【J1:第24節 鹿島 vs 柏】レポート:前節を思い起こす2点のリード。うまい試合運びで柏を退けた鹿島が順位を4位にあげた。そして、ネルシーニョが辞意を表明…
8月31日(土) 2013 J1リーグ戦 第24節
鹿島 3 - 1 柏 (18:35/カシマ/16,212人)
得点者:3' 大迫勇也(鹿島)、14' ジュニーニョ(鹿島)、53' 工藤壮人(柏)、66' ジュニーニョ(鹿島)
ホームでは無類の強さを発揮する今季の鹿島が、今節も柏を寄せ付けない試合運びを見せた。前節に続き2点のリードを奪う展開にも慌てず、県立カシマサッカースタジアムでのリーグ戦無敗を守る10勝目。順位も4位に上げて、前節で首位と9差に開いた勝点差を6に戻した。
試合は今節も、開始早々に鹿島が2点のリードを奪う展開となる。3分、柏の隙を突き、左からのショートコーナーを仕掛けると、クロスのこぼれ球にすばやく反応した大迫勇也が4戦連発となるゴールを決めて幸先良く先制する。前節は出場停止だった小笠原満男が戻り、怪我が心配された柴崎岳も先発したボランチの二人が、柏の守備に的を絞らせないパスまわしで試合を支配すると、トップ下に入った土居聖真がバイタルエリアで何度もパスを受け、相手の最終ラインに前を向いて仕掛けていく。14分には曽ヶ端準からのロングキックを大迫が競り勝ち、それを受けた土居が走り込むジュニーニョの足下に適確にボールを落とすと、スピードを生かしたジュニーニョが一気にDFラインの裏に抜け出し、強烈なシュートをゴールに蹴り込んだ。
短い時間で2点を奪われた柏のネルシーニョ監督は、狩野健太を下げて増嶋竜也を投入。3バックにシステムを変えて守備の安定を図る。
「取りどころが違う場所になったので、慣れるまで時間がかかってしまった」と土居が言うように、それまで効果的な攻めを見せていた鹿島も少しペースを緩める。ただ、システム変更で混乱が生じたのは柏も同じ。守備は落ち着いたが攻撃の形を掴むのは後半が始まってからだった。
「ハーフタイムでは整理することができて、選手たちも良い後半のリスタートを切れた」
ネルシーニョ監督がそう振り返るとおり、後半は柏のペースで始まると、53分に一度は失ったボールを再び高い位置で奪い返すとボールは工藤壮人のもとへ。青木剛と1対1となった工藤はドリブルで左右に揺さぶりながら右足でシュートを打てるコースをつくり、ゴール右隅に見事なミドルシュートを突き刺し1点差に詰め寄った。
次の1点を奪うために、互いに相手の隙を見つけようとする展開が続いたなか、得点を得たのは鹿島。近藤直也が前にボールを持ち出したときに少し足下からボールを離してしまうと、大迫、土居、小笠原がすばやく囲んで奪い、ジュニーニョが速攻から3点目を得る。その後、本山雅志を投入した鹿島はシステムを4-1-4-1に変更して相手の攻撃を封じ、2点差を守り切った。
9試合負けなしの柏だったが、先制点の奪われ方が示すように試合開始の入り方は明らかにゆるかった。
「開始10分で2失点しているようでは、チームとして話にならない。相手の立ち上がりの迫力は気をつけないといけなかった」。ゴールを決めた工藤だったが、チームが勝てなかったため口をつくのは反省ばかり。
しかし、そうした問題点をすべて吹き飛ばすかのような大事件が起きる。なんと記者会見でネルシーニョ監督が辞意を表明。その理由として「9位、10位、あとは二ケタの下位チームにいるわけにはいきません。これはチームもそうですが、私個人もいられません」と説明したが、ACLやヤマザキナビスコカップの戦いを目前に控えたなかで監督を辞める理由としては、いまひとつ釈然としないものが残った。目の覚めるような采配で試合展開をガラリと変えることができた希有な監督だっただけに、このままJリーグを去ってしまうのはいかにも寂しい。
以上
2013.09.01 Reported by 田中滋
「柏を寄せ付けない試合運び」と完勝を綴る田中氏のレポートである。
ミスから失点したものの、チャンスの数、質共に鹿島が上回り素晴らしい試合であったと言い切って良かろう。
大迫の風格にジュニーニョの決定力が加わり素晴らしいチーム状態であった。
聖真の成長、山村と青木のラインコントロールなど、見所も満載であり、観客は試合を堪能したはず。
ただ残念なのは、柏のネルシーニョ監督が辞意を表明したため、試合内容に割く紙面が減ったことであろう。
多くのダイジェスト番組の含めて試合内容にコメントする時間を減らしてまで、この不可思議な事件に時間が割かれた。
我らとしてはこの試合の純粋な解説が欲しかっただけに、物足りない気持ちとなったことも事実である。
それはそれとして、この試合にて真夏の過密日程は終わりを告げた。
ホームでの無敗記録を更新し、また首位との勝ち点差も6と射程圏に捉えた。
