OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

微熱な1枚

2006-06-04 19:59:24 | Weblog

連日の疲れがドッと出た休日です。微熱な気分ですねぇ。

こんな時は緩~い、フュージョン聴いて、寝ているに限ります――

カリフォルニア・シャワー / 渡辺貞夫 (Flying Disk)

1970年代フュージョン・ブームを象徴する大ヒット作が、これです。

何しろタイトル曲はジャズ喫茶を飛び出してテレビ&ラジオ、パチンコ屋&ファミレス、大衆食堂&純喫茶……、さらにはカーステレオには常備の1枚ということで、一時の我国では、これが鳴りまくりでした。

そのキモは渡辺貞夫という、日本人としては著名なジャズメンが、当時のフュージョン・ブームを先導していた豪華メンバーと共演していたからに他なりません。

だいたいフュージョンという音楽を支えていたのは、スタジオ・セッションを中心に活動していた、有能だけれども無味乾燥なミュージシャン達で、その彼等が自己主張し始めた結果がフュージョンやAORというのが、私の捉え方です。

ですから、個人的にはけっして嫌いでは無いそういう音楽を探求する時には、レコード・ジャケットに記載された演奏メンバーやアレンジャーを最初に見るのが、王道でした。

つまり主役が無名だったり、どーしようも無い者でも、演奏が充実していればそれで良し♪ あるいはお目当てのプレイヤーの演奏に接することが出来れば結果オーライという、実質的には偏向した楽しみ方がフュージョン・ブームのひとつの本質だったと思います。

で、このアルバムですが、当時の硬派なジャズ喫茶ではイマイチ評価の低かった渡辺貞夫が! と困り者的存在の人気盤でした。

録音は1978年3月、メンバーは渡辺貞夫(as,ss) 以下、デイヴ・グルーシン(key,arr)、リー・リトナー(g)、チャック・レイニー(b)、ハービー・メイソン(ds)、ポーリーノ・ダ・コスタ(per) という西海岸の超凄腕リズム隊に加えて、ホーン&ストリングスが参加しています。

このサポート・メンバーは当時のジャズ・フュージョン・ファンにはお馴染み過ぎるほどの存在で、つまりこのアルバムのお目当ては彼等の演奏というのが、聴き手はもちろん、製作者側にも確固たる暗黙の了解だったと思います。つまり失礼ながら、主役の二の次……。

A-1 California Shower
 リズム隊が絶妙に作り出す、爽やかな楽園のビートとコードに彩られたグルーヴを聴いた瞬間、心がときめき、渡辺貞夫がアルトサックスで奏でるテーマに接した次の瞬間、地獄に急降下という、初めて聴いた時の記憶が今も鮮明です。
 なんだっ、このズンドコ&日本民謡、そして弛んだレゲエはっ! はっきり言って私の嫌いなものが全部詰まっていました。
 渡辺貞夫のセンの細い、弱虫猫みたいな泣きも勘弁してほしいと思いましたねぇ……。ですから、私はひたすらに、サイドメンの演奏に集中していましたが、お前等、手を抜いとんのかぁ~!
 ところが世間ではこれが大ヒット、シングル盤も発売されて日本国中で流れまくったのですからっ! あぁ、盆踊りっ! 作曲はもちろん、渡辺貞夫です。

A-2 Duo-Creatics
 またまた盆踊りかいなっ! と思いきや、演奏はすぐに様変わり! 重いビートにシャープなリズム、さらに明るいくせにマイナーコードの味付けと、流石はデイブ・グルーシンという作・編曲が光ます。
 メンバー全員の演奏も気合が入り、それに押され気味の主役が全く哀れなほどです。なにしろ中盤にはアーニー・ワッツ(ts) と渡辺貞夫の秘めやかな掛け合いまで用意されていますし、続くリズム隊の見せ場からリー・リトナーの豪快なギター・ソロ♪
 ここまで聴かせてもらえれば、当時のフュージョン・ファンは大満足なのでした。

A-3 Desert Ride
 これが最高に素晴らしい演奏で、作曲は渡辺貞夫の盟友であるゲイリー・マクファーランドですから、もうそれだけで補償付き♪
 全篇、フワフワした曲調の中でリズム隊が縦横無人に土台を築けば、渡辺貞夫もソプラニーノというソプラノサックスみたいな音色の楽器で奮闘します。
 しかしここではデイブ・グルーシンのエレピとリー・リトナーのギターがソフト&メローの極み♪ 何度聴いても飽きませんねっ♪
 どこか南海の楽園のテニスコードで日光浴しながら、美味いカンパリソーダを飲みたくなるような、素敵な演奏だと思います。

B-1 Seventh High
 渡辺貞夫作曲による正統派フュージョンです。したがってアレンジ&バックの演奏も手馴れなものが感じられますが、それゆえにメンバー全員が本領発揮の熱演で、動きまくるチャック・レイニーのベース、細かいフレーズで勝負しているリー・リトナー、リズムのキメを外さないハービィ・メイソンが素晴らしい出来です。
 肝心の渡辺貞夫もソプラニーノでウェイン・ショーター風の演奏にチャレンジ! しかし途中からスティーヴ・グロスマンになってしまいますが、熱演だと思います。
 そしてその熱気をスゥ~ッと冷ましてくれるのが、デイブ・グルーシンのエレキピアノということで、素直に楽しんでも差し支えない演奏だと思います。
 渡辺貞夫自身、後々までライブの定番演目にしていましたですね。

B-2 Turning Pages Of Wind
 華麗なストリングスが大盤振る舞いされた哀切の名曲ですが、それだけです。
 昔も今も、私にはシンドイです……。

B-3 Ngoma Party
 これも楽園的ズンドコ・フュージョンで、もう勘弁して欲しいのが私の本音です。
 結局、私の感性に合わないんですねぇ、こういうのは……。

B-4 My Country
 これも渡辺貞夫的名曲ということになっている、擬似ゴスペル曲です。
 曲が進むにつれてリズム隊がそれなり盛り上げてくれますよ♪

ということで、後半は??? それじゃ何で聴いてんだ! と言われそうですが、これも先日の5枚で1000円コーナーに置き去りにされていたCDだからですね……。

今、聴いてみると流行していた当時の事が走馬灯にようの思い出されます。ただ、それだけなんですねぇ。

ジャズ喫茶では、A面を散々聴かされましたけど、それだって「Duo-Creatics」「Desert Ride」が入っていればこそ、気持ちよくなれた1枚です。最近リマスターCDが出ているみたいですが、カラオケのオマケつけてよね~。

本日は微熱あり、暴言、ご容赦です。

コメント (4)
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