鹿島アントラーズ:オズワルド・オリヴェイラ監督
アウェイの地でACLも勝ち進んでいる川崎とは、タフで厳しい試合になると思っていたし、1人少ない状況で引き分けになれたことには非常に満足している。前半をビハインドで終えたが、後半に入って相手がタイミングよく隙を作ってくれた。マルキーニョスの読みもあったが、みんな相手の隙を見逃さずに賢くやってくれた。もし、フロンターレと5分5分で戦っていたら負けていたと思う。みんな頭を使って戦ってくれた。日本では、この結果におめでとうとは言わないのかもしれないが、僕はおめでとうと言っていいと思う。
【J1:第16節 川崎F vs 鹿島】オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島)記者会見コメント(09.07.05)
7月5日(日) 2009 J1リーグ戦 第16節
川崎F 1 - 1 鹿島 (19:05/等々力/22,185人)
得点者:33' ジュニーニョ(川崎F)、64' 興梠慎三(鹿島)
●オズワルドオリヴェイラ監督(鹿島):
Q:10人で引き分けの結果は満足か
「試合を決める条件、アウェイそしてフロンターレのチームの質という部分を考えれば、彼らはACLを勝ち進んできているわけですから。良い選手がそろっているわけですし、厳しい試合が予想されたわけです。それを考えれば10人で1-1という結果は、リーグ戦でも6連勝していますし、そういうチームと戦う上でこういう結果を出せたことは満足する結果ではないかと思います」
Q:内田が退場になったあと、本山に代えて増田を入れた。その意図は?
「相手が3トップ気味でサイドからクロスを入れようとしていたわけですから、完璧に全部防ごうと思っていはいませんでしたけど、少しでもそこの回数を減らすことによって攻撃を少しでも減らそうかと思いました。前半を含めて後半の途中まで本山選手はその守備をやりながら対応し、中の方へ入ってゲームメイクをするというのもお願いしたので、かなりの負担があったと思う。そこで長く引っ張って、逆にひとつの対応が遅れてしまってクロスをあげられて失点するよりも、フレッシュな増田選手を入れて対応するということができたらというのが一つの狙い。それに増田選手の一つの特徴はスピードとファーであって、カウンターを仕掛けられる条件になったときに飛び出していける技術もありますし、視野の広さもあります。得点のチャンス、あるいは得点を生み出すような狙いもありましたし、もう一つは明らかにセットプレーで、フロンターレの平均身長、あるいはファーへボールが出たときに相手が上だということがわかっていた。試合の中で危険な部分もありましたし、そういった意味で少しでも身長が高い増田選手を入れて、対応ができればなという狙いでやりました」
Q:この引き分けは「おめでとう」といってもいいと思いますが、同点弾の時のマルキーニョス選手のプレーについて。ゴールを決めたのは興梠選手ですけれども。
「まあ、残念ながら前半をビハインドで終えて、後半から一人少ない状況になったときに、ただ効率良く配置して戦うおうとしたら、おそらくただボールを回されて仕掛けられて失点をする形になったでしょう。そこで、相手をおびき出す作業をしなくてはいけなかったし、その時にタイミング良く相手が逆にそういったチャンスを作りだすという部分もあるかもしれませんけど、マルキーニョス選手のずるがしこさとか、読みという部分が含まれての状況だと思います。一つの相手が与えたスキ、あるいはミスというのは利用しなくてはいけないし、そのチャンスをものにしなければいけない、もしかして1回しかないかもしれない、ということも選手には言ってあった。みんなで賢くやっていったわけであって、五分五分でフロンターレと戦おうとしたら、しかも10人で戦おうとしたら、おそらく試合は負けていた可能性があった。頭を使いながら賢く試合運びをしなければいけなかった。1-1を、日本ではおめでとうとは言わないかもしれないけど、僕は今日の引き分けはおめでとうと言っていいと思います」
オズワルド オリヴェイラ
