曲がった首

2021年02月10日 08時35分24秒 | ホラーのかけら
知り合いの知り合い、つまり僕は直接知らない人の体験談である。

北関東の片田舎の夜道を友人たちとドライブしていた時のことだ。
勢いづいて、酒が入っていたのかもしれないが、
道を外れて、草むらに突っ込んでいった。

草をかきわけるようにして、なんとか進むうちに、
何かにぶつかったような衝撃があった。
しかし、外に出て確認することなく、通り過ぎ、家路についた。

車を運転していた彼に最初の異変があったのは、翌朝のことだ。
首が曲がっている。
正面を向こうとしても痛くて向くことができない。

家族も出払っていたので、仕方なく一人で病院に行くことにした。
首が曲がった状態で車を運転するのは危うかったが、
車でなければ病院に行けないような場所だ。

県道を走っていると、次の異変が起きた。
前を走っているトラックの荷台から金属製品が落ち、
彼の車めがけて飛んできたのだ。
幸い車をかすめただけだったが、
直撃していたら大きな事故になっていたはずだ。

その後、病院で検査を受けたが、特に首には異常は見られなかった。
ただただ首が曲がっている。
精神的なものではないとも言われた。
しばらく様子をみるしかなかった。

釈然としないまま病院の建物を出た時、次の異変は起きた。
車寄せのところに立っていると、タクシーが突っ込んできた。
今回も寸前のところで衝突を避けることができたが、
危ないところだった。

なにかある。

そこからどういう経緯でそうなったのかは、知り合いも詳しくは知らないのだが、
霊能力者に見てもらうことになったという。
一連の出来事とここ数日の行動を話すと、
霊能力者は、あの夜、車が何かにぶつかった場所に原因があると言い出した。

半信半疑で、あのとき一緒だった友人たちと再び草むらを訪ねた。
車が草をなぎ倒した跡があったので、
目的な場所まで行くのは、容易だった。

あの時、衝撃を感じた場所には、古い地蔵が倒れていた。


祟りというものを僕は信じていないが、
こういう話を聞くと、もしかすると…とも思う。