国道42号線であの「初日の出のスポット夫婦岩」の有る二見町の新二見トンネルを抜け、橋を渡って道成りに大きくカーブすると其処は松下町、約500mも走ると街並みも途絶え、左手に「蘇民の杜(もり)」松下社の看板、大きな空き地が有って何処にでも停めてくださいと言わんばかり。
車を停めた目の前に大きな口を開けたような巨大な楠の根元。
根元はすっかり風が吹き抜けるほどの大きな洞になっているが、その上に緑を一杯背負ってこの楠の生命力の強さを伺わせる。
樹皮だけのように見える樹幹の基部脇から張り出した枝幹は堂々と伸び上がって見事な景観をつくり出し、その姿は風格を感じさせる。
まるで巨大なカタツムリの殻に小さな楠の森を乗せたかの様な姿です。
しかしこの場所から全容をうかがうことは出来ない。
境内脇から奥に進むとちょうどこの楠の裏側に出る。
しかし根元から見た楠と、裏側から見た楠では全く違う印象です・・・・、あの根元のひょろひょろした枝の集まりと言った印象など何処へやら。
主幹は大きく二つに割れてものすごい形相で雄叫びを上げてでもいる様・・・・。
一応掲示板では樹齢2000年、目通り 7.0m、樹高 12mと成っている。
楠の巨木もさることながら「蘇民の杜」と呼ばれる松下社境内は、駐車場から鳥居を潜って一歩境内に入るとその様相を一変する。
其処は特別な空間、まるで沈んだ空気が包み込む幽玄の世界。
茅葺屋根の絵馬堂と拝殿が一列にならび、拝殿と松の幹には三つ房を下げた縄
縄の傍には余り見たことの無い樫の枝を束ね縄掛けをした呪具・・
これが神殿、素朴な神明造り??・・・、やっぱり脇には樫束の呪具。
此処には素盞鳴尊(すさのおのみこと)、菅原道真他1座を合祀する。
素盞鳴尊の本地は牛頭天王だとされ、この松下社も加木牛頭天王社とも言われているようです。
素盞鳴尊を助けた「蘇民将来」の説話からこの地では「蘇民将来子孫」という木札を付けた注連縄が年間を通じて民家の玄関に掲げられている。
また「笑門」と書かれた注連縄を一年通じて良くみかけるが、これも文字通り「笑う門には福来たる」という意味だけではなく やっぱり「蘇民将来子孫家門」を縮めた「将門」で、さらにこれが平将門に通じるのを嫌って「笑門」になったと言う事だそうです。
巨樹追いの旅でも色々興味深いものが発見できて止められそうに無い。
撮影2008.10.4