こんにちは! ただち恵子です

政治と社会、日々の暮らしの小さな喜び。思いつくままに綴ります。

「生活保護制度とは何か」

2013-02-24 09:08:58 | 社会保障
昨日、泉大津社会保障推進協議会の主催で「みんなで考えよう 『生活保護』学習会」という学習会を開きました。

講師は全大阪生活と健康を守る会事務局長の大口耕吉朗さん。
生活保護制度の歴史、法に基づく原理と原則、生活保護バッシングの意味するもの、政府がやろうとしている「生活保護基準10%引き下げ」は国民の暮らしに何をもたらすか、そして本来の社会保障のありかたについて。具体的にわかりやすく話していただきました。

「このブログを見て」とお隣の町の議員さんも参加してくださったのは嬉しいことでした。

私のところに相談に来られた方の生活保護申請に同行、同席させていただくこともあります。
もちろん議員が同席しようとしまいと、「必要な人は無差別平等に受けられる」のが生活保護ですが、なかには自分の状況や思いをなかなか言葉にして伝えられなかったり、大切なことを聞けなかったりすることもあります。そういう方のサポートになれば、という思いです。

そうして知り合った方のことを講師のお話のあとの参加者からの質問・発言の時間に、少し話させていただきました。

ひとりは、自身が生活保護を利用する母子家庭で育ち、中学校卒業してからずっと働き続けてきた女性。ひとりで子どもを育てながら「ひとり親の自立支援」の制度を活用してヘルパーの資格を取得。資格はとれても、保育所に入れず仕事ができない。彼女は「母子家庭の私に資格をとるために勉強させてくれたのは感謝していますが、求職中では保育所に入れない。せっかく資格をとらせていただいても働けないのです。」と市長に手紙を書きました。その手紙は「求職中の保育所入所」に道を開くことになりました。働く道が閉ざされたとき、迷わず生活保護を申請。そして、保育所の入所ができたら働きながら勉強続け、介護福祉士の資格をとるために2年間学校へ。この4月、ある介護施設に正規職員として就職します。「介護の仕事が大好き」という彼女は、自分の夢と目標に向かって歩く中で、「母子家庭自立支援事業」の自立支援教育訓練給付金、高等職業訓練促進給付金、そして生活保護制度を活用しました。

もうひとりは、いっしょに暮らした男性からのひどい暴力で身の心もぼろぼろになり、元々の心の病気に加えてアルコール依存症。出合ったころは、私の前でも「水割り」を飲み続けていました。子どもが好き、お年寄りのお世話が好き、料理が好き、歌が好き。心のきれいな素敵な人でした。そんな彼女は何度も絶望しながら、何度も立ち上がり、そして最近「私でもいいと言ってくれる人がいて・・・」と、幸せメールが届きました。

日ごろは、「この人は生活保護を利用中」「この人は年金生活者」などと意識してお付き合いしているわけではありませんが、昨日の学習会を前に、あらためて「私の知り合い」の中で生活保護を利用されている方々を思い浮かべました。ひとりひとりの人生、生きてきた重みを感じます。

昨日の自分の発言を振り返って「生活保護を受けていても、こんなにがんばっている人がいるんです。皆さん、ガンバリマショウ!」と呼びかけたと受け止められたかもしれないと、少し反省しています。
言いたかったのはそういうことではなく、「ひとりひとりの人生、それぞれの生活はみなかけがえないのないもの」だということ。
「今、生きている」ということを本当に大切したい。そう思うときに「生活保護バッシング」は、的外れの攻撃だと思うのです。

昨日の学習会で「生活保護の歴史」を紹介してくださいました。
日本の生活保護制度のルーツは明治7年(1874年)12月8日の太政官達 第162号。恤救(じっきゅう)規則。
今は使われない「恤」という字は「あわれ」の意味だそうです。

帰ってからネットで条文を検索してみました。

「救貧恤救ハ人民相互ノ情宜ニ因テ其方法ヲ説クヘキ筈ニ候得共目下難差置無告ノ窮民ハ自今各地ノ遠近ニヨリ五十日以内ノ分左ノ規則ニ照シ取計置委曲内務省へ可伺出此旨相達候事。」

「貧困者をあわれみ救済することは、人々の間のお互いの同情心によっておこなうのが建前であるが、現在放置するわけにはいかない頼り手のない困窮者だけは、今後各地の遠近に応じて五十日以内の分を左の規則に照らしてとりあえず処理し、詳細は内務省意に照会するよう通知する」・・・こんな意味のようです。

そして「左の規則」には「極貧で一人暮らし」「70歳以上または15歳以下」・・・などに、生きるために最低限の米を現物で(後には米代)で給付するとあります。

今、生活保護制度の改悪、切り下げを主張する人たちは「真に必要な保護は保障」するといいます。
「真に必要な」という理念と基準を、140年前に逆戻りさせるわけにはいきません。





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