1321日ぶり先発の小笠原「100%力出す」
パス回しする輪の中で、ボールをキープする小笠原(撮影・鹿野芳博)
4年ぶりに代表復帰したMF小笠原満男(30=鹿島)は一発回答で、W杯メンバーに滑り込む。2日の国際親善試合ベネズエラ戦(九石ドーム)は右サイドで先発が濃厚。1日の非公開調整後は、攻撃陣と居残りシュート練習を行いボールの感触を確かめた。国際Aマッチの先発は、1次リーグ敗退が決まった06年6月22日のW杯ドイツ大会ブラジル戦以来1321日ぶり。小笠原は「いつまで(代表選手として)続くか分からない。次は(代表で)ないかも知れない」と悲壮感を漂わせた。
W杯イヤーの国内初戦では、06年2月18日フィンランド戦(エコパ)で日本代表最長ゴールとなる57メートル弾を決めた。あれから4年がたち、2度のW杯を経験した男は初心に戻った。「30歳の新人なんで、100%の力を出さないといけない。ここにはここのやり方がある。自分は後から入ってきたんだから、みんなに合わせるのは当然のこと」。生き残るため、プライドは捨て、ただひたすらに結果だけを求めていく。
[2010年2月2日8時40分 紙面から]
“新人のオッサン”小笠原1321日ぶり先発
2010.2.2 05:04
軽快な動きの小笠原。後ろに隠れているのは内田、左は興梠の鹿島トリオだ(撮影・森本幸一)
日本代表は2日、W杯イヤーの国内初戦としてキリンチャレンジ杯・ベネズエラ戦(九石ド)を戦う。1日には試合会場で公式練習が行われ、岡田ジャパン初招集のMF小笠原満男(30)=鹿島=が約3年7カ月ぶりの代表戦出場を、先発で果たすことが確定した。
“新人のオッサン”が新風を吹き込む。関係者によると、MF小笠原が非公開の公式練習で主力組の右MFに君臨。06年6月22日のドイツW杯ブラジル戦以来、1321日ぶりの代表戦出場&先発が確実になった。
「ここではここのやり方があるし、それを早く覚えなきゃいけなかった。でも、やるべきことはやった。あとは試合が楽しみ」
攻守の切り替えの速さなど細かい岡田流の理解は、短期間では困難と思われた。しかし、「そういう時期は終わった」と準備完了を宣言。岡田ジャパン・デビュー戦に自信を示した。
自らを「新人のオッサン」と呼んだが、もちろん単なる新人ではない。「学ぶことが多いし、教わることが多い」としながらも、「こうした方がよいと思うことは言っていきたい」と言い切った。昨季のJリーグMVPで、W杯にも過去2大会に連続出場。その自信は経験に裏打ちされている。
鹿児島・指宿合宿では岡田監督との個人面談で、自らの意見を伝えた。素直に指示に従う選手が多いなか、数少ない個性といえる。指揮官が30歳に可能性を感じていることは、いきなりの先発に表れている。
「オレには、次はないかもしれない。W杯への第一歩ではなく、100%やらないと」。小笠原は全力を尽くすことを誓った。その一方で、「あんまり力むのはダメ。優勝がかかる試合も経験しているし、大丈夫」と、精神面のコントロールも心得ている。惨敗したドイツW杯から4年。時計が、再び動き出す。(志田健)
ストレッチをする小笠原満男=1日、九州石油ドーム(撮影・森本幸一)
話をする(左から)稲本潤一、徳永悠平、小笠原満男、阿部勇樹=1日、九州石油ドーム(撮影・森本幸一)
W杯出場へ…小笠原、4年前の“再現”だ!
