“キャプテン”植田が伝えた「熊本のためにありがとう」
16/5/12 02:25
[5.11 MS&AD杯2016 U-23日本代表 3-0 ガーナ代表 ベアスタ]
誰よりも戦う姿勢を示そうとしていた。熊本県宇土市出身のU-23日本代表DF植田直通(鹿島)は、被災した地元への思いを胸にガーナ戦のピッチに立った。
試合前日の取材対応で、「僕自身は戦う姿勢を絶対に見せないといけない。戦う姿勢を見せて初めて結果がついてくるものだし、結果にプラスして元気を与えられればと思う。応援してくれる方たちのためにも頑張りたい」と意気込みを示していたように、ピッチ上で奮闘する。ガーナが放り込んでくるロングボールをはね返し続け、地上戦を挑んでくる相手には粘り強く対応してゴール前への侵入を許さない。
後半35分には相手選手と接触して右まぶたを切って流血するが、一度ピッチの外に出てテーピングを巻くと、再びピッチに戻って最後までゴールを守り抜く。気持ちの入る試合となったが、「ハートは熱く、頭はクールに。あまり熱くなり過ぎても良いプレーはできないので、そこは冷静に」と熱い気持ちを持ちつつ、落ち着いたプレーを披露して3-0の完封勝利へと導いた。
「チャリティーマッチで皆が熊本のために戦ってくれる中で、熊本県民の僕が戦う姿勢を見せないといけないと思っていた。家族や知り合いもスタジアムに来ていたので、勝利という結果を届けられたのは良かった」
この試合、キャプテンマークは植田の腕に巻かれていた。手倉森誠監督は「今日に関しては本当にリーダーになってもらわないと困るということで託した」と理由を明かすと、「試合後に彼が『熊本にためにありがとう』と締めてくれた。本当に良いリーダーシップを発揮してくれた」とチームのため、そして熊本のために戦う姿勢を示した“キャプテン”を称賛した。
(取材・文 折戸岳彦)
緊急事態の右SBで猛アピール…U-23代表DF伊東「慎也に感謝したい」
16/5/12 01:00
[5.11 MS&AD杯2016 U-23日本代表 3-0 ガーナ代表 ベアスタ]
負傷者続出の右SBで存在感を示した。ガーナ戦で右SBのポジションを託されたのは、U-23日本代表DF伊東幸敏(鹿島)。まずは集中力を途切れさせない守備で自サイドからの相手の侵入を防ぐと、機を心得たオーバーラップで攻撃に厚みを加え、正確なクロスから決定機を創出した。
決してコンスタントに手倉森ジャパンに招集されてきたわけではない。14年8月の福岡合宿に呼ばれた後に招集されたのは、約1年後の15年7月のコスタリカ戦。同年8月の京都合宿には引き続き招集されたものの、次に呼ばれたのは約8か月後の16年4月の静岡合宿となった。しかし、伊東は違和感なくプレーできたと振り返る。
「それなりに合宿には呼ばれているので、全員の特長は分かっているし、自分の特長もそれなりに分かってもらえていると思う。サポートの距離やタイミングがすごく良いので、プレーしやすかった」
その言葉どおり、伊東がタイミング良くフリーで右サイドを駆け上がると、スペースにボールが送られる。スピードに乗った伊東は右サイドをえぐり、幾度となく好クロスを供給。1点をリードして迎えた前半15分には、MF野津田岳人(新潟)から送られたパスをダイレクトでゴール前に送って、MF矢島慎也(岡山)の2点目をアシストした。
守備を含めてアピールに成功したが、何よりも自分の送ったクロスから矢島が得点を決めてくれたのが大きかったと語る。「良いクロスを上げてもゴールにつながらなければ、何も残らない。だからこそ、難しいシュートを決めてくれた慎也には感謝したい」。
最終予選を戦ったDF松原健(新潟)、DF室屋成(FC東京)が負傷離脱中と手薄になっている右SB。伊東は「チャンスだと思っているし、自分が行くべきところだと思う」とサバイバルレースを勝ち抜く覚悟を示した。
(取材・文 折戸岳彦)
故郷・熊本を想い涙…初の主将DF植田「みんなに声をかけてできた」
キャプテンマークを巻いてプレーした植田直通 [写真]=浦正弘
「MS&ADカップ 2016 〜九州 熊本震災復興支援チャリティーマッチ がんばるばい熊本〜」が11日に佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムで開催され、U-23日本代表とガーナ代表が対戦した。試合はMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)の2得点とFW富樫敬真(横浜F・マリノス)の得点でU-23日本代表が3-0の快勝を収めた。
被災地・熊本県出身のDF植田直通(鹿島アントラーズ)は、この試合でゲームキャプテンを務めた。故郷を想い試合を戦った植田は、目に涙を浮かべながら「前半にみんながいいプレーをできて、3点目を決めることができてよかったです」と、まずはしっかりと3点差をつけて勝つことができたことにホッとした様子で語った。
主将を任されたことについては「こうやってキャプテンマークを巻くのは初めてでしたけど、みんなに声をかけてできたのはよかった」と、本人としてはまずまずのできだったという。
日本はリオデジャネイロ・オリンピック本大会で、アフリカ王者のナイジェリア代表と同グループに入った。“仮想ナイジェリア”としてガーナ戦に臨んだが、アフリカ勢のパワーを肌で感じる場面もあった。「まだまだできることがあったし、課題も残ったので次に生かしたい」と、快勝にも慢心することなく、早くも次を見据えている。
流血しながらも主将を全う…熊本出身DF植田「僕が戦う姿勢を見せないと」
被災地・熊本出身の植田は、故郷への想いを胸にプレーした [写真]=浦正弘
「MS&ADカップ 2016 〜九州 熊本震災復興支援チャリティーマッチ がんばるばい熊本〜」が11日に佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムで行われ、U-23日本代表とガーナ代表が対戦した。試合はMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)の2得点とFW富樫敬真(横浜F・マリノス)の得点でU-23日本代表が3-0の快勝を収めた。
初めてキャプテンマークを巻き、完封勝利に大きく貢献したDF植田直通(鹿島アントラーズ)は、「ゼロに抑えられたのはDFとしてよかった」と自己評価しながらも「前半のあの勢いを後半にも続けていかないといけなかった」と後半の動きに課題が出たことを挙げた。
この試合は4月に被災した地元・熊本のチャリティーマッチということで、気持ちがはいる試合だったが、「ハートは熱く、頭はクールに」をモットーに、冷静なプレーを披露。後半には相手選手と接触して左前頭部から出血したが、応急処置を受けて再びピッチに戻り、最後までピッチの上で戦い続けた。
