読書感想:『蘇るサバ缶/須田泰成』

2018年02月25日 18時03分06秒 | エンタメのかけら

最近、『マツコの知らない世界』をはじめ、
いろいろな番組で取り上げられ人気を呼んでいる
木の屋石巻水産のサバ缶。

僕はこのサバ缶のことを、
今のように全国的な評判になる前からよく知っていた。
というのも、木の屋石巻水産と僕の住む世田谷の経堂には、
つながりがあったからだ。

そしてそのつながりをより深めたのが、
本書に記されている、
東日本大震災で被災を受けた木の屋石巻水産に対する
経堂の人々の応援の輪だった。
泥だらけの缶詰を洗う様子は、
当時ニュース番組でも取り上げられたので、
ご存知の方もいると思う。

あの頃、
日本中に「善の空気」が湧き起こり、
たくさんのつながりが生まれた。

しかし現在、
そんな空気もつながりも、
ほとんど残っていないように思う。
むしろ世の中は、
悪い方向に傾斜しつつある気さえする。

だからこそ、
7年経ったこの時期に、
あの頃の「善の空気」を収めた缶詰のような本書の出版は、
とても意義あるものだと思う。