■あなたに帰れない / 竜エリザ (日本ビクター)
レコードの世界には売れなかった名曲がどっさりあって、それらは所謂「幻の名盤」という伝説と共に聴き継がれ、再発見されている歴史が今も作られているわけですが、本日掲載のシングル盤A面曲「あなたに帰れない」も、そのひとつとして、なかなか根強い人気を集めているはずです。
なにしろ作詞:橋本淳、作曲:筒美京平、そして本曲:萩田光雄とくれば、それだけで悪いはずが無いと確信を抱けるのが昭和歌謡曲ファンの習性であり、しかも中身が、せつなくもお洒落なボサノバ歌謡なんですから、たまりません♪♪~♪
しかも歌っている竜エリザの声質や歌い回しが、本当に南沙織と岩崎宏美の良いとこ取りとしか思えないほどで、これは実際に聴いていただければ、皆様にも納得いただけると思いますし、聴くほどにヤミツキ状態に陥っても、サイケおやじには全く責任がとれないと、お断りしなければなりません。
それほど竜エリザは魅力的な女性歌手であり、「あなたに帰れない」は発売された昭和51(1976)年のムードを今も滲ませる名曲!
極言すれば、ニューミュージックという新ジャンルに入るべき歌なのかもしれませんが、どっこい! 竜エリザの節回しには伝統的な歌謡曲フレイヴィーが大切にされていますよ。
そのあたりは次に発売されたシングル曲「そばに来て、ここに来て」において全開するわけなんですが、詳しくは次回何れかまでご容赦下さい。
しかし、それにしてもこの「あなたに帰れない」は見事な仕上がりで、透明感あふれるハイトーンボイスとちょいとエキゾチックな面立ちがジャストミートしているポイントも、当時17歳だったと言われていますから、充分にアイドルの要件は満たしていたのですが……。
残念ながらブレイクする事はなく、2年ほどでフェードアウトしています。
ちなみに彼女は沖縄出身でしたから、そのルックスと竜エリザという芸名(?)が殊更強い印象を残しているのかもしれません。
ということで、個人的には夏よりも、何か梅雨入り前の季節になると、妙にボサノバ歌謡が聞きたくなってしまいます。
先日掲載の「ミスティ・トワイライト / 麻倉未稀 」も、それゆえの事ですし、この「あなたに帰れない」もまた、その流れから出してしまったというわけです。
機会があれば、ぜひともお楽しみ下さいませ。
売れなかったのが不思議なほどですが、ある意味では時代よりもお洒落すぎたのかもしれませんねぇ~♪
だから、今こそっ!