それでも試合後には思わず涙がこぼれ落ちる場面もあり、「みんなが熊本のために戦ってくれているなかで、熊本県民は僕だけしかいなかった。まずは僕が戦う姿勢を見せないといけないと思っていました」と故郷のために強い気持ちを見せたという。
チームはリオデジャネイロ・オリンピックで同組のナイジェリアを想定して試合に臨んだが、この日のガーナはコンディション不良のために十分な成果を得られたとは言い難い。植田自身も「ナイジェリアはもっともっとレベルが高い」とアフリカ王者を警戒。「今日の試合だったらもっとできないといけない」と反省し、「次に活かせれば」と早くも次の試合を見据えた。
【リオ五輪代表】故郷・熊本へ勝利を届けた植田直通。闘魂CBは「今日の試合だったらもっとできないといけない」と課題も見据える
サッカーダイジェストWeb編集部
2016年05月12日
ロングボールをことごとく撥ね返し、無失点勝利に貢献。植田の闘志溢れるプレーは、故郷・熊本のファン・サポーターを勇気付けたはずだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)
「九州 熊本震災復興支援チャリティマッチ がんばるばい熊本」と銘打たれたガーナ戦を、誰よりも強い気持ちで戦っていたのが、この男だったのではないだろうか。
最終ラインで身体を張り、3-0の快勝劇に貢献した植田直通。熊本出身の屈強なCBは、ミックスゾーンに現れるや、こう語った。
「(今日の試合を)熊本のみなさんも見てくれていると思いますし、僕が熊本県民を代表してお礼を言いたいと思います」
手倉森監督からキャプテンマークを託され、「こういう機会はあまりないですけど、チャリティマッチでみんなが熊本のために戦ってくれているなかで、熊本県民は僕だけしかいなかったですし、まずは僕が戦う姿勢を見せないといけないと思っていました」と闘志を前面に押し出したプレーで守備陣を統率。“仮想ナイジェリア”のガーナを完全に抑え切った。
震災に見舞われた故郷に勝利を届けたい――。その願いを叶えた植田は、「僕の家族や知り合いも(会場に)来ていましたし、そういう久しぶりに会った人もいて、顔を見て凄い安心したというか、今日勝利という結果を届けられたのは凄い良かったと思います」と喜びを口にした。
ただし、試合内容について問われると、表情はキリッと引き締まる。
「ゼロ(無失点)に抑えられたのはDFとして良かったですが、前半のあの勢いを後半にも続けていかないといけなかった。課題も少し残ったので、そこは次に活かせればなと思います」
植田がそう振り返るように、3点を挙げて圧倒した前半とは対照的に、後半は無得点とチームのパフォーマンスは停滞した。ガーナ代表が思っていたよりも力が落ちる相手だったこともあり、植田に達成感は微塵もなかったようだ。
「いろんなことやってくるのかなと楽しみな部分はありましたけど、(リオ五輪で対戦する)ナイジェリアとかはもっともっとレベルが高いと思うし、今日の試合だったらもっとできないといけない」
この日のガーナは、リオ五輪で対戦するナイジェリアやコロンビア、スウェーデンより、一枚も二枚も落ちる相手だろう。そんな相手との対戦で課題が見えた自分たちに対して、合格点を与えられなかったのだ。
『まだまだ、このレベルでは満足できない』
ミックスゾーンを去っていく植田の背中は、そう語っているようだった。
熊本出身の植田「次に生かしたい」初主将で完封演出
[2016年5月11日22時47分]
試合後、場内1周でサポーターにあいさつする植田(撮影・清水貴仁)
<国際親善試合:U-23日本3-0ガーナ>◇11日◇ベアスタ
熊本県宇土市出身のDF植田直通(21=鹿島)が主将としてチームをけん引し、完封勝利に貢献した。
手倉森ジャパンでは初めてキャプテンマークを巻いて試合に臨んだ。「九州 熊本震災復興支援チャリティーマッチ がんばるばい熊本」として行われた一戦で無失点に抑え、「前半はみんな、いいプレーができた。みんなで声かけあってできたのでよかった」と話した。
ガーナはリオデジャネイロ五輪1次リーグB組初戦のナイジェリアを仮想した相手だった。快勝にも「まだまだできることがあった。課題もあった。次に生かしたい」と表情は引き締まったままだった。
植田完封、キャプテンマーク巻き熊本へ白星届けた
[2016年5月12日7時57分 紙面から]
後半、ハイボールをクリアする植田(撮影・清水貴仁)
<国際親善試合:U-23日本3-0ガーナ>◇11日◇ベアスタ
リオデジャネイロ五輪に出場するU-23(23歳以下)日本代表が、ガーナA代表(FIFAランク38位)に3-0で快勝した。4月に発生した熊本地震の復興支援チャリティーマッチとして実施。同県宇土市出身のDF植田直通(21=鹿島)が、同代表で初めてキャプテンマークを巻き完封に貢献した。明日13日にトゥーロン国際大会(フランス)のメンバーが発表され、21日の初戦でパラグアイと対戦する。
鳴りやまない「植田コール」が佐賀の空に響いた。植田は試合後、笑顔で場内を1周した。左腕には手倉森監督から「(熊本)県民出身だから」と、託された黄緑色のキャプテンマークが光っていた。
2-0の前半21分。ペナルティーエリア左外からの直接FKをしっかり頭ではじき、ピンチを脱した。この試合には「熊本と共に がまだそう熊本」の思いを込めた。入場の際に着用したTシャツに熊本弁で記した。がまだそう(頑張ろう)の言葉をピッチで体現。「県民は僕だけだし、キャプテンマークを巻いて勝つことができて良かった」。
愛する故郷熊本へ、戦う姿勢を届けた。先月16日に最大震度7の本震が発生。翌17日から1泊2日の強行軍で支援物資を持って茨城から駆けつけた。避難所各所を回り、自分に何ができるかが見えた。1週間、避難生活を送っていた父太実男(たみお)さん(53)母俊子さん(52)とは約5分しか会えなかったが、野菜や日用品を渡し「俺にはサッカーしかない。故郷にいい話題を届けられるのはサッカーだけだから」と強く決意を示した。
この日はその姿を一目見ようと両親や親族、熊本・大津高関係者ら約30人が集合。大津高の仲間は「植田」の応援ボードを掲げてくれた。試合後には両親と再会を果たし「懐かしい顔が力になった」と感謝の思いを伝えた。太実男さんは「直通が頑張ってくれたら、日本のためにも熊本のためにもなる」と目を細めた。
試合後の控室。植田は全員へ向けて「熊本のためにありがとう」と頭を下げた。「県民を代表してお礼を言いたかった」。指揮官も「いいリーダーシップだった」とうなずいた。後半は頭を9針ほど縫うけがを負い、テーピングをしながら出場した。それでも「慣れている」と動じなかった。ふるさとを、国を背負って戦う男はやはり強かった。【小杉舞】