練習で石川(左)と競り合う小笠原
Photo By スポニチ
MF小笠原満男(30)が4年前の再現を狙う。日本代表は2日に大分・九石ドームでベネズエラ代表と対戦する。右の攻撃的MFで先発が決定的な小笠原は、ボールを奪う攻撃的な守備でアピールする。前回ドイツ大会も、2月の活躍でメンバー入りを確実にした司令塔が、3年7カ月ぶりの代表戦で真価を発揮する。ベネズエラ戦後には現在の26選手から、東アジア選手権(6日開幕、東京)の登録23選手に絞り込まれる。
雨の中、小笠原が最後の調整を行った。ウオームアップ後、非公開で行われたゲーム形式などで汗を流した。06年6月22日のW杯ドイツ大会ブラジル戦(1―4)以来1321日ぶりの代表戦。「(やりたいのは)ゴール前に絡んでいくことと(ボールへの)アプローチ。ただ、寄せるだけではなく、高い位置でボールを取り切って攻撃したい」。小笠原は守備での貢献を誓った。プレスからボールを奪って速攻を仕掛けることは岡田監督が常に求めているプレー。強いフィジカルと高い守備能力を持つ小笠原が、その理想を実現する。
06年も2月が分岐点となった。同18日のフィンランド戦(静岡)で1得点1アシスト。同22日のアジア杯予選インド戦(日産ス)でも1アシスト。同28日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦(ドルトムント)では、当時万全な状態なら必ず先発していた小野を押しのけて先発。海外組のサブ的存在から脱し、W杯メンバー入りにつなげた。
今年も勝負の2月となる。岡田監督はベネズエラ戦、東アジア選手権の合計4試合を、小笠原のテストの場にする意向を示唆している。右MFには中村(エスパニョール)という強力なライバルがいる。「(中村が)いたらいたでチームメートになる。誰がライバルとかではない」。小笠原は淡々と話すが、2月に結果を残せば中村から定位置を奪うことは可能だ。
「いつまで試合に出られるかわからないし、次は(代表に)いないかもしれない。W杯への第一歩とかじゃなくて、100%いかないといけない」。必死の覚悟で復帰戦に臨む小笠原が、岡田ジャパンに新風を吹き込む。
[ 2010年02月02日 ]
小笠原、守備でアピール!プレスで代表生き残り!…2日・ベネズエラ戦
公式練習で競り合う(左から)石川、小笠原、阿部、佐藤
◆キリンチャレンジカップ2010 日本-ベネズエラ(2日・九州石油ドーム) 日本代表は1日、親善試合ベネズエラ戦に備え、試合会場となる九石ドームで約1時間の試合前日公式練習を行った。岡田ジャパン初招集で、先発出場が濃厚なMF小笠原満男(30)=鹿島=が、イタリア仕込みの「プレス」で生き残りをかける。
MF小笠原が岡田ジャパンにプレス改革をもたらす。ベネズエラ戦でドイツW杯ブラジル戦(06年6月22日)以来、1321日ぶりの先発出場が有力。「もう30歳のおっさんだよ。今さらトキメキとかはないよ」と、話しながらも「ただボールに行くだけじゃなく、高い位置でボールを取り切る。イタリアでも鹿島でもやっている。ボールを奪いに行く守備をやりたい」と、テーマに掲げた。
岡田ジャパンは、連動したプレスから高い位置でボールを奪って、ゴールにつなげる戦術をとる。だが、W杯まで残り4か月を切った中「守備というのはゴールを守るのではなく、ボールを奪いに行くんだ」と“イロハ並”の指示を飛ばしているのが現状で、完成度は決して高くない。そこで期待されるのが「イタリア仕込み」のプレスを武器とする小笠原だ。
06年7月~1年間、セリエAメッシーナに期限付きで移籍した際、練習では「日本人だから」という理由でパスを回されなかった。「ボールは頭の上を越えていくし、ボールに触るためには自力で取りにいくしかない」と守備に奔走。「ボールを奪うことの楽しさを学んだ」という。鹿島ではボール奪取率の高さから「人間掃除機」と呼ばれるほどの守備を身につけた。
2列目にはMF中村俊、MF松井、MF本田ら海外組のライバルがひしめく中で、他にはない守備力をアピールできれば、W杯メンバー入りも現実味を帯びてくる。
「自分はいつまで試合に出続けられるかも、分からない立場。目の前の試合に、100%でいけなきゃいけない。勝負です」。小笠原がボールだけでなく、ポジションも奪いにいく。
(2010年2月2日06時03分 スポーツ報知)
【キリンチャレンジカップ2010 SAMURAI BLUE(日本代表) vs ベネズエラ代表】試合前日の各選手コメント(10.02.01)
2月2日(火)キリンチャレンジカップ2010 SAMURAI BLUE(日本代表) vs ベネズエラ代表(19:10KICK OFF/九石ド)
●小笠原満男選手(鹿島):
「(合宿に参加して)1週間くらい。時折楽しみのメニューも入れてくれているし、チームとしての意図をもったメニューもある。入りやすいメニューが多かったと思います。
引っ張るというイメージはないです。30歳の新人なので、学ぶことは多いです。ここにはここのやり方がある。それに自分が早く慣れなければダメ。あとはチームとしてどれだけできるのか。やれることはやってきましたし、試合が楽しみです。
後から入ってきてオレに合わせろ、というのはそれは違うと思う。自分を出そうということではなく、チームがやっている事で考えたことをやる。チームがやる事をやりたいですね。どういう狙いで何をしているのかは、やってみて分かりました」
いよいよ代表のピッチに立つ小笠原満男である。
各紙とも大きく扱ってきた。
特に報知は伊太利亜時代の思い出を重ね合わせ、人間的成長を報じておる。
しかしながら、
「人間掃除機」は言い過ぎであろう。
初耳である。
ブルーノ・サンマルチノの「人間発電所」ではないのである。