天皇杯を挟んでの再開から更なる勢いで勝利を積み重ねて行きたい。
期待しておる。
8月31日(土) 2013 J1リーグ戦 第24節
鹿島 3 - 1 柏 (18:35/カシマ/16,212人)
得点者:3' 大迫勇也(鹿島)、14' ジュニーニョ(鹿島)、53' 工藤壮人(柏)、66' ジュニーニョ(鹿島)
ホームでは無類の強さを発揮する今季の鹿島が、今節も柏を寄せ付けない試合運びを見せた。前節に続き2点のリードを奪う展開にも慌てず、県立カシマサッカースタジアムでのリーグ戦無敗を守る10勝目。順位も4位に上げて、前節で首位と9差に開いた勝点差を6に戻した。
試合は今節も、開始早々に鹿島が2点のリードを奪う展開となる。3分、柏の隙を突き、左からのショートコーナーを仕掛けると、クロスのこぼれ球にすばやく反応した大迫勇也が4戦連発となるゴールを決めて幸先良く先制する。前節は出場停止だった小笠原満男が戻り、怪我が心配された柴崎岳も先発したボランチの二人が、柏の守備に的を絞らせないパスまわしで試合を支配すると、トップ下に入った土居聖真がバイタルエリアで何度もパスを受け、相手の最終ラインに前を向いて仕掛けていく。14分には曽ヶ端準からのロングキックを大迫が競り勝ち、それを受けた土居が走り込むジュニーニョの足下に適確にボールを落とすと、スピードを生かしたジュニーニョが一気にDFラインの裏に抜け出し、強烈なシュートをゴールに蹴り込んだ。
短い時間で2点を奪われた柏のネルシーニョ監督は、狩野健太を下げて増嶋竜也を投入。3バックにシステムを変えて守備の安定を図る。
「取りどころが違う場所になったので、慣れるまで時間がかかってしまった」と土居が言うように、それまで効果的な攻めを見せていた鹿島も少しペースを緩める。ただ、システム変更で混乱が生じたのは柏も同じ。守備は落ち着いたが攻撃の形を掴むのは後半が始まってからだった。
「ハーフタイムでは整理することができて、選手たちも良い後半のリスタートを切れた」
ネルシーニョ監督がそう振り返るとおり、後半は柏のペースで始まると、53分に一度は失ったボールを再び高い位置で奪い返すとボールは工藤壮人のもとへ。青木剛と1対1となった工藤はドリブルで左右に揺さぶりながら右足でシュートを打てるコースをつくり、ゴール右隅に見事なミドルシュートを突き刺し1点差に詰め寄った。
次の1点を奪うために、互いに相手の隙を見つけようとする展開が続いたなか、得点を得たのは鹿島。近藤直也が前にボールを持ち出したときに少し足下からボールを離してしまうと、大迫、土居、小笠原がすばやく囲んで奪い、ジュニーニョが速攻から3点目を得る。その後、本山雅志を投入した鹿島はシステムを4-1-4-1に変更して相手の攻撃を封じ、2点差を守り切った。
9試合負けなしの柏だったが、先制点の奪われ方が示すように試合開始の入り方は明らかにゆるかった。
「開始10分で2失点しているようでは、チームとして話にならない。相手の立ち上がりの迫力は気をつけないといけなかった」。ゴールを決めた工藤だったが、チームが勝てなかったため口をつくのは反省ばかり。
しかし、そうした問題点をすべて吹き飛ばすかのような大事件が起きる。なんと記者会見でネルシーニョ監督が辞意を表明。その理由として「9位、10位、あとは二ケタの下位チームにいるわけにはいきません。これはチームもそうですが、私個人もいられません」と説明したが、ACLやヤマザキナビスコカップの戦いを目前に控えたなかで監督を辞める理由としては、いまひとつ釈然としないものが残った。目の覚めるような采配で試合展開をガラリと変えることができた希有な監督だっただけに、このままJリーグを去ってしまうのはいかにも寂しい。
以上
2013.09.01 Reported by 田中滋
「柏を寄せ付けない試合運び」と完勝を綴る田中氏のレポートである。
ミスから失点したものの、チャンスの数、質共に鹿島が上回り素晴らしい試合であったと言い切って良かろう。
大迫の風格にジュニーニョの決定力が加わり素晴らしいチーム状態であった。
聖真の成長、山村と青木のラインコントロールなど、見所も満載であり、観客は試合を堪能したはず。
ただ残念なのは、柏のネルシーニョ監督が辞意を表明したため、試合内容に割く紙面が減ったことであろう。
多くのダイジェスト番組の含めて試合内容にコメントする時間を減らしてまで、この不可思議な事件に時間が割かれた。
我らとしてはこの試合の純粋な解説が欲しかっただけに、物足りない気持ちとなったことも事実である。
それはそれとして、この試合にて真夏の過密日程は終わりを告げた。
ホームでの無敗記録を更新し、また首位との勝ち点差も6と射程圏に捉えた。
天皇杯を挟んでの再開から更なる勢いで勝利を積み重ねて行きたい。
期待しておる。