◆ガーナ代表 FIFAランク38位(アフリカでは33位アルジェリア、34位コートジボワールに続き3番目)。W杯は過去3度出場で06年ベスト16、10年ベスト8、14年1次リーグ敗退。アフリカ選手権は4度優勝。愛称「ブラック・スターズ」。
伊東好クロス連発「結果が出て良かった」
[2016年5月12日8時28分 紙面から]
<国際親善試合:U-23日本3-0ガーナ>◇11日◇ベアスタ
DF伊東幸敏(22=鹿島)が右サイドバックでフル出場した。
前半15分にMF矢島の得点をアシストするなど好クロスを連発し、手倉森監督から名指しで評価された。無難な守備でも貢献し、昨年7月のコスタリカ戦(仙台)以来となる先発で再び快勝に導いた。「結果が出て良かった。(負傷者が相次ぐ中で)定位置争いに自分が食い込んでいくべきだと思っている」と巻き返しを狙う。
故郷・熊本に届け!植田がガーナを流血完封、手倉森Jリオへ手応え
テーピング姿で競り合う植田。被災した故郷・熊本に向けて不屈の精神力を見せつけた(撮影・森田達也)
MS&ADカップ(11日、U-23日本3-0ガーナ、ベアス)リオデジャネイロ五輪に出場するU-23(23歳以下)日本代表とガーナ代表による熊本地震の慈善試合を兼ねて行われ、熊本出身のDF植田直通(21)=鹿島=がキャプテンマークを巻いて先発出場した。チームとして初めて対戦するアフリカ勢を相手に持ち前の高さを生かして攻守に奮闘。被災地を勇気づける3-0の勝利に貢献した。
相手と接触し、右目付近から流血した植田。仮想ナイジェリア戦で気迫のプレーを披露した(撮影・甘利慈)
ガーナの攻撃を体を張った守備ではじき返した。故郷・熊本を勇気づける完封勝利。試合後、DF植田は仲間と場内を一周。スタンドから送られる「植田コール」に頭を下げて応えた。
「チャリティーマッチという位置づけ。熊本のみなさんも見ていてくれたと思う。県民を代表してお礼を言いたい」
疲労を考慮して招集されなかったMF遠藤(浦和)に代わってキャプテンマークを左腕に巻いてプレー。「熊本のために」と手倉森監督が提案し、選手全員が賛同した。五輪初戦の相手、ナイジェリアを想定した試合では、屈強なガーナ選手を相手に互角以上のプレーで対応。後半35分にはFWアダムスの左肘が右目付近にガツン! 9針ほど縫う裂傷で流血したが、応急処置をしてプレーを続行。その後も味方を鼓舞し、3-0の完封勝利に貢献した。
普段は寡黙だが、情に厚く責任感は人一倍だ。「(メンバーの中で)熊本出身は僕だけ。戦う姿勢を見せなきゃいけないと思っていた」。熊本から家族を招待し、母・俊子さん(52)もスタンドで観戦。息子のけがを目の当たりにしたが、「けがは慣れてますから」。テーピング姿に注がれた拍手&喝采には「ありがたい。みなさんの気持ちがうれしかった」と目頭を熱くした。
イレブンはTシャツ
今回の震災で市役所が半壊するなど大きな被害を受けた熊本・宇土市出身。母校・大津高も被災した。現在は両親ともに家に戻ったが、実家は有明海沿いにあり、4月16日未明の地震では、家族は高台に避難。車の中で一晩を過ごしたという。17日に鹿島での練習を終えるとクラブに直談判をし、熊本で支援活動を行った。空路で福岡に入り、水や肉などの食料品やトイレットペーパーを買い込んで被災地に運んだ。
ガーナ戦前日には監督、スタッフ、チームメートと試合会場で募金活動を実施。会場では「頑張ってください」とファンの声援を受けた。「(みんなのためにも)結果を出せてよかった」。ファンの思いに応える勝利に安堵(あんど)の表情をみせた。
手倉森ジャパン発足時からメンバー入りする守りの要で、14年12月14日のタイ戦から続く20戦無敗にも貢献。右腕に喪章を巻き、気迫あふれるプレーで愛する故郷を励まし続けた。 (一色伸裕)
後半、交錯し相手の肘が顔面に当たる植田=ベアスタ
ガーナに快勝し、横断幕を掲げサポーターにあいさつする植田(左から2人目)ら日本イレブン=ベアスタ
試合終了後、声援に応える植田(#5)、矢島(#10)ら=ベストアメニティスタジアム(撮影・甘利慈)
植田 直通(うえだ・なおみち)
1994(平成6)年10月24日生まれ、21歳。熊本・宇土市出身。小3でサッカーを始める。大津高から2013年に鹿島入団。14年3月1日の甲府戦でJ1初出場、昨年4月16日の柏戦で同初得点。11年U-17W杯では過去最高に並ぶ8強入り。昨年1月のアジア杯で日本代表に初選出も不出場。今年1月、U-23日本代表としてリオ五輪最終予選優勝に貢献。J1今季11試合0得点、同通算42試合1得点。1メートル86、77キロ。
伊東 神クロス!2点目をアシスト「蹴りやすかった」
国際親善試合 U―23日本3―0ガーナ (5月11日 ベアスタ)
好クロスを連発した伊東
Photo By スポニチ
伊東は、右サイドバックでフル出場し、2点目をアシストした。前半15分に野津田からボールを受け、右サイドを切り裂くと、逆サイドの矢島に合わせるクロスを配球。
「入り方がはっきり見えたので蹴りやすかった。難しいシュートを決めてくれた」と満足げに振り返った。得点シーンだけでなく、前半34分にも浅野にピタリと合わせるなど持ち味の高精度クロスを披露。1月のU―23アジア選手権は選考から外れ悔しい思いもしたが、「大チャンスだと思っている」と大一番で猛アピールした。
[ 2016年5月12日 05:30 ]
熊本出身の植田主将!血染め完封 指揮官の粋な計らいに応えた
国際親善試合 U―23日本3―0ガーナ (5月11日 ベアスタ)
<U23日本・ガーナ>主将マークを巻き、裂傷した右目を止血してサポーターの声援に応える植田
Photo By スポニチ
不屈の精神を見せた。後半35分。DF植田は激しい空中戦を繰り広げ、相手選手と激突。右まぶたから出血し一瞬、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。だが、テーピングを施し、事もなげにプレーを続行。身体能力で勝るガーナを相手に完封を飾った。試合後は9針縫うほどのケガだったが「大したことはない。慣れている」と勝ち誇った。
魂が震えた。被災地である熊本県宇土市出身。左腕には、手倉森監督から初めて任されたキャプテンマークが巻かれていた。試合前には黙とう。全員が喪章をつけてプレーした。「ハートは熱く、頭はクール。いつもそう思っている」。高ぶる気持ちをコントロールし、初のアフリカ勢“仮想ナイジェリア”にもひるまなかった。「ゼロに抑えられたのはDFとして良かった。前半の勢いを後半も続けないと」と反省も忘れなかった。
