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~サッカーを中心に日々の雑感など~

ゴッホ~黄色い夢の町~5

2008年11月01日 | 絵画
1888年10月23日、ゴーギャンがゴッホの熱心な呼びかけに応じてアルルにやって来た。ポール・ゴーギャン(1848~1903年)はゴッホより5歳年上。黄色い家では二人でカンバスを並べて同じモデルを描いた。

【アルルの女、ジヌー夫人】ゴッホはキャンバスの前面に一人ジヌー夫人を大きく描き、背景は黄色一色。気がはやるゴッホは1時間足らずで描き上げたが、ゴーギャンが描いた絵にはまったく違う背景が描かれてあった。

タバコの煙が流れる下で、何人ものお客たちが椅子に座っていると言う、頭の中で空想したものを加えていた。モデル一人しかいないアトリエでゴーギャンは想像力を働かせて描いていた。

ゴッホはその才能に圧倒されるばかり。しかもゴーギャンをもてなそうとスープを作ったが、これはゴーギャンが後にとても食えるような代物ではなかったといっていたような料理。

お金の使い方もゴッホが金遣いが荒いのを見かねて、二人のお金をきちんと分けて使うようにしたが、ゴッホはほしいものがあれば我慢できずに勝手に使ってしまった。ゴッホは私生活ではまったく駄目な男だったのだ。

最近二人の共同生活についてシカゴ美術館の研究によって、新たな事実が明らかになった。アルルの時代、二人は全く同じ麻布に絵を描いていた。カンバスのエックス写真を見ると、長さ20mもある麻布を手にいれ、10mづつ均等に切り分けて使っていた。

この研究で絵を描いた順番も明らかになった。ゴッホが描いたのは13点。ゴーギャンは10点。最後から2番目は夏に描いた【ヒマワリ】を自らが模写した作品だった。

そして一番最後は小さな肖像画が描かれていた。ゴーギャンの後姿を描いたものだった。【ゴーギャンの肖像】。二人で買った麻布を使い切ったとき二人の関係は破局に向かっていた。

自分の椅子を描いた絵では椅子は黄色で描かれ、その上には愛用のタバコが乗っていた。ただ一脚の黄色い椅子。【ゴーギャンの椅子】には背景は深い緑色。椅子の上にはローソクと本が置かれていた。ゴーギャンはいつも夜遅くまでこの本を読んでいた。

(【アルルの女】の二人の絵は確かにゴーギャンの想像力は素晴らしいが、やはりゴッホの絵のインパクトには比べ物にならない。しかしそれをゴッホに伝え、評価してくれる買い手が付かなかったというのがどうにも悲しい。

ゴッホはゴーギャンが好きで尊敬していながら、なかなかそれがうまくゴーギャンには伝わらず、個性の赴くままに破局へと向かってしまう。ゴッホが憧れた日本の浮世絵師たちの助け合う生活というのは、“長屋”のことを言っているだろうか。長屋だとすれば、そこには芸術家だけではなく世話好きでおせっかいな人々がいて、けんかの仲裁もしてくれたのだろう。)












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