ようやくエストロゲンの話に辿り着きました。
医科学や生命科学は関係項目が多いうえ、どれも軽視できない程度に関わっているため、ざっくり説明するのが難しいです。
あまりに脇の関係性を端折ると誤解を生じたりします。
それが逆に健康障害を引き起こしたり、変な民間療法を生んだりしますので、気をつけています。
(まわりくどくてすいません。。ということです)
題名を更年期に変えました。
2)エストロゲン量の激減
これまでにも書いたように、エストロゲン激減による身体への影響の全貌はまだ未知の部分が多いです。
身体中全ての細胞がレセプターを発現しており、多種多様な代謝経路に関係することがわかっているためです。
ここではなるべく今わかっていることを、更年期障害の症状を上げつつどう対処するか考察します。
(1)関節痛、喉の違和感、ドライアイ、ドライマウスなど外分泌腺からの分泌液の減少に関わること
(2)骨粗鬆症など骨代謝に関わること
(3)自律神経失調による症状(ホットフラッシュ、発汗、動悸、高血圧、睡眠障害、、、)および精神心理的動揺
(4)脱毛など毛嚢(のう)の代謝に関わること
(1)関節痛、喉の違和感、ドライアイ、ドライマウスなど外分泌腺からの分泌液の減少に関わること
これはまず最初に気づく更年期の症状でもあるので、第一にあげました。
気づいてすぐにうまく対処しませんと、やがて大きな障害になります。
関節などは放っておくと変形してしまいます。
手指の関節はのちのちへパーデン結節、ブシャール結節などともいう指の第一関節、第二関節の腫れ、変形につながります。
痛みを感じるようになったら、まずは水分代謝に気をつけることかと思います。
関節へ負担をかけないよう、そっと手を使ってあげることも必要です。
道具を使うとか。
関節に対して垂直な力を加える動きはなるべくやめる、とか。
(雑巾絞りはそっとする)
利尿性のある飲料(カフェインを含むモノ)、アルコール、はなるべく控えて、純粋な水を摂ることでしょう。
対処は地味ですが、これが良いようです。
自然なことなので、身体が新しい状況に馴染むまで ”ほんの少し” いつもと違うことをする、くらいが良いのかな、と思います。
確かに身体中の"外分泌"が悪くなる、という症状なのですが、”外分泌”という機能を促進する薬剤など使わず、身体の中の水を動かす、という漢方(中医学)の考え方で対処する方が更年期には向いているように思います。
症状はあるが疾患ではないためです。
喉の違和感が強ければ漢方を試すのもありかもしれません。
ともかく、身体が変わってきているんだ、と強く認識して、摂取するものを変えていく必要があります。
(2)骨粗鬆症など骨代謝に関わること
更年期障害で静かに進行する一番怖い症状、と私は考えています。
足や脊椎の突然の骨折はほとんど命取りになります。
エストロゲンの低下がカルシウム代謝にどういう機序で影響を及ぼすのかはよくわかっていません。
ともかく更年期以降の女性は著しく骨密度が低下する、という事実はわかっています。
予防は何か、といえば適度な運動です。骨は「ある程度の」負荷がかかって初めて充実します。宇宙飛行を終えた方達は男性でもかなり骨がスカスカになっているようです。
縦になって骨に重力をかけること、歩くことです。
かかと落としも有効と聞きます。
ただし、負荷のかけ過ぎは禁物です。塩梅が難しいですね。
また、筋トレなどもありかもしれません。筋肉が骨格、関節を守ってくれます。
たまには骨密度を測ってみるのも良いのではないでしょうか。レディースクリニックでの検診などで紹介してくれるはずです。
干し椎茸に代表されるビタミンD摂取にも気をつける必要があるでしょう。
カルシウム代謝のためです。カルシウム源の食品も摂って。
(3)自律神経失調による症状(ホットフラッシュ、発汗、動悸、高血圧、睡眠障害、、、)および精神心理的動揺
エストロゲンレセプターは神経系の細胞にもあります。
いわゆる「不定愁訴」もこの変化によるものです。
自律神経系が乱れるのです。
体温調節など、普段は淡々と進む自律神経系の仕事がうまくいかなくなるようです。
どうすることもできないので「ああ、自律神経系が混乱してるんだなあ」で済ませるしかないと思います。
それで済まない方もいらっしゃると思いますが、軽い安定剤などで乗り越えていただくのが良いと思います。
一時的なもので、身体はなんとか通常状態に戻ろうとしていますから、それを信じてじっと待つのがお得です。
私は音に過敏になり、血圧がかなり上がりました。慌てて内科を受診し、カルシウム拮抗剤を処方してもらい、今は落ち着いています。
(4)脱毛など毛嚢(のう)の代謝に関わること
これは見た目の問題で、命に別状はないのですが、心理的な問題にも直結しますから、やはり大事でしょう。
頭髪の薄毛に悩む方は多いかと思います。
カツラをご用意いただくのがベストかと。頭皮を守るためにも重要です。
帽子よりもいいのでは。
今は良いものが出回っています。
以上、一応更年期障害に挙げられている主症状は網羅したかと思います。
ホルモン補充療法なども提案されているHPを見ますが、それは最終手段かと思います。精神心理的な症状が強い時は選択肢に入るでしょう。
ただ、無闇に補充しますと、身体の調整能力を邪魔することになります。塩梅が大事だと思います。
どの症状もちょっと気になったら何かしらの対処をしておくのが良いと思います。
放っておくと悪化してQOLを下げますから。
大きなホルモンバランスの変化を乗り越えつつ、なんとかやっていく、というのが女性の身体なのだと思います。
対処を間違えず、なるべく身体の復元能力を信じ、生活する。
これに尽きるのではないかと思います。
そして具合が悪いのは単なる「気のせい」ではありません。
病気ではないが、放っておくと病気になるバランスの崩れた状態なのですから、きちんと自分の身体を思いやることです。
ご覧になる方の助けになれば幸いです。
ホルモン療法などは症状が重い場合のみで、やはり老いに至るまでの心身の変化に慣れていく過程、様子を見るというのが正しいとわかりました。
食事や運動はもちろん大事だけど、それにあまり偏重しすぎず、からだの声を聞きながら気長にと思えれば心も落ち着きそうです。
専門的な内容なのにわかりやすい文章で読みやすかったです。ありがとうございました。
”何が起こっているのかわかった上で”
自分の身体に問いかけつつ乗り越えるのが最善
というのがメッセージでしたが、受け取っていただいてありがたいです。
結局『人間』なので、モヤモヤした中を手探りしつつ生きるのかな、と思います。
ぐっと涼しくなったので、過ごしやすいけど体調にお気をつけて!