地震発生からわずか4日後の4月18日に、鹿島の先輩である元日本代表MF小笠原らとともに救援物資を持って被災地を訪れた。そこでは苦境に立たされている被災者から「頑張って」と声を掛けられた。「元気を与えなきゃいけない立場なのに激励された」。胸の奥底に突き刺さった言葉は勇気となった。「熊本出身は僕しかいない。まず僕が戦う姿勢を見せないといけなかった」。熊本のためにも負けるわけにはいかなかった。
試合後に会場を一周すると、植田コールが湧き起こった。久しぶりに見る知り合いや家族の顔に、気迫のこもった表情が少し和らいだ。試合後、チームメートに向かって言った。「熊本のためにありがとう」。故郷に贈る完封劇だった。
<U23日本・ガーナ>相手選手の肘が植田の顔面に当たる
Photo By 共同
<U23日本・ガーナ>後半、流血する植田
Photo By スポニチ
[ 2016年5月12日 05:30 ]
【U23】熊本出身・植田、流血なんの!気迫のプレーでガーナA代表を完封
2016年5月12日6時0分 スポーツ報知
前半、ゴール前でGKオフォリと競り合う植田(右)
負傷した頭にテープを巻き、ガーナの関係者と記念撮影をする植田(中)
◆国際親善試合 U23日本3―0ガーナA代表(11日・ベストアメニティスタジアム)
U―23日本代表は熊本地震の慈善試合でガーナA代表を完封した。初めてゲームキャプテンを任されたDF植田直通(21)=鹿島=は後半35分、相手FWの肘で右目の上を裂傷。頭にテープを巻いてピッチに戻り、リオデジャネイロ五輪1次リーグの初戦で激突するナイジェリアを想定したアフリカの強豪を抑えた。試合後に会場で8、9針を縫う大けがとなったが、フル出場する気迫を見せ、地元・熊本を勇気づけた。
植田が故郷への思いをプレーで表現した。初めてゲームキャプテンを任され、熊本地震の慈善試合として行われた一戦を快勝に導いた。「熊本県出身は(チームに)僕しかいないし、まずは僕が戦う姿勢を見せないといけないと思った」。後半35分、頭部に8、9針を縫うほどの裂傷を負っても「慣れているから」とテーピングをしてピッチに戻った。DFラインを最後まで高く保ち続け、ガーナに反撃のチャンスを与えなかった。
宇土市出身で実家や母校の大津高が被災した。試合後のロッカールームでは、チームメートの前で「熊本のために戦ってくれて、ありがとう」と頭を下げたという。鹿島でも口数が少なく、シャイな性格で知られる男が「県民を代表してお礼を言いたかった」と行動に移すほど、欲しかった勝利。リオ五輪で48年ぶりのメダル獲得を目指すチームにとって、そして復興を目指す熊本に向けて、何が何でも勝ちたかった。
観客席には宇土市に住む両親、親族らが応援に駆けつけた。自宅は地割れなどの被害があり、今でも「すぐに逃げられるように」(母・俊子さん、52)と玄関近くの部屋で寝ている。まだ仕事中も「怖さ」を感じることがあるといい、恐怖はなかなか消えない。もちろん、避難所生活を続ける被災者も多くいる。けがに耐えて完封に貢献し、植田は逆境に屈しないプレーを熊本に発信した。
父・太実男さん(53)は「(手倉森)監督の復興にかける思いもあり、主将というポジションを与えてくれた。結果が出て監督に少し恩返しできたかなと思う」と目を細めた。「主将はびっくりしました。ありがたい。皆さんに元気を与えられるプレーができれば」と俊子さん。頼もしい息子は「勝利を届けられて良かった」と胸をなで下ろした。植田はチームを、熊本をこれからも引っ張っていく。(内田 知宏)
植田、故郷熊本に届けた流血奮闘
2016年5月12日
後半、頭に包帯を巻き、ガーナの選手と競り合う植田(撮影・棚橋慶太)
「サッカー・国際親善試合、U-23日本3-0ガーナ」(11日、鳥栖ベストアメニティスタジアム)
リオデジャネイロ五輪に出場する男子のU-23日本代表は3-0でガーナ代表に快勝した。熊本県宇土市出身のDF植田直通(21)=鹿島=はキャプテンマークをつけて奮闘。熊本地震の慈善試合として行われた一戦を勝利に導いた。日本は五輪1次リーグB組初戦のナイジェリア戦を想定したアフリカ勢との試合を制し、本番に向けて弾みをつけた。
傷ついた故郷へありったけの思いを届けた。熊本地震の慈善試合となった特別な一戦。手倉森監督から指名され左腕にキャプテンマークを巻いた熊本県宇土市出身の植田は「熊本県民は僕だけだったので戦う姿勢を見せたかった。勝利という結果を届けられてよかった」と素直な思いを口にした。
試合後のロッカールームでは「熊本のためにありがとう」と仲間に頭を下げた。「県民を代表してお礼を言わせてもらった」。主将の重責を預けた指揮官も「いいリーダーシップを発揮してくれた」と手放しで称えた。
試合会場には植田の父太実男さん(53)、母俊子さん(52)ら家族や親戚が駆け付けた。自宅は無事だったが震災直後は車中泊を余儀なくされた。家族は現在自宅に戻っているが、地震の恐怖から今も寝室ではなく玄関に一番近い部屋で全員で寝ているという。
先月18日に植田らが熊本を訪れ支援活動を行った際には、水や肉、パン、トイレットペーパーなどが届けられた。試合に向けて特別な会話は交わさなかったという太実男さんは「会わなくても気持ちは伝わる。試合に出してもらい、監督の気持ちに応えられてよかった」と胸をなで下ろし、俊子さんも「本当に頼もしかったです」と、息子の姿をまぶしそうに見つめた。
矢島の2得点などで前半のうちに3点を奪った。植田も体を張った守備で無失点勝利に貢献。「DFとしては良かったが、前半の勢いを続けられない課題も残った」と振り返った。終盤には相手選手との接触で右まぶた上から出血。応急処置で8~9針ほど縫ったが、「大したことない。慣れている」と意に介さなかった、
試合後には場内を一周しながら「久しぶりに会った人の顔を見て安心した」。高校の同級生で佐賀大に通うボランティアスタッフと記念撮影も行うなど旧交も温めた。熊本への思いを形にし、スタンドから起こった大きな植田コールに誇らしげに手を挙げた。
チンチロリン
先発出場を果たした鹿島勢3人である。
櫛引はクリーンシートを達成し、勝利に貢献した。
ユキは試合を決定づける2点目のアシストを記録。
素晴らしいクロスであった。
植田はキャプテンとしてチームを鼓舞し力強い戦いを魅せた。
三人とも素晴らしいパフォーマンスであった。
勇気をありがとう。
チンチロリン
16/5/12 02:25
[5.11 MS&AD杯2016 U-23日本代表 3-0 ガーナ代表 ベアスタ]
誰よりも戦う姿勢を示そうとしていた。熊本県宇土市出身のU-23日本代表DF植田直通(鹿島)は、被災した地元への思いを胸にガーナ戦のピッチに立った。
