東日本大震災から2ヶ月余りの時点で、出版社により、防災、地震、原発問題の研究者等に執筆を依頼する形で編集された。「目の前の現実から何を学び、何を生かすのか?」という実践的な視点が貫かれている。
著者のひとり、吉井英勝衆議院議員は「地震や津波は自然現象だが、今回の原発事故は明らかな人災」とし、「地震・津波による電源喪失の危険は、以前から指摘されてきた(吉井議員自身が国会論戦の場で指摘・追及してきた)にもかかわらず、国も東電も耳を貸そうとしなかった」こと、そして「事故直後の政府の対応の誤り」によって事態をますます深刻なものとしたこと。「2重の意味で人災」であることを告発している。
何よりも、早く、正確な「情報公開」が「人災」の拡大を許さないための要だということ。企業が、利益を守る(結局、大きな損失につながるのに、目先の利益にしがみつく)ために「情報隠し」に走るとき、それを許さない政府を持たなければ国民は不幸だ。
大きな大きな犠牲の上に、私たちは学んだ。
室崎益輝 (関西学院大学教授:災害復興制度研究所長)
都司嘉宣(東京大学地震研究所准教授)
野口邦和(日本大学歯学部講師:放射線防護学)
立石雅昭(新潟大学名誉教授;新潟県「原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」委員)
吉井英勝(日本共産党衆議院議員;党国会議員団原発・エネルギー問題委員長)
共著(新日本出版社)