知的成長戦略論-クールに生きる

かっこよく生きるためのメモ。
知的に成長し、どんな状況でも平静を保てる力を身につける。

中野市4人殺害事件から考える。本来のあり方について

2023年05月29日 | 国家論
中野市4人殺害事件 両親が語る容疑者の半生 高校で消えた笑顔、大学時代に「盗聴されている」…
5/29(月) 6:20配信 信濃毎日新聞デジタルより引用

 ぼっち(独りぼっち)―。
 長野県中野市で男女4人が殺害された事件で、殺人の疑いで逮捕、送検された農業青木政憲容疑者(31)は、
人からこう見られることに過剰な嫌悪を抱いていたことが、両親の証言から浮かび上がってきた。
青木容疑者の心の内に何があったのか―。両親への取材から、事件に至るまでの青木容疑者の半生を振り返った。


幼い頃はひょうきんな性格 高校で消えた笑顔
 青木容疑者は3人きょうだいの長男として生まれた。
幼い頃はひょうきんな性格だった。小学校では高学年になると穏やかな性格になり、中学校での成績は学年でも上位。

 ただ、高校に入ると笑顔が消えて勉強は振るわず、受験を控えた進路面談で教師に「推薦入学は難しい」と告げられた。
1浪し、東海大(東京)の情報通信系の学部に進んだ。
当初は個室に食事付きの神奈川県内の寮で生活したが、他大学の学生もいる環境になじめず、東京・目黒のアパートで1人暮らしを始めた。

東京でアパート暮らし「盗聴されている」
 そして、異変が起きた。家族が青木容疑者の携帯電話にかけても出ない。折り返しの連絡もない。
心配した両親は車で急ぎ上京した。姿を現した青木容疑者には生気が感じられなかった。
「顔面蒼白(そうはく)で目もうつろだった」。そう振り返る母親は、今回の事件の動機と同じ言葉を耳にする。
 
 「大学でみんなに『ぼっち』とばかにされている」

 異変はそれだけではなかった。住んでいたアパート1階の部屋に入る際、
青木容疑者は「ここは盗聴されているから気を付けて」と言った。
聞くと、盗聴を恐れて携帯電話の電源も切っており「部屋の隅に監視カメラがある」。
だが、両親にはカメラがあるようには見えなかった。両親は青木容疑者を実家に連れて帰った。

 両親は病院の受診を勧めたが、青木容疑者は「俺は正常だ」と拒否した。

「ぼっち」とばかにされている 事件までに少なくとも2回、不満あらわに
 昨年夏、青木容疑者が営む中野市内のジェラート店で、仕事を手伝っていた人について
「ぼっちぼっちと俺のことをばかにしていた」と怒りをあらわにしたことがあった。
その人は「そんなこと思っているわけもないし、言ったこともない」と説明した。

 さらに昨年、ある男性がジェラート店内の写真を店員の許可を得て撮影していたところ、
青木容疑者が後から店に入ってきたことがあった。
男性が愛想よく笑ってあいさつすると、青木容疑者は「出てけ」と威圧するような態度を取り、周囲が制止した。

 父親は「笑顔の人がいると、にやついて見えるのか、ばかにされていると感じてしまうところがあった」と話す。
女性2人と警察官2人が犠牲となった今回の事件に対し、父親は「4人の犠牲になられた方、
そしてご家族の状況を受け止めながらおわびするしかない」。
ぐっと目を閉じ、続けた。「おわびしても許されるものではない…」

****************

裁判では、かなり高い確率で、責任能力が争われると思います。

責任無能力とされた場合、犯罪は成立しないので、本来は、氏名等の公表は問題となります。
NHKも最初は、氏名を伏せていましたが、その後、公表するに至りました。
民放は最初から、氏名を公表していました。親の職業も。
未成年者の犯罪同様、
 責任無能力者の場合は、氏名等の公表は、問題となる
ため、今回の報道が適切だったのかは、後に検討される可能性があります。


こういう痛ましい事件が繰り返されるため、
 何も活かされないという点が本当に残念です。

犠牲となった方には、
 社会として、二度とこのような被害は出しません。
 そのためにこういうことになりました。
と、伝えることが、最大の供養となると思いますが、
 なかなかそういう方向に向かいません。