試合前日の取材対応で、「僕自身は戦う姿勢を絶対に見せないといけない。戦う姿勢を見せて初めて結果がついてくるものだし、結果にプラスして元気を与えられればと思う。応援してくれる方たちのためにも頑張りたい」と意気込みを示していたように、ピッチ上で奮闘する。ガーナが放り込んでくるロングボールをはね返し続け、地上戦を挑んでくる相手には粘り強く対応してゴール前への侵入を許さない。
後半35分には相手選手と接触して右まぶたを切って流血するが、一度ピッチの外に出てテーピングを巻くと、再びピッチに戻って最後までゴールを守り抜く。気持ちの入る試合となったが、「ハートは熱く、頭はクールに。あまり熱くなり過ぎても良いプレーはできないので、そこは冷静に」と熱い気持ちを持ちつつ、落ち着いたプレーを披露して3-0の完封勝利へと導いた。
「チャリティーマッチで皆が熊本のために戦ってくれる中で、熊本県民の僕が戦う姿勢を見せないといけないと思っていた。家族や知り合いもスタジアムに来ていたので、勝利という結果を届けられたのは良かった」
この試合、キャプテンマークは植田の腕に巻かれていた。手倉森誠監督は「今日に関しては本当にリーダーになってもらわないと困るということで託した」と理由を明かすと、「試合後に彼が『熊本にためにありがとう』と締めてくれた。本当に良いリーダーシップを発揮してくれた」とチームのため、そして熊本のために戦う姿勢を示した“キャプテン”を称賛した。
(取材・文 折戸岳彦)
緊急事態の右SBで猛アピール…U-23代表DF伊東「慎也に感謝したい」
16/5/12 01:00
[5.11 MS&AD杯2016 U-23日本代表 3-0 ガーナ代表 ベアスタ]
負傷者続出の右SBで存在感を示した。ガーナ戦で右SBのポジションを託されたのは、U-23日本代表DF伊東幸敏(鹿島)。まずは集中力を途切れさせない守備で自サイドからの相手の侵入を防ぐと、機を心得たオーバーラップで攻撃に厚みを加え、正確なクロスから決定機を創出した。
決してコンスタントに手倉森ジャパンに招集されてきたわけではない。14年8月の福岡合宿に呼ばれた後に招集されたのは、約1年後の15年7月のコスタリカ戦。同年8月の京都合宿には引き続き招集されたものの、次に呼ばれたのは約8か月後の16年4月の静岡合宿となった。しかし、伊東は違和感なくプレーできたと振り返る。
「それなりに合宿には呼ばれているので、全員の特長は分かっているし、自分の特長もそれなりに分かってもらえていると思う。サポートの距離やタイミングがすごく良いので、プレーしやすかった」
その言葉どおり、伊東がタイミング良くフリーで右サイドを駆け上がると、スペースにボールが送られる。スピードに乗った伊東は右サイドをえぐり、幾度となく好クロスを供給。1点をリードして迎えた前半15分には、MF野津田岳人(新潟)から送られたパスをダイレクトでゴール前に送って、MF矢島慎也(岡山)の2点目をアシストした。
守備を含めてアピールに成功したが、何よりも自分の送ったクロスから矢島が得点を決めてくれたのが大きかったと語る。「良いクロスを上げてもゴールにつながらなければ、何も残らない。だからこそ、難しいシュートを決めてくれた慎也には感謝したい」。
最終予選を戦ったDF松原健(新潟)、DF室屋成(FC東京)が負傷離脱中と手薄になっている右SB。伊東は「チャンスだと思っているし、自分が行くべきところだと思う」とサバイバルレースを勝ち抜く覚悟を示した。
(取材・文 折戸岳彦)
故郷・熊本を想い涙…初の主将DF植田「みんなに声をかけてできた」
キャプテンマークを巻いてプレーした植田直通 [写真]=浦正弘
「MS&ADカップ 2016 〜九州 熊本震災復興支援チャリティーマッチ がんばるばい熊本〜」が11日に佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムで開催され、U-23日本代表とガーナ代表が対戦した。試合はMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)の2得点とFW富樫敬真(横浜F・マリノス)の得点でU-23日本代表が3-0の快勝を収めた。
被災地・熊本県出身のDF植田直通(鹿島アントラーズ)は、この試合でゲームキャプテンを務めた。故郷を想い試合を戦った植田は、目に涙を浮かべながら「前半にみんながいいプレーをできて、3点目を決めることができてよかったです」と、まずはしっかりと3点差をつけて勝つことができたことにホッとした様子で語った。
主将を任されたことについては「こうやってキャプテンマークを巻くのは初めてでしたけど、みんなに声をかけてできたのはよかった」と、本人としてはまずまずのできだったという。
日本はリオデジャネイロ・オリンピック本大会で、アフリカ王者のナイジェリア代表と同グループに入った。“仮想ナイジェリア”としてガーナ戦に臨んだが、アフリカ勢のパワーを肌で感じる場面もあった。「まだまだできることがあったし、課題も残ったので次に生かしたい」と、快勝にも慢心することなく、早くも次を見据えている。
流血しながらも主将を全う…熊本出身DF植田「僕が戦う姿勢を見せないと」
被災地・熊本出身の植田は、故郷への想いを胸にプレーした [写真]=浦正弘
「MS&ADカップ 2016 〜九州 熊本震災復興支援チャリティーマッチ がんばるばい熊本〜」が11日に佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムで行われ、U-23日本代表とガーナ代表が対戦した。試合はMF矢島慎也(ファジアーノ岡山)の2得点とFW富樫敬真(横浜F・マリノス)の得点でU-23日本代表が3-0の快勝を収めた。
初めてキャプテンマークを巻き、完封勝利に大きく貢献したDF植田直通(鹿島アントラーズ)は、「ゼロに抑えられたのはDFとしてよかった」と自己評価しながらも「前半のあの勢いを後半にも続けていかないといけなかった」と後半の動きに課題が出たことを挙げた。
この試合は4月に被災した地元・熊本のチャリティーマッチということで、気持ちがはいる試合だったが、「ハートは熱く、頭はクールに」をモットーに、冷静なプレーを披露。後半には相手選手と接触して左前頭部から出血したが、応急処置を受けて再びピッチに戻り、最後までピッチの上で戦い続けた。
それでも試合後には思わず涙がこぼれ落ちる場面もあり、「みんなが熊本のために戦ってくれているなかで、熊本県民は僕だけしかいなかった。まずは僕が戦う姿勢を見せないといけないと思っていました」と故郷のために強い気持ちを見せたという。
