹介された本日掲載のシングル盤A面曲「ちっちゃな時から」だったんですが、これが驚くなかれ、当時の洋楽流行では最先端だったブラスロックがモロ出しのイントロで、具体的にはブラッド・スウェット&ティアーズ=BS&Tの大ヒット曲「Spinnig Wheel」からそれをまんま引用している衝撃の潔さ!?
 
さらに曲調がR&B歌謡の王道路線なんですから、浅川マキのジャズブル~スな独特の節回しもニクイほどに冴えまくりなんですよっ!
 
ちなみに楽曲のクレジットを確認すると作詞は浅川マキ、作曲がキング・トーンズの「グッド・ナイト・ベイビー」等々の名曲を書いたむつひろし、そしてアレンジが宮間利之とニューハードの大黒柱であるギタリストにして優れた作編曲の山木幸三郎なんですから、全て納得されるところだと思います。
 
もちろんバックの演奏パートに参加しているのは横内章次(g)、今田勝(p,key)、原田政長(b)、チコ菊池(ds) 等々の超一流ジャズプレイヤーであり、同時にその頃の我が国芸能界におけるレコード制作の現場スタジオでも売れっ子だった面々ですから、素晴しい仕上がりは言わずもがなでしょう。
 
それはB面に収録された作詞:寺山修司&作編曲:山木幸三郎が提供の哀しきジャズ歌謡「ふしあわせという名の猫」でも全開で、こちらはグッと暗いムードが横溢した中にあって、もちろん浅川マキならではの過剰とも思える歌唱表現がグリグリと心に滲みてまいります。
 
ちなみにこの2曲は後に発売された彼女の最初のLPにも収録されているんですが、この「ふしあわせという名の猫」はシングルとアルバムでは異なるバージョンになっているので要注意でしょう。
 
しかし、その味わいの深さは両方共に勝るとも劣らない良さがあって、サイケおやじはどちらも好きです。
 
ということで、最後になりましたが、冒頭で述べた浅川マキの大晦日ライブは彼女の突然の悲報前年まで、ほとんど年末の風物詩になっていたほどだったんですが、残念ながらサイケおやじは一度も浅川マキの実演ステージに接した事が無かったのは痛恨の極みであり、今となっては言い訳にもなりませんが、それゆえに何時でも彼女のライブには行けるはずという安心感が大きな間違いでありました。
 
あぁ、無念……。
コメント
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