YS Journal アメリカからの雑感

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アメリカ、5月自動車販売数

2011-06-02 10:30:05 | アメリカ自動車業界
5月も辛うじて、100万台を超えており、現時点では、なんとか年間1200万台になりそうなペースではある。

震災の影響で日系メーカーに元気が無い。単月では、トヨタがクライスラーに負けて、Big 3 の復活となった。日系メーカーの生産復活が当初の見込みより早まりそうなので、後半の巻き返しに期待という所であるが、生産が復活したとしても販売数、マーケットシェアが元に戻るか心配である。今回の震災は、日系自動車メーカーにとって、北米、そしてグローバルマーケットにおいて、これまでに経験した事の無い変換点(当たり前ではあるが)になる気がする。取り敢えず、震災以前を目指している様な気がするが、もし、販売量が戻ってこなければ、北米でのリストラの必要が出てくる。

今回の震災は特異点ではあるが、特にトヨタ、ホンダは、リーマンショックの影響(これも特異点か?)もあり、北米では生産能力過剰になってきていた。中南米への展開も睨んで、特に、アメリカ南部やメキシコへは先行投資的にな意味もあり、採算性を度外視した雰囲気もあった。

北米での販売数の急回復と、即刻に積極的な中南米での拡販活動を開始して、販売数の拡大をしない限り、厳しい事になりそうだ。

なにせ、イメージ的に自動車組み立て工場は、100%稼働だとボロ儲けになる。80%位でトントンであるので、ある程度売らない事にはニッチもサッチもいかなくなる。

もう何十年も前に、アメリカでは、自動車産業は循環型の産業だと結論が出されていたが、日系メーカーもやっとその局面になったのであろう。北米全体の生産能力過剰問題は、もう何年も燻っていたが、一気に火を噴きそうな気がする。今年後半の生産回復と販売量の推移から目が離せない。

全体の構図自体が、日系メーカーにとって最悪な状態なので、個別車種についても、暗い話題ばかりだ。

今月のベストセーラーでは、ニッサンのアルティマが2位に付けているだけで、カムリが8位、シビック9位、アコード10位と考えられない事態となっている。(ニッサンは、生産、販売の落ち込み量が比較的少ない。そう言う意味で、名実共、アメリカ(フランス?)の会社という認識で間違っていないだろう)

アコードが、現代のソナタに負ける可能性を考えていたが、通年では良い勝負になるかもしれない。

ベストセラーで一番驚いたのは、第一位が GM シボレーのマリブ。それなりに売れている(5月までで、約10万台で、YTD では7位)のではあるが、5月は2万5千台以上を売っている。単純に考えると、カムリ、アコードクラスの車種なので、マリブに流れたという事であろうか?同じ要因だと思われるが、ソナタや同じく現代の小型車エラントラも同じ様に販売を著しく伸ばしている。

震災による日本自動車メーカーへの影響は、想像したよりも大きく、長引きそうである。(一方で、トヨタ、ホンダが真のグローバルメーカーになる最大のチャンスである予感がする。このチャンスを上手く活かせないと、世界的なプレゼンスの低い普通の自動車メーカーに落ち着く様な気がする。具体的な戦略は思い浮かばないが、GM や Ford が何十年も前から行っているグローバル展開の成功と失敗が、大いに参考になると思う)