チームはリオデジャネイロ・オリンピックで同組のナイジェリアを想定して試合に臨んだが、この日のガーナはコンディション不良のために十分な成果を得られたとは言い難い。植田自身も「ナイジェリアはもっともっとレベルが高い」とアフリカ王者を警戒。「今日の試合だったらもっとできないといけない」と反省し、「次に活かせれば」と早くも次の試合を見据えた。
【リオ五輪代表】故郷・熊本へ勝利を届けた植田直通。闘魂CBは「今日の試合だったらもっとできないといけない」と課題も見据える
サッカーダイジェストWeb編集部
2016年05月12日
ロングボールをことごとく撥ね返し、無失点勝利に貢献。植田の闘志溢れるプレーは、故郷・熊本のファン・サポーターを勇気付けたはずだ。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)
「九州 熊本震災復興支援チャリティマッチ がんばるばい熊本」と銘打たれたガーナ戦を、誰よりも強い気持ちで戦っていたのが、この男だったのではないだろうか。
最終ラインで身体を張り、3-0の快勝劇に貢献した植田直通。熊本出身の屈強なCBは、ミックスゾーンに現れるや、こう語った。
「(今日の試合を)熊本のみなさんも見てくれていると思いますし、僕が熊本県民を代表してお礼を言いたいと思います」
手倉森監督からキャプテンマークを託され、「こういう機会はあまりないですけど、チャリティマッチでみんなが熊本のために戦ってくれているなかで、熊本県民は僕だけしかいなかったですし、まずは僕が戦う姿勢を見せないといけないと思っていました」と闘志を前面に押し出したプレーで守備陣を統率。“仮想ナイジェリア”のガーナを完全に抑え切った。
震災に見舞われた故郷に勝利を届けたい――。その願いを叶えた植田は、「僕の家族や知り合いも(会場に)来ていましたし、そういう久しぶりに会った人もいて、顔を見て凄い安心したというか、今日勝利という結果を届けられたのは凄い良かったと思います」と喜びを口にした。
ただし、試合内容について問われると、表情はキリッと引き締まる。
「ゼロ(無失点)に抑えられたのはDFとして良かったですが、前半のあの勢いを後半にも続けていかないといけなかった。課題も少し残ったので、そこは次に活かせればなと思います」
植田がそう振り返るように、3点を挙げて圧倒した前半とは対照的に、後半は無得点とチームのパフォーマンスは停滞した。ガーナ代表が思っていたよりも力が落ちる相手だったこともあり、植田に達成感は微塵もなかったようだ。
「いろんなことやってくるのかなと楽しみな部分はありましたけど、(リオ五輪で対戦する)ナイジェリアとかはもっともっとレベルが高いと思うし、今日の試合だったらもっとできないといけない」
この日のガーナは、リオ五輪で対戦するナイジェリアやコロンビア、スウェーデンより、一枚も二枚も落ちる相手だろう。そんな相手との対戦で課題が見えた自分たちに対して、合格点を与えられなかったのだ。
『まだまだ、このレベルでは満足できない』
ミックスゾーンを去っていく植田の背中は、そう語っているようだった。
熊本出身の植田「次に生かしたい」初主将で完封演出
[2016年5月11日22時47分]
試合後、場内1周でサポーターにあいさつする植田(撮影・清水貴仁)
<国際親善試合:U-23日本3-0ガーナ>◇11日◇ベアスタ
熊本県宇土市出身のDF植田直通(21=鹿島)が主将としてチームをけん引し、完封勝利に貢献した。
手倉森ジャパンでは初めてキャプテンマークを巻いて試合に臨んだ。「九州 熊本震災復興支援チャリティーマッチ がんばるばい熊本」として行われた一戦で無失点に抑え、「前半はみんな、いいプレーができた。みんなで声かけあってできたのでよかった」と話した。
ガーナはリオデジャネイロ五輪1次リーグB組初戦のナイジェリアを仮想した相手だった。快勝にも「まだまだできることがあった。課題もあった。次に生かしたい」と表情は引き締まったままだった。
植田完封、キャプテンマーク巻き熊本へ白星届けた
[2016年5月12日7時57分 紙面から]
後半、ハイボールをクリアする植田(撮影・清水貴仁)
<国際親善試合:U-23日本3-0ガーナ>◇11日◇ベアスタ
リオデジャネイロ五輪に出場するU-23(23歳以下)日本代表が、ガーナA代表(FIFAランク38位)に3-0で快勝した。4月に発生した熊本地震の復興支援チャリティーマッチとして実施。同県宇土市出身のDF植田直通(21=鹿島)が、同代表で初めてキャプテンマークを巻き完封に貢献した。明日13日にトゥーロン国際大会(フランス)のメンバーが発表され、21日の初戦でパラグアイと対戦する。
鳴りやまない「植田コール」が佐賀の空に響いた。植田は試合後、笑顔で場内を1周した。左腕には手倉森監督から「(熊本)県民出身だから」と、託された黄緑色のキャプテンマークが光っていた。
2-0の前半21分。ペナルティーエリア左外からの直接FKをしっかり頭ではじき、ピンチを脱した。この試合には「熊本と共に がまだそう熊本」の思いを込めた。入場の際に着用したTシャツに熊本弁で記した。がまだそう(頑張ろう)の言葉をピッチで体現。「県民は僕だけだし、キャプテンマークを巻いて勝つことができて良かった」。
愛する故郷熊本へ、戦う姿勢を届けた。先月16日に最大震度7の本震が発生。翌17日から1泊2日の強行軍で支援物資を持って茨城から駆けつけた。避難所各所を回り、自分に何ができるかが見えた。1週間、避難生活を送っていた父太実男(たみお)さん(53)母俊子さん(52)とは約5分しか会えなかったが、野菜や日用品を渡し「俺にはサッカーしかない。故郷にいい話題を届けられるのはサッカーだけだから」と強く決意を示した。
この日はその姿を一目見ようと両親や親族、熊本・大津高関係者ら約30人が集合。大津高の仲間は「植田」の応援ボードを掲げてくれた。試合後には両親と再会を果たし「懐かしい顔が力になった」と感謝の思いを伝えた。太実男さんは「直通が頑張ってくれたら、日本のためにも熊本のためにもなる」と目を細めた。
試合後の控室。植田は全員へ向けて「熊本のためにありがとう」と頭を下げた。「県民を代表してお礼を言いたかった」。指揮官も「いいリーダーシップだった」とうなずいた。後半は頭を9針ほど縫うけがを負い、テーピングをしながら出場した。それでも「慣れている」と動じなかった。ふるさとを、国を背負って戦う男はやはり強かった。【小杉舞】
◆ガーナ代表 FIFAランク38位(アフリカでは33位アルジェリア、34位コートジボワールに続き3番目)。W杯は過去3度出場で06年ベスト16、10年ベスト8、14年1次リーグ敗退。アフリカ選手権は4度優勝。愛称「ブラック・スターズ」。
伊東好クロス連発「結果が出て良かった」
[2016年5月12日8時28分 紙面から]
<国際親善試合:U-23日本3-0ガーナ>◇11日◇ベアスタ