現時点の情報では、犠牲者となった方は、被疑者の被害妄想によって、殺害されたと思われます。
このケースでは、記事の通り、統合失調症の症例が見受けられるため、その可能性が高いと思います。
裁判では、過去に統合失調症の症状が認められることを前提に、事理弁識能力の有無が争点となります。

統合失調症について、厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/seishin/characteristic.html

本件では、警察官2名の殉職が事件の悲惨さを強調しています。

人が刺されたと通報を受けた警察官が、パトカーで駆けつけます。
ここでは、刺されたという情報のみであり、銃を持っているという情報が無かったため、
 まさか射殺される
という認識はなかったはずです。

猟銃許可のデータベースがあり、警察官が現場に駆けつける際に、
グーグルマップなどで見られるのであれば、
 猟銃所持の可能性
を念頭に、行動できた可能性があります。

不審な人物が、何かを持って近づいてきたときに、パトカーで現場から待避し、状況を確認する。
被疑者が近づいてきたときには、通報者であると考えた可能性もあります。

また、パトカーが防弾ガラスでないということも、問題です。
早急に、防弾フィルムを貼るなどの対策をする必要があります。
防弾フィルム https://www.northglass.co.jp/product/film/

暴力団関係者の事件、外国人犯罪など、銃による事件も想定されることから、
 大切な警察官の生命、身体を守るための最低限の投資
だと思います。

さらに、発砲マニュアルの整備も必要だと思います。
相手の武器が刃物である場合、威嚇射撃を行い、従わないときは、四肢に向けて発砲する。
相手の武器が銃である場合、速やかに射殺する。
威嚇射撃をすることで、自分が撃たれる場合があるためです。

こういった運用を明確にすることで、警察官の身体、生命を守ることができます。

立てこもりの場合も、刃物か銃かで区別し、
 銃の場合には、速やかに射殺する
という運用を徹底すればよいと思います。

海外は、銃を用いた乱射事件が時々発生しますが、基本的に射殺されています。
理由は、被害を最小限にするためです。
身柄を確保するために、何人もの警察官の命が危険にさらされるのを回避する。

こういったシビアな運用を徹底しつつ、
 仮に身柄が確保された場合には、別の段階に移行する
ことになります。

それが、
 被疑者の人権保障
というステージです。

捕まった後は、人権に配慮した報道、法に基づく裁判が適切に行われるようにする。

責任能力に問題がある場合は、実名報道はしない。
責任能力が無いと判断された場合は、罪に問えない。
必要なのは、刑罰ではなく、治療、治らない場合は隔離であるからです。

熊になぜ、人を殺したんだと、刑務所に入れて、矯正教育を行ったところで意味が無いわけです。
必要なのは、熊牧場に入れたり、人里いない場所に離したりし、人を襲わない環境に連れて行くことです。
人を襲った熊を猟友会が射殺するのも、罰を与えるのではなく、再発しないようにするという目的です。

日本のメディアは、
 再発防止
という方向には持って行かず、
 被疑者に対する過剰な報道を行い、被疑者と関係のない家族を追い込む。

それにより、親や兄弟の仕事が駄目になったり、結婚が破談になったり、親の家に落書きがされたりと
 家族の人生がめちゃくちゃにされる
という悲劇が起こります。

亡くなられた方を思えば、家族が傷つけられてもやむを得ないという意見もあるかもしれないですが、
 成人した子どもの責任は、親が背負うことはない
というのが、近代的な法治国家のあり方です。

時々、メディアは、古き因習にとらわれ、
 韓国ドラマの末代まで呪ってやるという「恨」の意識をかき立てる
報道がなされたりします。

これでは、野蛮な国家になってしまいます。


事件の進行過程においては、被害の拡大を防ぐ(特に、人質や警察官の安全を守る)ために、
 犯人を射殺してもよい
という常識を醸成しつつ、
 捕まった後は、被疑者や被疑者の家族の人権に配慮した報道
がなされるような、
 法治国家の意識を共有する
ということが重要だと思います。

少なくとも、危険人物、猟銃所持のデータの共有、防弾フィルムは、
 警察官の安全のためにも、速やかに行うべきだと思います。
コメント
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