まあ、ひとつレフェリングに関して、誰も質問していませんし内田選手の退場に関しても誰も質問していないので、一言申し上げたいと思います。内田選手は高い才能を持っておりまして、U-20、オリンピック代表、そしてフル代表でも活躍をしています。彼は一度も退場したことのない選手である、その選手が、今日の試合に対して退場されたと、僕は正直その場面自体はここから定かではなかったので本人に直接、面と向かって聞きました。どこに当たったんだ、そしたら本人は明らかに「お腹に当たりました」と僕に涙目で訴えました。それはたとえ若い選手であってもずるがしこいことをやるとか、そういう事を学べと言ってあっても、それだけは彼はうそをつかないと思います。僕は彼と3年間一緒に仕事をしていますけど、僕は彼の言葉を信じたいと思います。人間というのは、ぶつかれば痛いという反応を起こします。何かに噛まれたりすると痛いというのが自然の体の反応です。サッカーも同様に、もし内田選手の手にぶつかっていたのならおそらくフロンターレの選手がかなりの猛アピールをするだろう。ただし、映像で見ていただければわかると思いますけれど、フロンターレの選手が逆にびっくりした顔をしています。それだけ彼らが、驚きであって、彼らの中でも、これはどの選手、うちの選手であろうとどのチームであろうと、手にぶつかったのであれば過激と言われるくらい反応します。ただ、それがどうだろうと思った瞬間に反応しない、明らかにフロンターレの選手もびっくりした反応を起こしていたのであって、彼はフェアにお腹でクリアしたと思う。サッカーにおいていろいろなことが起きます。もしかして、メディア、リーグにとっては我々が止められるということの方が視聴率、注目度という部分で上がるんじゃないかと推測はします。ただし、サッカーをやってピッチの中でフェアの勝負をし、そこで勝敗を決めていただければなと思います。ありがとうございました。
【J1:第16節 川崎F vs 鹿島】試合終了後の各選手コメント(09.07.05)
●興梠慎三(鹿島)
「ここまでいい形で勝ててきた。退場者が出て、いつも以上にがんばれた。もちろん、逆転するつもりで行きましたし、そのチャンスもあった。それにしても勝ちたかったが、1人少ない中で同点まで行けた事については次につながると思います」
●本山雅志(鹿島)
「退場者が出て60分くらいあったのかな。その中でもチャンスは0という訳ではなかった。FWが決めてくれる事を信じていた。0で抑えれば点は入ると思っていた。監督が求めていたものは出せたと思う。ゴールの場面は献身的に前から守備していかないと出ないプレー。退場者が出てもFWを2枚残している。普通はFWを1枚削るところ。守備から入ろうというメッセージだったと思う。
後半1-1だったり、本来は0-0を想定していたんですが、そうなると裏のスペースが空いてくる。そこを狙っていました。退場者が出て動けと言われました。1.5倍くらい。今日は少しスロースターターだったが、キャプテンがミツ(小笠原)だったので、みんながんばったところはあったと思う。最低限の結果。ただ、まだ何も成し遂げていないので、これからです」
●内田篤人(鹿島)
「みんなに申し訳ないです」
[ J1:第16節 川崎F vs 鹿島 ]
33分、一発退場を受けピッチを後にする内田篤人(鹿島)。
[ J1:第16節 川崎F vs 鹿島 ]
川崎Fのパスをインターセプトしたマルキーニョスからパスを受けた興梠慎三(鹿島)が、GKをかわしてゴール左の角度のないところから流し込む!数的不利の中、1点を追う苦しい戦いが続いていた鹿島に待望の同点弾が生まれる。
[ J1:第16節 川崎F vs 鹿島 ]
アシストのマルキーニョスと肩を抱き合い、笑顔を見せる興梠慎三(ともに鹿島)。退場者を出しながらも、しぶとく戦った鹿島が1-1のドローに持ち込み、これで鹿島はリーグ戦14戦負けなしとなった。
篤人の退場となったプレイは手に当たっておらず、誤審である。
満男の足を手で掴み倒したプレイは一発レッドが妥当であろう。
不利な判定に屈せず戦った戦士達におめでとうと言いたい。