DF伊東幸敏(22=鹿島)が右サイドバックでフル出場した。
前半15分にMF矢島の得点をアシストするなど好クロスを連発し、手倉森監督から名指しで評価された。無難な守備でも貢献し、昨年7月のコスタリカ戦(仙台)以来となる先発で再び快勝に導いた。「結果が出て良かった。(負傷者が相次ぐ中で)定位置争いに自分が食い込んでいくべきだと思っている」と巻き返しを狙う。
故郷・熊本に届け!植田がガーナを流血完封、手倉森Jリオへ手応え
テーピング姿で競り合う植田。被災した故郷・熊本に向けて不屈の精神力を見せつけた(撮影・森田達也)
MS&ADカップ(11日、U-23日本3-0ガーナ、ベアス)リオデジャネイロ五輪に出場するU-23(23歳以下)日本代表とガーナ代表による熊本地震の慈善試合を兼ねて行われ、熊本出身のDF植田直通(21)=鹿島=がキャプテンマークを巻いて先発出場した。チームとして初めて対戦するアフリカ勢を相手に持ち前の高さを生かして攻守に奮闘。被災地を勇気づける3-0の勝利に貢献した。
相手と接触し、右目付近から流血した植田。仮想ナイジェリア戦で気迫のプレーを披露した(撮影・甘利慈)
ガーナの攻撃を体を張った守備ではじき返した。故郷・熊本を勇気づける完封勝利。試合後、DF植田は仲間と場内を一周。スタンドから送られる「植田コール」に頭を下げて応えた。
「チャリティーマッチという位置づけ。熊本のみなさんも見ていてくれたと思う。県民を代表してお礼を言いたい」
疲労を考慮して招集されなかったMF遠藤(浦和)に代わってキャプテンマークを左腕に巻いてプレー。「熊本のために」と手倉森監督が提案し、選手全員が賛同した。五輪初戦の相手、ナイジェリアを想定した試合では、屈強なガーナ選手を相手に互角以上のプレーで対応。後半35分にはFWアダムスの左肘が右目付近にガツン! 9針ほど縫う裂傷で流血したが、応急処置をしてプレーを続行。その後も味方を鼓舞し、3-0の完封勝利に貢献した。
普段は寡黙だが、情に厚く責任感は人一倍だ。「(メンバーの中で)熊本出身は僕だけ。戦う姿勢を見せなきゃいけないと思っていた」。熊本から家族を招待し、母・俊子さん(52)もスタンドで観戦。息子のけがを目の当たりにしたが、「けがは慣れてますから」。テーピング姿に注がれた拍手&喝采には「ありがたい。みなさんの気持ちがうれしかった」と目頭を熱くした。
イレブンはTシャツ
今回の震災で市役所が半壊するなど大きな被害を受けた熊本・宇土市出身。母校・大津高も被災した。現在は両親ともに家に戻ったが、実家は有明海沿いにあり、4月16日未明の地震では、家族は高台に避難。車の中で一晩を過ごしたという。17日に鹿島での練習を終えるとクラブに直談判をし、熊本で支援活動を行った。空路で福岡に入り、水や肉などの食料品やトイレットペーパーを買い込んで被災地に運んだ。
ガーナ戦前日には監督、スタッフ、チームメートと試合会場で募金活動を実施。会場では「頑張ってください」とファンの声援を受けた。「(みんなのためにも)結果を出せてよかった」。ファンの思いに応える勝利に安堵(あんど)の表情をみせた。
手倉森ジャパン発足時からメンバー入りする守りの要で、14年12月14日のタイ戦から続く20戦無敗にも貢献。右腕に喪章を巻き、気迫あふれるプレーで愛する故郷を励まし続けた。 (一色伸裕)
後半、交錯し相手の肘が顔面に当たる植田=ベアスタ
ガーナに快勝し、横断幕を掲げサポーターにあいさつする植田(左から2人目)ら日本イレブン=ベアスタ
試合終了後、声援に応える植田(#5)、矢島(#10)ら=ベストアメニティスタジアム(撮影・甘利慈)
植田 直通(うえだ・なおみち)
1994(平成6)年10月24日生まれ、21歳。熊本・宇土市出身。小3でサッカーを始める。大津高から2013年に鹿島入団。14年3月1日の甲府戦でJ1初出場、昨年4月16日の柏戦で同初得点。11年U-17W杯では過去最高に並ぶ8強入り。昨年1月のアジア杯で日本代表に初選出も不出場。今年1月、U-23日本代表としてリオ五輪最終予選優勝に貢献。J1今季11試合0得点、同通算42試合1得点。1メートル86、77キロ。
伊東 神クロス!2点目をアシスト「蹴りやすかった」
国際親善試合 U―23日本3―0ガーナ (5月11日 ベアスタ)
好クロスを連発した伊東
Photo By スポニチ
伊東は、右サイドバックでフル出場し、2点目をアシストした。前半15分に野津田からボールを受け、右サイドを切り裂くと、逆サイドの矢島に合わせるクロスを配球。
「入り方がはっきり見えたので蹴りやすかった。難しいシュートを決めてくれた」と満足げに振り返った。得点シーンだけでなく、前半34分にも浅野にピタリと合わせるなど持ち味の高精度クロスを披露。1月のU―23アジア選手権は選考から外れ悔しい思いもしたが、「大チャンスだと思っている」と大一番で猛アピールした。
[ 2016年5月12日 05:30 ]
熊本出身の植田主将!血染め完封 指揮官の粋な計らいに応えた
国際親善試合 U―23日本3―0ガーナ (5月11日 ベアスタ)
<U23日本・ガーナ>主将マークを巻き、裂傷した右目を止血してサポーターの声援に応える植田
Photo By スポニチ
不屈の精神を見せた。後半35分。DF植田は激しい空中戦を繰り広げ、相手選手と激突。右まぶたから出血し一瞬、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。だが、テーピングを施し、事もなげにプレーを続行。身体能力で勝るガーナを相手に完封を飾った。試合後は9針縫うほどのケガだったが「大したことはない。慣れている」と勝ち誇った。
魂が震えた。被災地である熊本県宇土市出身。左腕には、手倉森監督から初めて任されたキャプテンマークが巻かれていた。試合前には黙とう。全員が喪章をつけてプレーした。「ハートは熱く、頭はクール。いつもそう思っている」。高ぶる気持ちをコントロールし、初のアフリカ勢“仮想ナイジェリア”にもひるまなかった。「ゼロに抑えられたのはDFとして良かった。前半の勢いを後半も続けないと」と反省も忘れなかった。
地震発生からわずか4日後の4月18日に、鹿島の先輩である元日本代表MF小笠原らとともに救援物資を持って被災地を訪れた。そこでは苦境に立たされている被災者から「頑張って」と声を掛けられた。「元気を与えなきゃいけない立場なのに激励された」。胸の奥底に突き刺さった言葉は勇気となった。「熊本出身は僕しかいない。まず僕が戦う姿勢を見せないといけなかった」。熊本のためにも負けるわけにはいかなかった。
試合後に会場を一周すると、植田コールが湧き起こった。久しぶりに見る知り合いや家族の顔に、気迫のこもった表情が少し和らいだ。試合後、チームメートに向かって言った。「熊本のためにありがとう」。故郷に贈る完封劇だった。
<U23日本・ガーナ>相手選手の肘が植田の顔面に当たる
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<U23日本・ガーナ>後半、流血する植田
Photo By スポニチ
[ 2016年5月12日 05:30 ]
【U23】熊本出身・植田、流血なんの!気迫のプレーでガーナA代表を完封
2016年5月12日6時0分 スポーツ報知
前半、ゴール前でGKオフォリと競り合う植田(右)
負傷した頭にテープを巻き、ガーナの関係者と記念撮影をする植田(中)
◆国際親善試合 U23日本3―0ガーナA代表(11日・ベストアメニティスタジアム)
U―23日本代表は熊本地震の慈善試合でガーナA代表を完封した。初めてゲームキャプテンを任されたDF植田直通(21)=鹿島=は後半35分、相手FWの肘で右目の上を裂傷。頭にテープを巻いてピッチに戻り、リオデジャネイロ五輪1次リーグの初戦で激突するナイジェリアを想定したアフリカの強豪を抑えた。試合後に会場で8、9針を縫う大けがとなったが、フル出場する気迫を見せ、地元・熊本を勇気づけた。
植田が故郷への思いをプレーで表現した。初めてゲームキャプテンを任され、熊本地震の慈善試合として行われた一戦を快勝に導いた。「熊本県出身は(チームに)僕しかいないし、まずは僕が戦う姿勢を見せないといけないと思った」。後半35分、頭部に8、9針を縫うほどの裂傷を負っても「慣れているから」とテーピングをしてピッチに戻った。DFラインを最後まで高く保ち続け、ガーナに反撃のチャンスを与えなかった。
宇土市出身で実家や母校の大津高が被災した。試合後のロッカールームでは、チームメートの前で「熊本のために戦ってくれて、ありがとう」と頭を下げたという。鹿島でも口数が少なく、シャイな性格で知られる男が「県民を代表してお礼を言いたかった」と行動に移すほど、欲しかった勝利。リオ五輪で48年ぶりのメダル獲得を目指すチームにとって、そして復興を目指す熊本に向けて、何が何でも勝ちたかった。
観客席には宇土市に住む両親、親族らが応援に駆けつけた。自宅は地割れなどの被害があり、今でも「すぐに逃げられるように」(母・俊子さん、52)と玄関近くの部屋で寝ている。まだ仕事中も「怖さ」を感じることがあるといい、恐怖はなかなか消えない。もちろん、避難所生活を続ける被災者も多くいる。けがに耐えて完封に貢献し、植田は逆境に屈しないプレーを熊本に発信した。
父・太実男さん(53)は「(手倉森)監督の復興にかける思いもあり、主将というポジションを与えてくれた。結果が出て監督に少し恩返しできたかなと思う」と目を細めた。「主将はびっくりしました。ありがたい。皆さんに元気を与えられるプレーができれば」と俊子さん。頼もしい息子は「勝利を届けられて良かった」と胸をなで下ろした。植田はチームを、熊本をこれからも引っ張っていく。(内田 知宏)
植田、故郷熊本に届けた流血奮闘
2016年5月12日
後半、頭に包帯を巻き、ガーナの選手と競り合う植田(撮影・棚橋慶太)
「サッカー・国際親善試合、U-23日本3-0ガーナ」(11日、鳥栖ベストアメニティスタジアム)
リオデジャネイロ五輪に出場する男子のU-23日本代表は3-0でガーナ代表に快勝した。熊本県宇土市出身のDF植田直通(21)=鹿島=はキャプテンマークをつけて奮闘。熊本地震の慈善試合として行われた一戦を勝利に導いた。日本は五輪1次リーグB組初戦のナイジェリア戦を想定したアフリカ勢との試合を制し、本番に向けて弾みをつけた。
傷ついた故郷へありったけの思いを届けた。熊本地震の慈善試合となった特別な一戦。手倉森監督から指名され左腕にキャプテンマークを巻いた熊本県宇土市出身の植田は「熊本県民は僕だけだったので戦う姿勢を見せたかった。勝利という結果を届けられてよかった」と素直な思いを口にした。
試合後のロッカールームでは「熊本のためにありがとう」と仲間に頭を下げた。「県民を代表してお礼を言わせてもらった」。主将の重責を預けた指揮官も「いいリーダーシップを発揮してくれた」と手放しで称えた。
試合会場には植田の父太実男さん(53)、母俊子さん(52)ら家族や親戚が駆け付けた。自宅は無事だったが震災直後は車中泊を余儀なくされた。家族は現在自宅に戻っているが、地震の恐怖から今も寝室ではなく玄関に一番近い部屋で全員で寝ているという。
先月18日に植田らが熊本を訪れ支援活動を行った際には、水や肉、パン、トイレットペーパーなどが届けられた。試合に向けて特別な会話は交わさなかったという太実男さんは「会わなくても気持ちは伝わる。試合に出してもらい、監督の気持ちに応えられてよかった」と胸をなで下ろし、俊子さんも「本当に頼もしかったです」と、息子の姿をまぶしそうに見つめた。
矢島の2得点などで前半のうちに3点を奪った。植田も体を張った守備で無失点勝利に貢献。「DFとしては良かったが、前半の勢いを続けられない課題も残った」と振り返った。終盤には相手選手との接触で右まぶた上から出血。応急処置で8~9針ほど縫ったが、「大したことない。慣れている」と意に介さなかった、
試合後には場内を一周しながら「久しぶりに会った人の顔を見て安心した」。高校の同級生で佐賀大に通うボランティアスタッフと記念撮影も行うなど旧交も温めた。熊本への思いを形にし、スタンドから起こった大きな植田コールに誇らしげに手を挙げた。
チンチロリン
先発出場を果たした鹿島勢3人である。
櫛引はクリーンシートを達成し、勝利に貢献した。
ユキは試合を決定づける2点目のアシストを記録。
素晴らしいクロスであった。
植田はキャプテンとしてチームを鼓舞し力強い戦いを魅せた。
三人とも素晴らしいパフォーマンスであった。
勇気をありがとう。
チンチロリン
加えて『いいクロスあげる右サイドバックいるな』と思っていたのですが、伊東だったんですね。鹿島サポとして、無知でお恥ずかしい…。客観的に見て、これは信頼獲得、本戦へ視界よしではないでしょうか。報道どおり1チーム3人上限とするならば、手倉森氏、頭が痛いでしょうね。
昨日のような前半3-0の試合でも後半も得点を積み重ねて5-0や6-0といった勝ち方をすることは、リーグ戦を有利に進める上で重要です。
テレビの解説でその点を指摘する人がいなかったのは残念。
ガーナはフル代表とのことでしたが、植田には物足りなかったかも知れません。
今回良い経験を積んで自信にもなったでしょうから今後に期待です。
それにしてもオリンピック代表の昨日の試合は、何か2007年から3連覇したときの鹿島を見てる感じがしました…。